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2005.12.23

12/22 騙しとすりかえの子育て政策

今年の夏、上尾市の保育所で子どもがかくれんぼで隠れていたら、熱中症で亡くなるという痛ましい事件があった。
その後、市役所と保護者の間でいろいろやりとりがあったようだが、ここに来て、市役所が再発防止のために保育所の民営化を始めるという計画を持ち出した。当然、保護者会はその不謹慎さ、それから計画とその原因の関連性のなさ、さらに民営化そのものに疑いをもって批判している。

nekokan @diary on the web とうそうせんげん より

行政の民間委託では、実施側の行政と受益者の市民との間で論理のすり替えが盛んに行われているが、これはその一番極端な事例だと思う。上尾市役所は公務員だから死亡事故を起こした、と非論理的なことを言っている。どう考えても事故と直営か民営かということに因果関係はない。そういう非論理がまかり通っているのが自治体の民営化の手口の実態である。民営化のほんとうの理由は市の財政問題か委託先企業への利益供与だろう。火事場泥棒に等しい市役所だ。

保育所の民間委託は受託業者がなかなかみつからず、売り手市場。市民や保護者が厳しくチェックしないと受託業者ベースで委託基準がつくられ、日々の保育、親子と保育所のコミュニケーション、安全性、どれも不確かなまま委託が進められてしまう。

●少子化による人口減の理由は子育てにお金がかかるという論調の報道が盛んに行われている。このような報道は単純なデータ分析による解釈でしかないし、公明党の児童手当拡大を正当化するだけだ。

子育てにお金がかかるということの内容をきちんと解明すべきだ。「お金がかかる」と回答が1位に挙がるのは、回答設定で誘導尋問が行われているとしか思えない。実感として出産も結婚もしない人の中にお金がたくさんある人は少なくない。30代のお金持ちたち、ホリエモンも、三木谷も、子どもがいたかな。

「お金がかかる」誘導尋問の結果として出てくるのが、児童手当など子育て中の親に対する所得補償だ。これは中身のないばらまき政策でしかない。個々の家庭での効果が少ない割に、自治体の事務経費を含めて総額では大きな財源が必要になる。もらう方はありがたがってしまうので、「既得権益」化してしまう政策変更ができない。オレもオレもと高額所得者にまで薄く広がる話になっている。公がやる以上、保育所や出産など、個人で負担が厳しい子育てサービスをまず現物できちんとそろえてから、所得補償政策を展開すべきで、ごっつあん体質の慰労金みたいなものは出すべきではない。

児童手当優先策の非論理性は高齢者福祉と比較すればわかる。介護保険導入時の議論でも、自民党の守旧派議員が、家族介護は日本の美徳だから専業主婦の介護に現金給付を出せ、と最後まで粘ったが、雀の涙の現金給付で家族介護の地獄的家庭環境を放置する、という考え方で現金給付は否定された。
ところが子育て政策ではこうした価値観の転換が行われず、子育てしている家庭は大変だ大変だという没論理によって財政が使われている。また各地の自治体は具体的な高齢者福祉の整備とともに、元気な年寄りしか喜ばない長生き報酬みたいな現金や金杯のばらまきをやめている。
保育サービスや出産など個人負担が難しい施策や、公教育の再建で塾などの私的教育費がかからない社会をつくっていくこと、まずはこれに集中してほしい。労働にもどづかない所得補償は、今の子育てのゆがみを放置して助長することにしからならない。

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コメント

>公教育の再建
とにかくこれは最優先です。塾が不要になれば、子どもにかかる経費は激減します。
今の小学生を見ていると、授業時間が絶対的に少なくて、演習はすべて宿題です。
昔は宿題なんてやらなくてもそこそこ力がついたのに。
教員のゆとりに端を発した時間短縮のために、子どもも親の財布も危機に瀕しています。
足りないのはまず、授業時間数ですね。

投稿: takeyan | 2005.12.24 02:35

コメントありがとうございます。
塾依存症・私立中学信仰とも言える今時の親の考え方を変えてもらいたいですが、その前に、公教育を変えなくては(それも教育談義好きがよく挙げる歴史教育じゃなくて教育そのものがまずい)塾行くなとは言えませんものね。
授業時間数だけか、ということは諸説あってわかりませんが、takeyanさんの言うように、エリート校に進学するのでなければ放課後勉強しなくともやっていけるぐらいの社会にしないとまずいですね。
あと、学力以上に日本の子どもの読書力と作文力の水準の低さはひどいらしいですね。
わたしもこうして長文だらだらとひどいですが、これができずに多くの人が社会で大変な思いをしています。単純業務の多くが機械化OA化されてなくなる中で、人間でしかできない企画力や提案力というのは読書力と作文力が基礎になると思うのですが、多くの保護者も教員も単純労務のような学習にしか価値を見いだしませんね。

投稿: 管理人 | 2005.12.24 09:23

そもそも日本の学校の作文教育は、考えを論理的に語る力ではなく、「らしい」作文を綴る力を重視して来た気がします。本音を書くと担任に嫌われましたからね。そして、「求められること」を書くと賞状がもらえた。
今後は、単純作業の能力を重視するのでしょうかね。そして、それすら宿題をしっかりと親がフォローする家庭以外では身につかないわけです。子どもは親を選べないのに。
ちなみに、授業時間数は「まず」第一に足りないと思いますが、他にも問題は山積ですね。

投稿: takeyan | 2005.12.26 22:21

コメントありがとうございます。
単純作業の能力なら、韓国や中国やベトナムがどんどん追い上げてくるわけです。その後ろにはさらにビルマだバングラデシュだと代替はいくらでもあります。
創造性なんてインチキなこと言いませんが、自分がもやもやと思っていることをかたちにする人を育てないと、この国の未来は90代になった団塊の世代に担ってもらうしかなくなってしまいますね。

投稿: 管理人 | 2005.12.27 00:15

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