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2005.12.17

12/17 無意味な増税談義

与党の税制改革大綱が決定されたことに、マスコミや野党が愚にもつかない批判をしている。

マスコミは、専業主婦で2人の子がいる家庭で、年3万の増税云々というものだ。どのくらい増税されるか明らかにすることはマスコミの役割だろうが、値上げされた値上げされた、と騒いでいるだけで、どうして増税が必要だったのか、その議論の検証はされていない。
おそらく、現在の財政収支を考えたり、あるいは他国との比較をすれば日本は増税せざるを得ないということを野党もマスコミも知っていながら、そのことを認めたくないからだろう。そういう自己目的化した在野意識は全く無意味である。

増税せざるを得ないとなったときに、はじめて政策論争が生まれる。そのときに所得税中心の増税でよいのか、検証されなくてはならない。それなのに相続税や法人税など減税され続けている税金とのバランスを検証する記事も少ない。不労所得なのに相続者の4%しか負担していない税でよいのか、法人税を安くすることでしか国際競争力をアピールできない日本とはどんな国なのか、そうした検証は全くない。

今回の与党税制大綱の中で評価できる点はいくつかある。

発泡酒の増税は評価したい。企業努力という名のもとに税金逃れが堂々と行われ、まがい物を安く買わされることを税制が後押しすることはおかしな話だ。国家からお金を補填してもらって(免税というかたちで)酒を飲むというのはどうなのだろうか。メーカー、マスコミの言っていることはちゃんちゃらおかしい。市場がもどき飲料で満たされたら、本物のビールをつくるなんてばかばかしくなってしまうだろう。この点について今回の改革は正しいと思う。

逆に不満は、低い値上げにどまったたばこ税である。たばこを吸う人が、慢性疾患にかかる率が高いということが明らかにされているのに、たばこに対する税負担は少ない。体悪くするのを承知でたばこ吸って、慢性疾患になったからと健康保険使いまくっていることはどうなのだろうか。たばこ税をもっと高くてよい。

全くばかばかしいのは民主党のコメントである。徹底した歳出削減をしないと増税してはいけないと。
では徹底した歳出削減とは何なのか。国のお金の無駄遣いは戒めなくてはならないが、それは財政再建論議とは別物で、財政の民主性を確立するための必須の課題である。徹底して摘発したところで兆の大台には乗らないし、そこまでやる摘発のコストの方が無駄だ。
となると、徹底した歳出削減は公務員の不祥事暴いて捻出するだけではなく、今やっている政府の事業を切り捨てていくしかないが、その範囲を民主党は全く明らかにしていない。その定義がなく、税金を上げずに財政再建をするというなら、国民の払いたくない税金を極限まで減らす話になる。無税国家を賞賛する愚か者までいるから、民主党の理屈でいけば究極の小さな政府論も受け入れざるを得ない。そうなると、保育料を自前で払え、ヘルパーの人件費を払えない障害者は家族に手間がかからないように座敷牢に入っていろ、金のない母子家庭は売春しろ、生活保護は野宿しろ、と戦前のような低福祉社会を覚悟せざるを得ない。現に小さな政府論&不正徹底追及派の民主党の地方議員には「弱い奴に公的支出をするから強者は自由になれない」と、それに近いことを言う人もいる。地縁や親族間の経済的なたすけあいが崩壊しているこの社会では戦前以上に悲惨なことになるだろう。

政府の役割とは何なのか、必要な財政需要とはどんなものなのか、きちんと明らかにしていく必要がある。徹底した歳出削減より、あるべき社会像や政府の役割をきちんと明確にすることが先決で、その上で誰にどのくらいの負担を求めて政策効果を実現するのかを提示しないと政権交代のチャレンジャーの資格は持てない。

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コメント

 今朝、出かける前に服を整えながらテレビを見ていたら、宮崎某という自称評論家が、「国家資産が700兆円あるんだから、それを売却してから増税しろ」とわめいていました。
 一緒に見ていた妹が、「700兆円の資産の中身は?」と聞かれたので、「庁舎や道路用地や国有林野とかあると思うけど、700兆円の根拠も曖昧だし、国民生活から見て「売れない資産」がほとんどだと思うよ。たとえば道路は土地資産だけど、売ってなくなってしまったら困るでしょ。」と答えておきました。
 …はっきり言って、自称評論家の連中の空虚空論には辟易しています。テレビに出ていたり、新聞の活字になったそれらを鵜呑みにしてしまう国民なのですから、偽装マンションにだまされてしまうのも当然だと思いました。
 おっしゃるように、政府が行わなければならない行政サービスはどういうことなのか、それに係る経費はどれくらいか、それを誰がどのように負担するのか、を議論し決定していかないといけないと思いますが、どうも「小さな政府」論者の意見を聞いていると、福祉を含めた行政サービスは大きく、税金は安く、サービスの担い手の公務員の賃金は減らせばいい…、と不可能な議論に終始しているような気がしてならないのです。小さな政府、夜警国家であれば、大半の福祉政策は放棄せざるを得ないのが現状だと思います。

投稿: 窓灯り | 2005.12.17 18:52

偽装マンションにだまされてしまうのも当然、というのには笑ってはいけないけど笑ってしまいました。
歴史の事実はレーガンもサッチャーも財政赤字を膨らましたのです。小さな政府は行政サービスの縮減以上に税金を負けてしまうのでもっと財政を痛めつけます。
余計な心配ですが、税逃れや社会保険逃れをやってきた小さな政府を主張する人の老後や病後というのも公的負担が大きくなりがちです。竹中平蔵ぐらいに何億も資産があれば別ですが。

投稿: 管理人 | 2005.12.17 19:23

 評論家の空虚空論よりも、現場で汗を流している人の論理の方が深いと思うのですが、現場の意見よりも評論家の意見に流されやすいのですよね。それも根拠も薄い意見に。
 建築業を営む人に聞いたのですが、プロはまず基礎がしっかりしているかを見るそうです。お客さんは上物の見てくれを重視する方が多いそうで、基礎の話をしても興味を持たれないんだとか。
 生活保護行政を見ていると、現在、50代から60代の申請者が急増しています。理由は、税金逃れ、社会保険逃れで生活してきたが、就業できず、結果勤労収入もなく、年金もない、そして生活に困窮して保護申請となるケースが多いようです。
 税金逃れ、社会保険逃れのなれの果てがこれですけど、こういう人たちが小泉自民党を支持して、小さな政府論をぶちあげているのを見ると、苦笑してしまいます。

投稿: 窓灯り | 2005.12.17 22:32

税金を払うことが喜びになる社会になればいいですけど、高すぎる理想かも知れませんね。
せめてもしものときの誰でも入れる保険の保険料ぐらいに思ってくれれば、と思います。そうすると政府の役割がぐっとクローズアップできると思います。

投稿: 管理人 | 2005.12.18 00:01

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