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2005.11.04

【地域福祉計画④】入札優遇制度

障害者雇用や、子育てしている保護者を優遇している企業を朝霞市の入札等で優先しようという考え。価格入札の公平性に逆行するが、福祉面での社会的責任を果たさない企業が入札で不利になるということで、企業が障害者を雇ったり、子育て中の労働者に配慮したりすることで、福祉ニーズを何もかも社会に押しつける企業の行動スタイルを、せめて市役所に出入りしている業者だけでも変えてもらおうというものだ。

かつてはハコモノ公共事業以外の自治体の物品購入(具体的にはシステム開発費など)の多くは随意契約になっていたが、95年前後に価格入札に切り替わった。その結果、1円入札などが流行し、ランニングコストで回収したり、自治体のシステムを押さえて自治体に対して優位な立場でシステム開発を行ったり、下請け業者に丸投げしそこでは最低賃金すれすれで人が働いていたり、副作用の問題が出てきた。その後、自治体と取引する業者のモラル性も含めて、法大の武藤博巳さんなどが公契約はどうあるべきか、ということについて、議論が進められてきている。

朝霞市の福祉を前進させるのに、財源はない、何もできない、前例はないという中で、障害者の地域生活の支援を進めなくてはならなくなっている。そこへきて国の障害者自立支援法で、障害者福祉は医療費などと同じように従量制の自己負担になった。障害者の地域生活と所得保障は実現不可避な課題になっていて、従来の障害者年金に生活保護で補えばいいというものではなくなっている。障害者の雇用をつくり、既存の雇用を障害者たちにも開放し、自らの手で稼ぐ道を開いていかなければならない。

その場合、企業にとってネックになるのは、障害者の労働にかかるコストや非効率的な部分である。同じ事するにも障害をもたない人より時間がかかったり、補助具を用意しなければならなかったり、さまざまなハンデがある。そうして努力した企業はどうしても障害者を雇わない企業よりコスト高になる。

公共性を体現する市役所が、そういうハンデを何一つ評価しないで価格中心の入札でよいのだろうか、という私の問題意識で提案した。

障害者も自立して働かなければならない、ということは今の福祉関係者の主流の考えだ。ヤマト運輸の小倉前会長の努力で障害者による就業や事業の実践も大きく前進した。この考えがすべての障害者に適用できると思えないし、ベースになっている考え方は「小さな政府」論だから手放しに賛同できないが、少しでも働く力があるのに、働く場が無い障害者がいることは、明らかに良くない。

市役所は障害者の起業支援は取り組むようだが、雇用を創ることにはまったく無関心だ。就業もしないで起業できるのは障害を持たない人だって、なかなかいない。素案では障害者雇用に取り組んだ企業を入札で優先するという項目を市役所は一方的に削除した。昔のままに、障害者は働かなくていいから、障害者は県立施設にでも入ってくれればいい、というメッセージなのだろうか。あるいは、自治体職員にとって一番悩ましい課題である入札について書かれた新書すら目を通していないせいなのだろうか。

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コメント

ご存知かもしれませんがアメリカではLiving Wage運動というのが活発でして、地方自治体を対象に、自治体の仕事を引き受ける業者には最低賃金の1.5倍程度の支払いを義務づけるのがその内容です。ロサンゼルス市もこの条例をもっていて、最低賃金が全然上がらないアメリカでは、左派勢力がつよい地域だけでも何かできるという意味で一定の効果を挙げているようです。

投稿: 村越 | 2005.11.05 16:15

 村越さんのおっしゃるように、公益上の要請を仕様書に盛り込むことは、非常に有用な政策なのかもしれません。実際に建設工事などは「建退共の加入を義務づける」という規定があって、契約書に建退共の証紙を貼って消印したものを添付させたりしていますから、雇用契約書または労働協約の写しと就業規則の写しを添付させる、といった方法が取れるのかもしれません。
 しかしながら、現在の入札改革では「いかに安く受注させるか」に主眼を置いているきらいがあります。一部を除くマスコミは入札制度を改めないから価格が高止まりしている、と書き立て、オンブズマンのまねごとをやっている市議会議員や弁護士などが尻馬に乗っかっているのが、現在の地方政界の現状です。
 こうした「価格破壊」が進んでいく中で、指定管理者制度に移行していきます。そこで就労する地域労働者の地位がすさまじい勢いで浸食されないか、不安を感じずにはいられません。

投稿: 窓灯り | 2005.11.05 22:22

村越さま、いつも有用なコメントありがとうございます。
郊外型店舗の問題で知りましたが、アメリカは国は自由競争のめちゃくちゃな国ですが、自治体が強く、国の制度の問題の穴ふさぎをしているようですね。
障害者のことだけではなくて、母子家庭や、フリーター、派遣労働者のことなど考えるとLivingWage運動は重要だと思っています。
保育所の労働運動に携わっていたときに、政府の審議会で御用学者の八代尚宏氏が、月19万の人件費を基準に組み立てられている保育所の補助金が「高すぎる」と批判し、パートや派遣労働者を活用できるよう規制緩和を強烈に求めてきました。意識していないと思いますが、女の職場なのに常勤なのはおかしい、という感覚なのでしょう。またパート労働や派遣労働者は常勤の半値で雇っていいという感覚もあるのでしょう。保育士が母子家庭になってもアパート借りて、子どもを高校に行かせることのできる給料を払わずに、最低限の保育が継続的に維持できるとは、思いにくいものです。
また、1年前にも批判した「日経ビジネス」の論調にみられるように、食べていける賃金を守ろうとすることが「企業努力を疎外する勢力」と断定され、それを深夜労働をさせられているサラリーマンが喜々として読んでいるのですから無力感にかられます。

窓様、重ねてコメントありがとう、です。
自治体のオンブズマンは、自治体に不利益な扱いを受ける人がいるので必要だと思いますが、今の日本のオンブズマンは単なる検察の業務代行ですね。
守るべき人を、強者である高額納税者とするのか、自治体に発言権の無い人なのか、姿勢を問わなければならないと思います。
それにしても、自治体契約は透明性が大切なので、随意契約にするにしても、どういった優先順位で契約を決めるのかの規定は必要ですし、価格だけではない入札をやるなら、どういった基準を優先するのか、明確にしなければならないことは当然です。自治体の下請け企業の労組も、生活できる賃金を保障せよ、という交渉を進めることは今後も継続しなければならないですが、並行して、こうした委託契約や公契約に人を安く買うような企業を排除して、自治体がほんとうの企業努力を評価する仕組みを創ることが大切だと考えています。

投稿: 管理人 | 2005.11.06 08:16

 自治体契約については透明性が求められるのは、正当な要請だと思います。現在、我が市では、建設工事は原則として予定価格を公示していますし。
 個人的には建設工事やコンサルティングなどは難しいのかもしれませんが、物品などは詳細な仕様書を作成し、公開して自由に入札に参加させる一般競争契約がいいのかな、とも考えています。
 建設工事やコンサルティングについても、地域貢献度や環境レベルなど数値化して契約に反映させるなど、改革していく方法はあるように思えます。
 契約改革の流れの中で来年度からは、物品を含め原則一般競争入札に移行する予定です。

投稿: 窓灯り | 2005.11.07 21:01

建築の世界は、建築士と建設会社が建前では分離しているので入札を推進しなければならないと思います。
一方、プレゼンテーションと営業が密接不可分な業種は大変です。官需の多い文具屋に務めていたのでわかるのですが、100万円のコピー機ですら、一般競争入札をすると利益が上がらなくなります。そんな中で役所により仕事がはかどるコピー機や、システム開発と連携したコピー機などを提案しても、入札にかけられるとしたら、まともなプレゼンテーションを業者はできなくなります。
すべてが入札でよいのか、疑問は残るところです。しかしそれ以外に公平な方法というのがあるのか?効率良く働いてもらうために税金を多少無駄に使われてもいいんだという社会合意が作れれば考えられますが、いまのように多少の非効率があっても税金の無駄遣いは最優先でなくす、という社会合意のもとでは入札以外にないのかも知れません。
だから逆に環境や福祉の視点を入札を有効に使いたいですね。

投稿: 管理人 | 2005.11.07 22:25

なんでも入札というアホな主張は市議会でも多いのですが、一方で、少し隙を見せると業者が付け込んできます。
結局職員の企業努力が大切だと、和光市の総合体育館の入札関連の見積もりで感じさせられました。

投稿: takeyan | 2005.11.08 09:47

ハコモノはいいんですよ。設計と建築が分離できますから。どんどん価格競争すれば。
難しいのは保育園とかシステム開発とかごみ収集で、完全価格入札では、保育士の人件費をけちって暴力保育が行われたり、期日を守らないシステム開発や、市民の情報を流用したり、カミカゼトラックでごみ収集をして収集員がたまにパッカーに入っちゃったりするわけです。
朝霞の宮戸保育園は、プロポーザル入札といって価格とサービスの内容を入札にかけたのですが、提案書が立派で落札した大手業者は、現場に権限がなくすぐ保護者と会社の板挟みに保育士がおかれるし、不安定雇用の保育士ばかりだし、たえず保育士が入れ替わっているようです。
難しいところですね。ただし宮戸保育園がどの業者と入札で争ったかは情報が入りません。

投稿: 管理人 | 2005.11.08 20:45

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むう、カタイ話は肩が凝る(´・ω・`) しかれども、ここでくじけてはクリステル嬢にも申し訳ない(写真はくりろぐ様から)。だから、もうちょっと頑張って一連のエントリは今回でまとめてみる。 これまで障害者自立支援法案をたたき台にして、何らかの「権利」なり「福..... [続きを読む]

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