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2005.12.02

12/2 介護をけちれば医療費が膨脹する

マンション問題に熱を上げていて紹介するのを忘れていたが、いいニュースだ。
医療がどこまでやるべきなのか、再定義する意味でも導入された介護保険制度だが、いつの間にか介護保険単独の財政問題にすりかえられて、サービス縮小ばかりが最近語られてきた。

医療保険制度の改革の話が出てくれば、当然、医療費の無駄遣いの根元は何か、という話になる。世界で冠たる平均入院日数の長さが指摘される。入院日数が長いから看護士が不足する。なぜ入院日数が長いかと言えば、老人ホームやグループホームの代替え機能をしているからだ。どうしてそうなるかと言えば、社会の介護力が弱いからだ。

ところが厚生労働省は昨年、介護保険の見直しだけを先行させてやってしまい、社会の介護力を削ぎ、再び医療保険制度の野放図な膨脹を許すことにならないかと心配していた。医療保険制度の改革に早々とメスが入ってまともな結論が出てほんとうによかったと思う。

●生活者ネットワークの元東京都議の新井美沙子さん(多摩市選出)が55歳の若さで亡くなりました。石毛えい子さんの選挙で知り合い、政策は話せる、政治はできる、人格はよい、人的ネットワークが広い、演出はできる、華はある、と政治家に求められる才能に満たされていた方でした。生活者ネットの決まりではもう1期議員ができたはずなのに、腰痛がひどいとあっさり引退してしまいました。厳しい闘病生活を送られていたのでしょう。石毛さんの後継に最適の人だと思っていましたが、ほんとうに悔やまれる死です。

介護施設の利用抑制、見直し方針 医療改革と矛盾
2005年11月28日07時18分朝日新聞

 高齢化で膨らむ医療と介護の費用抑制をめぐり、厚生労働省が矛盾する施策を打ち出していたことがわかり、介護の方を見直すことにした。介護では利用を抑制しようとしてきた有料老人ホームなどについて、今回の医療制度改革案ではむしろ拡充する方針を盛り込んだ。省内の調整不足の結果だが、介護保険を担う市町村には混乱も予想される。

 厚労省で介護保険を担当する老健局と、医療保険担当の保険局との間で調整が図られていなかった。年金、医療、介護の社会保障制度の一体的な改革の必要性が唱えられる中、全体の青写真がないまま各制度を場当たり的に手直ししてきた実態があらわになった。

 長期入院者用の「療養病床」の患者には、入院治療は不要で家族の支えや介護サービスがあれば退院できる「社会的入院」も多く、医療費を押し上げているといわれる。このため、厚労省は改革案で「(療養病床から老人ホームなどの)居住系サービスへの転換を促進する」とし、「居住系サービスの充実」も盛り込んだ。

 医療保険から費用が支払われる療養病床は全国で約24万床。厚労省は来年以降、長期入院者の実態を調べ、療養病床を有料老人ホームに転換する病院には改修費を補助して支援する方針だ。

 厚労省は一方で、介護保険について、在宅に比べ費用がかさむ施設・居住系サービスの利用抑制を図ってきた。要介護度2~5の人が施設・居住系を使う割合を04年度の41%から、14年度には37%に引き下げ、利用者数を108万人にとどめる方針で、昨年10月には全国の自治体に事業計画づくりを指示。各自治体は現在、06~08年度の事業計画をまとめつつある。

 ところが、この計画通りに抑えると、すでに施設・居住系の割合が高い地域では療養病床から老人ホームに移すのが難しくなるため、厚労省は先に決まっていた介護の抑制目標を緩和せざるをえないと判断した。

 療養病床には医療保険のほかに、介護保険から支払われる分も14万床あり、1人当たりの平均費用は1カ月それぞれ49万円と45万円。有料老人ホームに転換すれば、1人当たりの平均費用は月19万円ですむ。在宅だとさらに費用を抑制できる。

 ともに費用抑制を模索しながら矛盾する施策を打ち出したことになる。

 有料老人ホームを増やせば、市町村の介護保険料を押し上げることになるが、その影響は介護の療養病床が増える場合に比べれば小さい。

 辻哲夫・厚労審議官は、施設・居住系の利用割合目標について「次の介護保険事業計画(09~11年度)に合わせて見直すことになるだろう」と話している。

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