« 11/29 増税反対は小泉首相にかえっていく | トップページ | 12/1② 社会民主主義の点滴療法と生命維持装置 »

2005.11.30

11/30 まるで泥棒に追銭【マンション強度偽装問題】

マンション偽装問題で、国や金融界が動き出した。銀行や住宅金融公庫は借金返済の繰り延べに応じると方針を示す。一歩前進だ。

ところが政府・自民党の支援策がどっち向いているのかと言いたくなるものだ。
自民党の武部は、マンション強度偽装問題が広がれば業界が潰れるから騒ぐな、と言って集中砲火浴びた。それを誤魔化すかのように翌日、全国のマンションの構造点検を国費でやるとぶち挙げて、話がどんどん進んでいる。
一見正しい政策に見えるが、事件を利用してマンションを造ってきた業界を再び国民のサイフで潤すだけだ。被害にあった入居者は何も救われないし、マンション業者に厳しいこと言えない建築士たちが国の金で調査らしきことして「大丈夫」とお墨付きをつけるか、あるいは強度基準を満たしているマンションを、「危険だから建て替えろ」と言って二重取りするか、そのモラルハザードの歯止めはない。マスコミもヒューザーの小島の奇行を面白おかしく伝えるだけで、このタイミングで武部が打ち上げたこの政策の落とし穴をちっとも検証していない。その税金の一部は伊藤公介代議士のような政治家のパー券に消えるのだろう。

さらに政府は、危険なマンションの建て替えの費用を税控除しようという方針もぶち上げている。よく考えてほしい。今回の事件で生活再建のめどが立たない所得水準の人(年収700万ぐらいまでかな)は、所得税の住宅ローン減税で今後10年ぐらいはほとんど所得税を払わなくて済んでいる。彼らは今さら控除を上乗せしたところで何のメリットもない。一方、利殖用に買ったような人は、住宅ローン減税が適用されないため、建て替え費用の税控除がまるまるメリットになるのだ。利殖用マンションだけの救済策ではないか。

武部と政府の思いつきの政策で、60年使えるマンションを30年ぐらいで建て替えさせ、今回の事件を利用してマンション住人を脅かして一生借金漬けにしていく。その一方、マンション業界だけが再び潤う。
※このからくりは山岡淳一郎「あたなのマンションが廃墟になる日」を参照されたし。

私は、今回のマンション強度偽装問題で、国や自治体のお金は投入すべきではないと考えている。悪徳業者の借金を国民が尻ぬぐいすることになるからだ。基本はそんな業界モラルを見過ごしてきた不動産業界、建築業界、建材業界、建築士団体などがお金を出し合って解決することだ。次に、投資不適格物件にローンをつけた提携銀行に対する一定の責任分担、まずそこから検討すべきだろう。各業界が出血する痛みを感じない限り、不動産関連業界は自浄努力は働かない。いつものように政治に泣きつくだけではダメだ(行政オンブズマン業界も公務員の私生活を監視しているだけではダメだぞ)。

それでも被害者の生活再建の目処が立たないというのであれば、入居者の民事再生などの手続きを行い(不動産がらみの個人の民事再生へ道を開く必要があるが)、最後に税金を入れる絵を描くべきだろう。
税金を入れるにしても、税控除なんてことや、マンション業界にこれ以上税金を使うようなことをせず、直接困った人の生活再建に使われるよう、そして責任官庁の責任を明確にする意味で国土交通省の支出として行うべきである。

自民党の不動産関係の政策は、いつも歪んでいる。そして問題がおきれば泥棒に追銭のようなかたちで厳しい財政の中で捻出したお金をどこかにやってしまう。

|

« 11/29 増税反対は小泉首相にかえっていく | トップページ | 12/1② 社会民主主義の点滴療法と生命維持装置 »

コメント

再びおじゃまします。
どうやら増税に関してもまた賛成or反対の超低レベル二者択一問題に堕ちているようですね。ああした一律的なものの考え方しか出来ない(しない)から、全政党=無知無能集団と言われてしまうのでしょう(TV局は今や「マスゴミ」と言われているので完全に無視していますが)。
税制に関して言えば、取れるところから取らない、というのが最大の欠点(高額所得者であっても納税額の少ない、あるいは払っていない人間や団体があまりにも多い)なので、これをまず改善しないと拙い。それから意味不明な「不労」公団(あまり良くは知りませんが)への余計な出費もなくす事。これが出来れば出血量=国民の負担は随分と軽くなるはずなんです。ただ、今の与党の人間達は「VIP」連中に税金をジョボ流し(あるいは単にばらまいて遊ぶ)する事しか頭にないので、実際増税となると疑問しか湧かないですね。
マンション強度偽装問題に関してですが、関連する人間全てを罰する以外手だてはないでしょうね。おそらく肝心要であるはずの証人は既にこの世には…ですから今や責任を追及して特定する事はまず出来ない。だから国(国交省)も含めた連帯責任&保証の形にするのがこの場合のベストだと思っています。「外注化」は言い換えれば、単に仕事と責任を「ぶん投げる」だけで、もともと規律や倫理はないですし、一般常識に至っては全く通用しない「ダメ制度」なんですね。

投稿: 匿名さん | 2005.11.30 21:32

もう、業界のほんの端っこのさらに端っこを担っているに過ぎないのですが、そのこと自体を後ろめたかったり、恥ずかしく思ったりする今日この頃です。
かといって、自分自身(仕事に関することにせよ、別のことにせよ)一点の曇りがない人生を送ってきているかと、そこも怪しい限り。お恥ずかしい。
親にも「オマエは馬鹿の付く正直もので、人生損するぞ」と言われたくらいの人間なのですけどね…。それでも、この体たらく。
とにもかくにも、子どもに「正直者は、所詮は馬鹿を見るんだよ」なんていうことを教えなくてはならない世の中にだけはなって欲しくないと思います。(すでに、遅いのかも知れないと思いつつ…。)

投稿: yone-zo | 2005.12.01 03:19

yonezoさま
私も社会の後始末をする業界にいるので綺麗と言い切れるわけではありませんが、多くの人の仕事に多少はダーティーな話があっても、ヒューザーや検査機関、設計士、それから背後で演出していたと言われはじめている経営コンサルタントまでもの人の命を左右する仕事なのにこのような不道徳さは無いと思います。
ほんとうに、正直者がバカを見る、と教えて、こすっからく生きることや、人を信頼しないように教えなければならなくなったら、息苦しいですよね。

投稿: 管理人 | 2005.12.01 08:06

匿名さん
マンション強度偽装事件の業者たちは処罰したいですが、彼らの会社に稼いでもらわないと被害者補償もできず税金で尻ぬぐいさせられるというのが現実で、微妙なところです。私は共産主義に反対する者ですが、こういう経済犯に関しては強制労働などの罰があってもいいんじゃないかと思っています。
国の連帯責任は、それを有権者の側が安易に言うのは、国が誰か他人の物だからです。ほんとうは国は有権者のものであるべきなので、国の連帯責任と言った場合自分の責任となるべきなのです。
この事件の1つの本質は、国を客体化して、お上は関係ないと突き放すか、国庫からむしりとる、どちらかの選択肢でしか政策論議・選挙審判をしてこなかった有権者の体質が問われています。
少なくとも、次の選挙では、不動産屋の軒先にしかポスターを貼っていないような候補者を落選させるようにしなければなりません。

投稿: 管理人 | 2005.12.01 10:31

ずいぶんと自分勝手な事を書き込んでしまいましたが……

>マンション強度偽装事件の業者たちは処罰したいですが、彼らの会社に稼いでもらわないと被害者補償もできず税金で尻ぬぐいさせられるというのが現実で、微妙なところです。

まったくその通りだと思います。先日私がゴチャゴチャと書き込んだ理由は「一石を投じて」みてどういった反応があるのかそれを確認したかったのです。

>国の連帯責任は、それを有権者の側が安易に言うのは、国が誰か他人の物だからです。ほんとうは国は有権者のものであるべきなので、国の連帯責任と言った場合自分の責任となるべきなのです。
この事件の1つの本質は、国を客体化して、お上は関係ないと突き放すか、国庫からむしりとる、どちらかの選択肢でしか政策論議・選挙審判をしてこなかった有権者の体質が問われています。

これも痛感しています。これはある意味有権者の無責任が招いた結果でもあるわけですね。だから自分もまた「加害者」の立場にいる、と考えています。ただ、

>少なくとも、次の選挙では、不動産屋の軒先にしかポスターを貼っていないような候補者を落選させるようにしなければなりません。

この「落選」についてですが、それでは他に誰を選ぶ(票を投じる)のか、という点が有権者にとって一番悩ましいところなんです。他の「誰でもいい」という訳にはいかない。まあ、自分に「資質」がない、と言われればそれまでですが。

次回の選挙はおそらく正念場になるのでしょうね。

投稿: 匿名さん | 2005.12.01 11:42

会社が連中をたたき出して、もう一度ちゃんとした会社として再出発して、被害者に補償してくれるといいのですが、のれんに信用がなくなった会社に補償できる体力があるのか、難しいところです。そこに小嶋の開き直りがあるのだと思います。
この地域で選挙で「しがらみのない」を連呼する候補者のポスターが、不動産屋の軒先にだけ貼っていることが不思議でならないです。政界では伊藤公介代議士のようなことは氷山の一角かも知れません。

投稿: 管理人 | 2005.12.01 12:35

ある地域では地主と首相が握手しているポスターが貼ってあったりするので、事態はかなり深刻です。ただ、こういった事からも「しがらみ」政権だ、という事が一目瞭然なんですね。同時にあの問題が氷山の一角どころではないという事をも明示している、といった事を付け加えておきます。

また読ませていただきます。福祉の仕事も頑張ってください。

投稿: 匿名さん | 2005.12.01 14:49

匿名さま、激励ありがとうございます。

投稿: 管理人 | 2005.12.01 22:46

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/7397550

この記事へのトラックバック一覧です: 11/30 まるで泥棒に追銭【マンション強度偽装問題】:

« 11/29 増税反対は小泉首相にかえっていく | トップページ | 12/1② 社会民主主義の点滴療法と生命維持装置 »