« 12/6 小嶋立件せよ | トップページ | 12/7② 政権はしたたかに私たちの情報源を絶つ »

2005.12.07

12/7 ガソリン税を減税する理由がない

なぜか家族全員の鍵を持っていってしまったり、そういう日に限って家族に急病人が出たり、あわただしい1日だった。単なる難しい風邪でした。

道路特定財源の見直しが首相から提起され、いろいろな議論が巻き起こっている。私はマイカーポピュリズムとも言うべき議論にだけは気をつけながら、この問題について考えたい。実はとくらblogさんのところでコメントをして議論が長くなりそうなので、今回、この問題について私なりに整理する。

道路特定財源の仕組みを分析していけばいくほど、減税なんて生やさしい話は出てこない。環境税としての役割、他の公共交通の支援、交通事故の社会コストの負担、道路建設で過去累々に積み上げてきた赤字国債の消化など考えると、ガソリン税や自動車重量税、軽油引取税の役割はまだまだあると思う。

減税なき一般財源化について自動車業界や、石油業界など勝ち組業界が自動車ユーザーと共闘して反対運動している。左翼陣営にも一般財源化は賛成だけど、減税ならもっと賛成という考えの人が多い。
しかし、小泉政権は増税を狙っている、と決めつけるために、とにかく増税らしきことは全て反対するというのは、あまり効果的な議論ではないと思う。日本の左派陣営は、悪い政治家は必ず増税を狙っていると決めつけ、悪政に対抗する目的しかない増税反対論を展開する(代表的なものが共産党の消費税の議論)やり方で政権批判をしてきた。それが、庶民レベルに小さな政府論をはびこらせてきたし、そのためにむきだしの競争を貧乏な人ほど歓迎するような社会になってしまっている。結果として小泉や竹中や前原のような政治家を跳梁跋扈させる温床になっている。左派陣営は、竹中氏にB層といわれる人に、税金が安いことに騙されてはいけないと教えるべきなのだろう。

道路特定財源とは、ガソリン税(正式には揮発油税、揮発油譲与税)、石油ガス税、自動車重量税(とその譲与税)、軽油引取税を財源とした税金は、必ず道路に使わなくてはならないという仕組みである。
この道路特定財源は、道路使用料を取れない自動車から燃料などに課税して道路整備を進めようというもので、田中角栄が着想し具体化した。おかけで日本の道路はどんな僻地でもアスファルト舗装されて当たり前、ということになった。
ところが、90年代半ばから、道路整備が一段落ついたこと、自治体の税収が落ち込み自治体が道路予算を消化できなくなってきたこと、などから道路特定財源のあり方が問われ出した。また地球環境温暖化防止など、マイカー優遇施策を転換や衰退していく公共交通のテコ入れ含みで、あり方の見直しが提言されるようになった。ところが、こうした見直し論を玩として受け付けなかったのが国土交通省と自民党の道路族、道路建設に群がる建設業者である。

税金の基本的な考え方に特定財源というものは問題が多い。特定財源は費用の見返りであり、特定の政策のためだけに取る税金なので、税金ではない、という考え方だ。
また現実的にも、税金の入りと出を民主的にコントロールするためには特別会計がいくつもあってお金の流れが錯綜することは好ましくない。こうした考え方から、特定財源というのは限定的に行われるべきだと思う。

道路特定財源で道路を造らないなら減税しろ、というのはウソの論理だ。現実は地方財政を迂回して一般会計から多額の繰り入れを行って道路建設が行われている。
国の道路特別会計では、道路建設費の95%以上を道路特定財源で賄っていることになっているから、道路特定財源をなくすなら減税しろという議論の展開になる。しかし、道路建設は整備新幹線の建設と一緒で、道路は国の財政だけで造ることはなく、受益者負担として自治体の自己負担分を求められる。ところが自治体には道路建設費用の4割しか道路特定財源が入ってこないので、残りは一般財源で賄う。その不足分を今度は国が地方交付税に上乗せして面倒見ている。
国土交通省の発表で、国は3.6兆の道路予算のうち一般会計の繰り入れは696億しかないことになっているが、地方は5.6兆の予算に3.4兆もの一般会計からの繰り入れを行っている。合計すると、9.2兆の道路予算のうち3分の1は道路特定財源外の財源が使われている。
国は一般会計からの繰り入れがないために、国の道路予算は縮むことがなく、一方で特定財源の薄い地方は財政赤字を追加せざるを得なくなっている。その尻ぬぐいは赤字国債が発行されて、地方交付税特別会計につぎ込まれていくのだ。国が一般会計化しない限り、道路特定財源に流れ込んでくるお金に引きずられて、地方財政は赤字を膨らまし続け、地方交付税特別会計の財政はどんどん悪化するしかけになっているのだ。

これを変えるにはいくつかの手だてがある。

①三位一体の改革の対象に入れることである。ガソリン税、自動車重量税、石油ガス税の国と地方の配分割合を変える。これによって、地方がお金がないのに国だけが特定財源から入ってくるからと道路づくりに音頭をとり続けることがなくなる。少なくとも地方自治体が負担している3.4兆の一般会計からの繰り入れは縮減するだろう。

②渋滞するから道路整備をする→便利になる→マイカーが利用しやすくなる→マイカーが増える→渋滞がまた発生する、という悪循環から抜け出すためには、道路特定財源を道路だけに使うべきではない、という考え方がある。道路渋滞を抑制するにはバスや地域の鉄道、タクシーを便利にすることが効果的なのだから、それにもお金を使わせろ、という考え方がある。交通総合財源とする考え方である。

③宇沢弘文さんが「自動車の社会的費用」(岩波新書)で指摘しているが、自動車事故の公的な処理費用(医療費や警察・裁判のコスト)、環境負荷などを考えると、自動車の利用者はあまりにも社会的負担をしていないという意見もある。交通総合財源では交通という面だけ見たが、社会的に自動車はどういう存在なのか、という点に着目した使途を求める意見がある。代表的なものは環境税である。COP3京都議定書で提言されている排出権取引などと絡ませれば、比較的社会に通りやすいのではないかと思う。

④最後に税制の基本的な考えにのっとって、特定財源という考え方をやめることである。国の予算をわかりやすくするためには、特別会計やそれを支える特定財源はなくすべきという考え方で、財政学者に根強い意見である。また小泉首相や財務省はこの考え方を主張している。

私はこれらの考えから一般財源化するならガソリン税を減税せよ、といえるような状況ではないと思う。財務省のようにあからさまに借金返しのためにガソリン税を使う、というのも、地方自治体をかくれみのに赤字国債を膨らませてきた道路建設のシステムからすれば、当然の報いと思う。

利用者にとって、ガソリン税を払ったところで、公共交通機関よりずっと安い値段でマイカーを乗り回しているわけで、どちらが環境や社会コストが大きいかを考えれば、ガソリン税が下がったり、安くなるというのは本末転倒の考え方ではないかと思う。むしろ公共交通の方がコストが安くなるように費用負担の再配分をガソリン税を通して行うべきだと思う。

|

« 12/6 小嶋立件せよ | トップページ | 12/7② 政権はしたたかに私たちの情報源を絶つ »

コメント

 個人的には自動車通勤者なので、ガソリン税が下がるのは賛成なのですけれども(笑)。
 冗談はともかく、この道路特定財源は維持されるべきであるというのが私の考えです。首都圏を考えてみても道路網は未だに未整備です。首都高速の中央環状線を利用するたびに東京外環道の千葉区間か圏央道千葉区間が早く開通しないかな、と思っています。
 また、私自身はパーク&ライド推進論者です。最近では東京方面に出るときは、大きな荷物があるときは別として、バスか最寄り駅前にあるコインパーキングに駐車するようになりました。
 そうした駐車場整備の財源など環境保全のための財源や、路面電車の推進、バス増便の費用援助などに活用するなど、交通政策から見て総合的に活用できる財源として確保しておくべきであると思っています。

投稿: 窓灯り | 2005.12.08 01:46

しかし現在、道路特定財源は高速道路以外の道路整備しか使えないのですよ。今日の朝日新聞でも族議員がビタ一文譲らないと言っています。あまりにも多くの議員の利権になっているから、さすがの小泉改革でもメスが入りません。
首都高速は独立採算に移行したので、これは道路特定財源の枠外だと思います。
道路やハコモノを求める人は、あれが足りない、これが足りないとそれぞれの分野でみんなが言います。でよくよく検証すると、電車を使えばいいだろう、とか、温泉だけで健康づくりをする気なの、と突っ込み入れどころ満載なのですが、欲しい欲しいと言っているのは元気で屈強な人たちなものですから、陳情合戦、政界への工作、徹底したものです。
そのしわ寄せが生存や人の能力開発に関わるところに全部しわ寄せが来ています。
例えば、三位一体の改革も義務的経費である教育費、保育所運営費、生活保護費といったものばかりが対象になって、道路のように節約ができたり、そもそも事業をやめても住民の生存に影響のないものがずっと対象外になっています。
自治体の赤字も膨らます要因になっているわけですから、メスを入れることは避けられないでしょう。
ただし半分とか四分の一を交通総合財源化したり、地球温暖化対策の財源にするような変え方はありだと思っています。

投稿: 管理人 | 2005.12.08 09:10

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/7515628

この記事へのトラックバック一覧です: 12/7 ガソリン税を減税する理由がない:

» パーク&ライドのすすめ [窓を開ければ… so-netブログ出張所]
 パーク&ライドとは駅やバス停の近くに駐車場を設けて、利用者はそこまで自動車で来て、駐車場に乗り換えて都心方面に出かけることを言います。自動車を「パーク:止めて」、電車・バスに「ライド:乗る」、2つ合わせてパーク&ライドというわけです。  窓は自動車を持っています。自動車はとても便利な乗り物です。  窓自身は、自動車はもっぱら通勤と買い物で利用しています。通勤では、公共交通機関を利用すると、最寄り駅まで徒歩40分、そこから電車で10分、駅を下車して会社まで徒歩10分、待ち時間を含めると合... [続きを読む]

受信: 2005.12.08 01:47

» 道路財源の一般財源化!もっとオープンにすべき [「感動創造カンパニー」ダスキン城北の部屋!仕事も人生も感動だっ!]
◎一般財源化、来年中に具体案=道路財源見直しで基本方針案−自民部会 ガソリン税、自動車税といった、いわゆる道路財源を、道路のためだけではなく、幅広い使い方ができるようにと一般財源化に向け基本方針の原案を提示した。 この流れには、賛成論、反対論が拮抗してい....... [続きを読む]

受信: 2005.12.09 19:01

« 12/6 小嶋立件せよ | トップページ | 12/7② 政権はしたたかに私たちの情報源を絶つ »