12/21 議論なき復讐社会
かつて持っていた映画会社の株が急騰している。映画会社は斜陽産業だ何だと言われて、安く買える株の代表格だった。金融危機の頃は10万そこそこで買った株の優待券で1800円の映画を毎月見に行けた。20万ぐらいになったときに、家庭の事情で映画も見れなくなったし、儲けさせていただいて十分御の字だと思って売ったら、あっという間に50万もするようになった。●●ファンドの暗躍か。ちょうど決算まで株主だったので、投資ファンドからの防衛措置についての説明書も来る。狙われたら悲惨なものだ。
その株が評価されている理由は、一等地に土地を持っているからだという。入場者数が激増しているわけでもない映画会社が50万の投資に見合うような配当金を出せるとは思えない。投資家という株主たちは、「有効利用」という名のビルの建て替えを迫り、本業そっちのけの不動産賃貸業に力を入れろ、というつもりなのだろう。そのテナントの高い賃料を維持するために私たちは高い食べ物を食べさせられるのだ。ちっともバブルの反省ができていない。竹中や中川が何を言おうと、金利を上げるべきだと思う。
高く売れた株を逃した悔しさもないわけではないが、思い入れを持って買った会社の株が翻弄されているのはもっと辛い。しかしもう手出しできるような値段ではない。
●横路孝弘衆議院議員の東京後援会の忘年会に出る。首都圏に戻ってきてから2回目になる。小泉と前原の不毛な「改革競争」政治への危機感と、その中で良識的な政治家にがんばってもらいたい応援の気持ちで行く。後援会長も議員本人も、議員の妻もほんとうに危機感を持っている。政治の世界に議論が無くなったことを嘆いていた。
前原の「中国は脅威」発言に、外交常識では、脅威と言ったら戦闘体制に入ることを意味するがそうしたことを気も遣わずに発言することを批判し、心配していた。また日本は国民負担率が低いけど、教育にお金を使わず人が育たない我が国の現状を嘆いていた。国民負担率だけで政府のありようを評価する経団連+松下政経塾体質の政治を変えてほしい。
●前原民主が、公務員の人件費を3年で2割カットと。無茶だ。公務員の人員減がなければ600万の年収の公務員をたった3年で480万にしないと計算に合わない。公務員たたきの先輩、小泉首相だって5年で10%削減する程度。政治家が、非現実的なバーゲンのたたき売りのやり方は知性のあるとは思えない。公務員の働き方が良くなる展望もないし、地方経済への影響も少なくはないだろう。
人員減ができるかといえば、マンション強度偽装事件でもわかったように、人員減らしの中で役所は育てるべきスタッフを育てず、民間に任せきりにしていく。さらには役所の監督機能まで放棄する「改革」を行い、役所の審査は無意味なものとなった。それで人件費は減ったかといえば物件費や委託費などに化けて、財政健全化にはつながらない。委託先業者と役所が共生のもたれ合い関係になるので、事業そのものを見直しすることは困難になる。
また、これからの政府の役割は、安全の監視、福祉、教育など、物件を購入して済ませられるものではなく人件費によって実現されるものに変わっていく。例えば、交番や警察署を建設するよりも、警察官を増やす方が治安には役に立つことを想像してもらえばいい。公共事業から人件費にシフトしてもいいぐらいのものだ。
国民は小泉首相の政策を激しくしただけの主張に対して、現実性も、また小泉を上回る共感を呼ぶとも思えない。もっと質的なものを提示しなければ政権担当能力を疑わざるを得ない。国民が公務員を憎んでいるから公務員を叩く、中国に苛立っているから中国を批判する、そんな中からきちんとした理念と知性のある政治が生まれくるとは思えない。苛立ちとレッテル貼りと復讐の論理だけだ。
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コメント
今日、賃金カットの説明会に出てきました。人事委員会の報告がでましたからね。
一応、5.8%のダウン。財政が悪いのだから仕方がない、民間であれば財政が悪化すれば賃下げもあるだろう、なので納得していただきたいということらしいです。
民間準拠と言うならば、賃下げする経営者はただ働きしてますよ。小泉クンも竹中クンもきっちり給料もらってますからね。前原に至っては最低だと思います。世論に迎合することは否定しませんが、筋の通った「政策」を打ち出すことはできないのでしょうか。中国や公務員など叩けるものは叩く、というのでは自民党政権と対立して信頼を勝ち取ることは無理でしょうね。
選挙のために甘い顔をするなら、まだ政権担当経験のある自民党の方がましです。民主党からある種の活力が失われているような感覚を持つのは窓だけでしょうか。
投稿: 窓灯り | 2005.12.21 23:15
東ドイツを崇拝していた社会党がいわしの頭だと気づくのに9年しかかかっていないのに、「改革派」かそうでないか、という意味のないレッテル貼り競争の論理が93年の総選挙から12年も続いています。活力がなくなって当然でしょう。自称若手議員も考え方違うのに菅直人や横路を追い落とすために談合ばかりやっているし。
自称「改革派」の12年の長さは、社会党より醜悪なかたちで時代に取り残されるのではないかと思っています。まして鈍感な民主の「改革派」は小泉首相のスピード感には追いつけないと思うし。
投稿: 管理人 | 2005.12.21 23:34
管理人は横路支持派のように見受けます。
わたしは、一時、管を支持していたが。。年金問題以降覚めてしまった(なんで、あんなことではしゃいだり、おたおたしたりしたのか?)。
横路氏とマエハラは多少方向性はちがうが、気を見るに敏、という感じしかもっていない。組合などは日本の癌だとわたしはおもっているから旧社会党系の議員はさっさと退職して欲しいね。マエハラを代表に選ぶような民主党には希望はない。早く党を割ることが先決でしょう。
投稿: 井上 | 2005.12.28 12:23
菅氏の年金疑惑は、前原やその側近の若手議員たちが仕掛けた罠だったからです。それはおたつくでしょうね。
私はもともと社会党右派や社民連の支持ですから、民主党では菅・横路支持です。
前原氏と横路氏は大きく違うと思います。内政面では同じような方向のように見えますが、前原は「思いやり」と言うだけで、具体的な福祉政策や教育政策の具体的なことを言及したのを聞いたことがありません。それに対して横路氏は北海道知事時代から(社会党左派に対抗する意味も含めて)一貫して北欧諸国の政策を研究していて、その点についての見通しは具体的に話せます。98年ぐらい以降の自称改革派の議論では成熟しつつある日本の社会が良くならないと確信しているようです。菅氏はもともと土地政策と福祉政策が専門で、大臣経験で介護保険創設などその能力が発揮されたので言うまでもないと思います。
党を割るのがいいのか、前原を追放あるいは失脚させた方がいいのか、選挙もありませんから、もう少し見極めた方がいいのでしょう。
組合が癌なら、私も組合の職員ですので癌の一味です。所詮野党の支持団体ですし、社会を滅ぼすほどの強力な存在とも思えませんが、何だか特定の思想をお持ちの方には労組さえ無くなれば、富が再分配されて自分は豊かに自由に暮らせると思っているようです。私はそんな楽天的な見通しは持ちませんが、それはそれで1つの考え方でしょう。ですから癌とおつきあいしても仕方ありませんよね。
投稿: 管理人 | 2005.12.29 00:29