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2005.12.27

12/26 領土の意味

本をつまみ食い。今さらだけども小熊英二「民主と愛国」を読み始める。

岩下明裕「北方領土問題」(中公新書)を読む。北方領土というと、右翼だ民社だと特定のイデオロギーの問題のような感じがするが、実際、根室で暮らしている元島民や、根室の漁民にとって、もっと現実的な解決をしてほしいということをクローズアップしてその考え方をまとめていて面白い。

北海道の横路道政の評価点の1つに、北方外交がある。極東ロシアにない医療水準や、モスクワからの配給や開発政策より機敏に対応できる北海道の能力を売りにして、ロシア人たちに、モスクワより札幌を見れという政策だ。極東ロシアにとって、モスクワからの物資の流通はあてにならず、日本や朝鮮、中国との交易の道を開くことが極東ロシアの発展になる、という考え方がある。それをうまく使った自治体外交政策だった。
これは司馬遼太郎の「ロシアについて」を敷衍したものだと思われる。
横路孝弘さんが知事をやっていた80年代から90年代前半は、旧ソ連が凋落の一途を辿る時期だった。モスクワの社会政策に依存する極東ロシアにとって、ソ連の威信の低下、ソ連の崩壊などで、モスクワを頼りにできなくなった。その中で、日本との交易に着目したのが、サハリン州や千島のロシア人だった。北方領土問題を解決するのはそのタイミングだったのだと思う。
しかし、90年代後半から、ロシアに変わったソ連は余裕を失い、また日本も、経済の低迷によりナショナリズム的な世論が強くなり、日露での現実的な領土交渉が不可能になってしまった。テリー伊藤が、鈴木宗男が2島返還+2島継続協議を提案し、ロシア政界に根回しをして実現を図ろうとしたことを、国賊呼ばわりした。そんな世論が現実的な返還論を頓挫させてしまった。

四島一括返還論を唱えている限り、北方領土は永久に返ってこない。北方領土が返ってこないということは、根室や羅臼の漁民がロシアの警備艇に常に拿捕される危険性のもとで漁業をしなければならない。北方領土が全面的に返ってきたって、日本政府はそこの公共事業に多大な出費をしなければならない。そんなことを考えると、二島返還論でもロシアとの関係を安定させて、極東ロシアと日本との安定した貿易が可能な環境を作ることが大事だと思う。

そんなことを考えていた私に、とても参考になる本だった。
領土問題はデリケートだ。しかし、その領土が役に立つ領土になるのかならないのか検証し、領土という欲目を脱皮して、国益とは何か、と考えると、もっといろいろな可能性が出てくる、という話はとてもよかった。

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コメント

ドサクサに紛れて掠奪した土地、というなら満州などもそうなのだろうか?いや、北方領土はそれよりう~~と前から日本の領土だった、ということか?う~~と前ではなく、明治五年に強奪した沖縄はどうなのだろうか?竹島しかり、正々堂々と、たとえば新聞の数面を費やしてあるいは某公共放送は 一週間くらい費やして双方の主張を徹底的に闘わせないか。

沖縄は、日本政府だけじゃなく国民の恥部。日本に返還すべきじゃなく、日本からも 米国からも独立させろ!(事実県民の過半数はこうおもっている、という調査がある)という声があって当然だろう。わたしは、県民のため、 米国に帰属する、という案がいいとおもう。そうすれば、いまのような人権無視のような状態は国民(いまの 米国民)が許さないだろう。すでにコロニー状態の日本自体も、名目的にも、米国に帰属した方がいいかもね。

投稿: 井上 | 2005.12.28 12:14

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