1/26 与党は野党に懲罰を乱発する
ライブドア事件に関して、ニュースがホリエモンの人生を繰り返し繰り返し放送するが、あまり意味のない情報だ。それによって、天気予報や、道路情報、通勤電車の運行情報などが決まった時間に放送されない害の方が大きい。
自民党が、堀江貴文を担ぎ出した責任を問う民主党の議会質問に懲罰動議を次々に出している。
そもそも国会も地方議会も、懲罰という制度が機能しているのか疑問だ。本来は、議会(立法府)に警察(行政府)を踏み込ませないための自浄のための制度として懲罰があるのに、検察特捜部がかぎつけた政治家を懲罰せず、ほいほいと逮捕させて行政府である検察に差し出し、名誉毀損にも当たらない内容で与党批判をした政治家に懲罰動議を出す、これでは単なる言論抑圧制度ではないか。全く機能していない。小室直樹は、田中角栄を擁護して、刑事事件を起こした政治家を議会で審査懲罰もせず、安易に警察や検察に差し出すことが、三権分立の機能するべき自由社会かと怒りと疑問を投げかけている。
やくざを示談交渉に使って政治資金作りをしていた西村真悟が懲罰されないのに、堀江を担いだ自民党執行部をたかが粉飾だと言っただけの江田五月さんや前原が懲罰されるのが不思議でならない。
地方議会では、ほんとうにびっくりするような内容で懲罰が行われる。マニュアル本では、議会質問での実につまらない言葉の使い方で「言論の府にふさわしくない発言」として懲罰にかけることができると書いている。
今は志木市長になった長沼明氏は、20代の青年議員だった頃、ジーパンを履いてきたなど、つまらないことで繰り返し議会懲罰を受けている(長沼岩根「地方政治家」)。議会少数派や、地域ボス(時には共産党まで一緒になって)たちになじまない議員に対する弾圧に使われている。そうした懲罰をいいように反対派の弾圧に使ってきた地方議員に限って、社会主義批判を一丁前にやり、自由主義社会のすばらしさを高らかに言うからあほくさい。
警察に対する独立・自治を示すために使われる懲罰が、刑事罰を問われた議員の調査能力や懲罰を行えず、
選挙で民主的に選ばれた人を何の罪もなく懲罰にかけようとしているのが、残念ながら日本の議会での懲罰制度の実態である。
戦前、軍部の意向を汲んだ大政翼賛会のごりごりの政治家たちが、西尾末広、尾崎行雄、斉藤隆夫などの言葉の揚げ足を取り次々に懲罰にかけ、軍部をチェックできない議会にしていった。いつになったらまともな使われ方がされるのだろうか。
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コメント
懲罰で空転する議会を見てきましたが、ありゃ時間の無駄というものです。一言、一言にいいちゃもんを付けて議事を停める、わが市にもそういう困ったちゃんがいたのです。
懲罰が出れば、議運→全員協議会…てな形で進みますから、それだけで数時間浪費されます。その間、執行部は待ちぼうけですから、かさむ残業代。それでいて、「残業代の支給はおかしい」という輩がいるわけですから、議会と言うところはワンダーランドそのものですね。
議会の懲罰は、行政(特に刑事行政)から独立するためにある制度なので、それがうまく使われているかどうか疑問ですね。あの程度の言葉であれば、昔からあったと思いますし、言論の府と考えれば許容範囲内だと思うのですが…。巨大与党に議席を与えると言うことはこういうことだと、私自身は思っています。
話は変わりますが、昔、わが市の議会で懲罰動議で議運と全員協議会を行ったり来たりしている間に、時間切れ散会となったこともあり、都合の悪い条例案を廃案に持ち込むには有効な方法なんだなぁ、と思ったことがあります。
投稿: 窓灯り | 2006.01.28 08:05
なるほど。懲罰にもそんな使い方があったんですね。野党議員が懲罰覚悟の発言をする→懲罰動議で議事が混乱→廃案と。確かに懲罰動議は議事に優先されますから、与党にとっても両刃の剣なんですね。気づかなかった。ありがとうございます。
もっとも80年代の志木市議会のように共産党まで一緒になって懲罰に賛成していると、ほんとう異端分子のパージのためでしかありません。
議会の空転につきあわされる公務員のみなさんはほんとうにたまりませんよね。
投稿: 管理人 | 2006.01.28 08:18