11/30 まるで泥棒に追銭【マンション強度偽装問題】
マンション偽装問題で、国や金融界が動き出した。銀行や住宅金融公庫は借金返済の繰り延べに応じると方針を示す。一歩前進だ。
ところが政府・自民党の支援策がどっち向いているのかと言いたくなるものだ。
自民党の武部は、マンション強度偽装問題が広がれば業界が潰れるから騒ぐな、と言って集中砲火浴びた。それを誤魔化すかのように翌日、全国のマンションの構造点検を国費でやるとぶち挙げて、話がどんどん進んでいる。
一見正しい政策に見えるが、事件を利用してマンションを造ってきた業界を再び国民のサイフで潤すだけだ。被害にあった入居者は何も救われないし、マンション業者に厳しいこと言えない建築士たちが国の金で調査らしきことして「大丈夫」とお墨付きをつけるか、あるいは強度基準を満たしているマンションを、「危険だから建て替えろ」と言って二重取りするか、そのモラルハザードの歯止めはない。マスコミもヒューザーの小島の奇行を面白おかしく伝えるだけで、このタイミングで武部が打ち上げたこの政策の落とし穴をちっとも検証していない。その税金の一部は伊藤公介代議士のような政治家のパー券に消えるのだろう。
さらに政府は、危険なマンションの建て替えの費用を税控除しようという方針もぶち上げている。よく考えてほしい。今回の事件で生活再建のめどが立たない所得水準の人(年収700万ぐらいまでかな)は、所得税の住宅ローン減税で今後10年ぐらいはほとんど所得税を払わなくて済んでいる。彼らは今さら控除を上乗せしたところで何のメリットもない。一方、利殖用に買ったような人は、住宅ローン減税が適用されないため、建て替え費用の税控除がまるまるメリットになるのだ。利殖用マンションだけの救済策ではないか。
武部と政府の思いつきの政策で、60年使えるマンションを30年ぐらいで建て替えさせ、今回の事件を利用してマンション住人を脅かして一生借金漬けにしていく。その一方、マンション業界だけが再び潤う。
※このからくりは山岡淳一郎「あたなのマンションが廃墟になる日」を参照されたし。
私は、今回のマンション強度偽装問題で、国や自治体のお金は投入すべきではないと考えている。悪徳業者の借金を国民が尻ぬぐいすることになるからだ。基本はそんな業界モラルを見過ごしてきた不動産業界、建築業界、建材業界、建築士団体などがお金を出し合って解決することだ。次に、投資不適格物件にローンをつけた提携銀行に対する一定の責任分担、まずそこから検討すべきだろう。各業界が出血する痛みを感じない限り、不動産関連業界は自浄努力は働かない。いつものように政治に泣きつくだけではダメだ(行政オンブズマン業界も公務員の私生活を監視しているだけではダメだぞ)。
それでも被害者の生活再建の目処が立たないというのであれば、入居者の民事再生などの手続きを行い(不動産がらみの個人の民事再生へ道を開く必要があるが)、最後に税金を入れる絵を描くべきだろう。
税金を入れるにしても、税控除なんてことや、マンション業界にこれ以上税金を使うようなことをせず、直接困った人の生活再建に使われるよう、そして責任官庁の責任を明確にする意味で国土交通省の支出として行うべきである。
自民党の不動産関係の政策は、いつも歪んでいる。そして問題がおきれば泥棒に追銭のようなかたちで厳しい財政の中で捻出したお金をどこかにやってしまう。
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