12/1② 社会民主主義の点滴療法と生命維持装置
めまいがする悪寒がして本日休業。
睡眠の間に間に山口二郎「ブレア時代のイギリス」(岩波新書)を読む。大陸型の社会民主主義のリニューアルは必要で、その最初の成功例は「第三の道」イギリスのブレア政権だが、その失敗も出てきて見過ごすことはできなくなっている、という内容。評価しているのだか、問題点を指摘しているのかわからない。サッチャーよりましだが、相変わらず使えない医療、国鉄を民間に払い下げたら次々にレール破断が続出したことなど、ブレア政権のイデオロギーの本質にかかわる問題について評価がされていない。
今回の総選挙のような劇場型政治について山口氏は早くから知っていたようだが、こんなに早く日本で始まるとは思っていなかったようだ。
我らが社会民主主義者の悩みが俯瞰できる一冊だ。
続いて、職場でちょうだいしてきた「ポスト福祉国家とソーシャルガヴァナンス」(ミネルヴァ書房)を読む。読むんだけど、筆者たちの逡巡だけが伝わってきて、社会民主主義の素晴らしい理念をどう国民に伝え、今の民主党や社民党を変えたらよいか、労組のシステムを変えたらよいか、わかりにくかった。
グローバル経済に移行し、国民経済が成り立たない以上ケインズは否定されるべきで、IMFやプラザ合意にもとづく構造改革を容認せざるを得ないという立場である。社会民主主義の抜本的な自己改革が必要であっても、その立場は社会民主主義そのものの原理を再構築できないのではないか、という読後感がある。社会民主主義の立場を日本でうまく提示できない限り、民主党左派と社民党は護憲平和の教条主義と増税反対による団結感でしか生命は維持できないだろう。
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