11/29 増税反対は小泉首相にかえっていく
昨日(28日)は、遅まきながら「北の零年」を観た。いい国産映画だった。北海道開拓の何でもありの状況で人の気持ちが表になったり裏になったりしていくストーリー展開がよかったし、映像がほんとうに美しい。
今日は、夜、都知事選挙のときに一緒にたたかった仲間と久しぶりに会う。よい年長の助言者が入ってくれた。何の役に立つかわからない社会党・さきがけの政権構想づくりが、あるとき自社さ政権の政権合意になって丸飲みされて話をたとえに、無駄と思うことでも続けることが、突然役に立つことがある、というような話をされ、迫害され気味の中道左派の反転攻勢の元気をもらう。みんな思い切った発言をしてくれて、はっきりした方向性が出てきたと思う。
●外交安保問題や格差社会に対するとらえ方ではみな意見が一致したが、難しいのは増税問題だ。ある程度の効果を見定めての増税は必要だと思うが、政府税調が増税案を出したことに対して、小泉政権が増税を狙っている、という間違った受け止めをして、民主党も、共産党も、労働界も、中道左派の多くの人たちも増税反対の声を挙げているが、結局、増税論を言う自民党の与謝野政調会長や谷垣財務相は、中川・竹中平蔵連合軍に抵抗勢力ではないかと封じられてしまった。
小泉首相の政権構想には、増税回避と財政均衡のために公共サービスをどんどん切っていくことしか方針がない。必要な公共サービスがあるから、増税を考えなくてはならないなんてオプションはない。税金でしかるべきサービスがされないために、無認可保育所や有料老人ホームを使い、生命保険に莫大な保険料を払っている人、そんな人たちの不安や大きな家計の支出は解消されないのだ。
日本は税金が安い。特に相続税や資産課税、法人税は法外に安い。税金が安いだけの国際競争力では中国やインドと同じ土俵で闘う戦略でしかない。そうではなくて、高い技術や能力を創造し活用する社会システムをつくらなくてはならない。それは、国債費と公共事業費と防衛費しか支出項目のない財政構造ではダメなのだ。また社会保険料の負担構造などの見直しをすれば当然一部増税にならざるを得ない。増税阻止は小泉首相と竹中平蔵のバブル政治を利するだけではないか。
| 固定リンク
コメント
北の零年はまだ見たことがないのです。見てみたいと思っています。レンタルされているかな…。
ただ、北海道開拓という国策の裏で、土地や生活手段を収奪されたアイヌ人たちがいることも考慮すべきだと思います。(実際、何人かのアイヌの人と話をしたことがありますが、批判的な見解を持っている人も多かったです。)
役に立つことで思ったのが、北海道旧土人保護法という悪法が廃止されたのは、平成9年の時です。あのときも社会党の五十嵐広三官房長官(元旭川市長)とアイヌ出身の最初の国会議員である萱野茂氏がイニシアチブをとったということです。この運動も地道なことの繰り返しだと聞きます。地道な行動も必ず役に立つものだと信じていきたいですね。
公共サービス維持のためには増税は必要だとは思っていますが、政府税調主導の増税論には異論を持っています。ただでさえ所得課税に依存している我が国の租税ですが、よく「クロヨン」とか「トーゴーサン」のように職業による所得捕捉の差別が存在している以上、給与所得控除を引き下げる、といった政策に憤りを覚えるものなのです。
投稿: 窓灯り | 2005.11.30 19:43
黒川さんもご指摘のように、増税して何をするのかが大事なのだと思います。
税金を増やしたといっても、それは私的部門から公共部門への所得移転にすぎません。政治に対する不信感が、政府の監視へ、ではなく、政府の縮小に向かっているのは、プロパガンダによる大衆操作だと思います。
一方で、結局増税は、金持ちからとって貧乏人にわけるだけという発想もおかしな発想で、金儲けできる素地は、基礎教育や堅固なインフラがなわけで、手厚い公共サービスこそが金儲けの基礎を作るはずです。
どうやって何に金を使うか、というところに議論が収束してほしいものです。
投稿: 村越 | 2005.12.01 03:23
窓灯りさま
まあ、「北の零年」見てください。五十嵐さんの解決のおかけでだいぶ緩和しましたがアイヌ民族の問題は複雑なようです。五十嵐さんはアイヌ民族の民芸品やその技術を活かした家具の卸売業を立ち上げています。経済的に余裕ができたら買ってみたいものです。池袋東武の家具売り場に「北海道民芸」というブランドで売っています。
給与所得控除についての評価は私もできていませんが、私物化できるものや昼食代まで経費控除できる職種の方々や、7割もの控除が認められる医師との均衡を考えると不公平ですよね。この点は連合が怒るべきです。
配偶者控除、扶養控除は、金持ちのニート妻、金持ちのニート息子ほど優遇されるシステムなため、早急に撤廃すべきでしょう。
村越様
私の好きな小野善康の経済学ですね~。障害者や高齢者が納税者になったり、ニート予備軍をなくしたり能力開発に成功すれば税金が高くても国力は上がります。税金を効率化しても能力は生まれませんが、人は無から能力を生み出せるのです(いささか文明に対する過信な表現ですが)。税金けちることを自己目的化して政府が何もしないことは未来に対する無責任だと思っています。解消策が難しいのは中央と地方の格差で、これはいつか触れます。
投稿: 管理人 | 2005.12.01 10:22
私が不思議としか考えられないのは、国民背番号制と税金の総合課税に反対するリベラルな人たちです。税制よりも反政府を優先しているとしか考えられないからです。所得を把握されている雇用者が何故反対するのでしょうか?私には理解できません。
投稿: yosio | 2005.12.01 22:06
yosioさま
国民総背番号制は何をもって国民総背番号制とするかでしょう。税金と社会保険料の収納と給付を一元的に管理することは国民総背番号制とは言えないと思います。その限りでは賛成ですが、何から何まで身分証明カードを使わないと買い物ができないというのはやりすぎだと思います。
税金の総合課税は共産党を除けば左翼やリベラルの人は推進していると思います。社会党は終戦直後の政権政党時代、シャウプ税制を導入した側です。80年代初頭、民社党、サラリーマン新党、社民連、社会党などが自民党の大平首相と一緒にシャウプ税制の理念を貫徹させるためにグリーンカードを創設しようとしましたが、金融機関や不動産業者の支援の多い自民党議員が妨害して、導入直前に頓挫しました。80年前後の政治史を新聞で追ってみてください。
私が政治に最初に関心持ち始めた頃ですし、朝霞市にグリーンカードセンターがつくられ、一度は廃墟になりかけたことがあるのでよく記憶しています。
投稿: 管理人 | 2005.12.01 22:26