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2005.11.11

1/11 お父さんと職場

昨日、おとといと有楽町線の電車に冷房が入っていて、死にそうな寒さだった。鉄道業界、男ばっかりで厚着の制服だから、普段着で乗る人の体温感覚がわからないのだろう。
二酸化炭素削減のために強度に問題のありそうな電車ばかりを作っているのに、寒い11月に冷房をつけるとはやっていることの優先順位が違うと思う。

●朝日選書「花街」を読む。娼妓と芸妓の違いがよくわからない。面白かったのは戦前の都市開発は、埋め立て地や開発地に、まず花街をつくって賑やかにし、埋め立てを安定化させていく。その後、風紀取締をやって花街を彩る店を追い出し飲食店から売春を追放し、普通の商店街にしていく、という方法がよくとられていたようだ。

●運転席の後ろにいた妻と子。むずかる子どもをあやそうと、運転席のドアを開けたら子どもが入ってきて、時間も来たからと1駅だけ運転席に入れたことが発覚して、クビにされた東武電車の運転士に同情が集まっている。

安全性の問題で言えば、この運転手のやったことは危険で処分はまぬがれない。しかし東武の会社の体質からして、この処分はやりすぎである。東武は現場をきちんと教育していない本社でありながら、運転士をクビにするのは現場の責任ばかりだ。上司や本社の教育係も処分が必要だろう。見せしめ処分なら絶対に再発すると思う。
同じようなことは、竹の塚の踏切事故でもあった。踏切係の職員だけがクビになり、ルール違反の踏切操作を知ってて見逃してきた駅長、本社の運行管理関係の職員、幹部、役員はみなお咎めなしだ。わびしいホームページに掲載された心のこもらない謝罪(釈明)文一通で乗客への説明責任を果たしてしまっている。再発防止について責任体制がないのに、現場だけ処分していたら、絶対に現場はすさんでくる。
この運転手に処分は避けられないが、取り返しのつかない処分で良いのかは疑問が残る。

現場を大切にしていない会社だということは、乗客の苦情や沿線地域に対する態度でもわかる。東武の駅員に文句言っても馬耳東風で、社の問題として共有しようという姿勢がない。職員たちは誰かに言われて働いているだけという気持ちだから、客は敵という感覚である。
また、他の民鉄JRにはインターネットでの苦情受け付けの窓口があるが、東武にはない。乗客の考えていること、意見などモニタリングするシステムが弱い。
現場をセンサーにするように東武の社風を変えない限り、絶対に沿線の乗客に大事にされないし、出世した住民から率先して去られる沿線のままである。

ところでこの運転手の処分で東武労組は何をやっていたのだろうか。釈明が欲しいところだ。抗議もないらしい。
東武労組は社会党協会派の牙城である。社会党協会系労組は共産党以上に戦闘的な労組だ。いつもは反合理化を旗幟鮮明にして抵抗闘争を繰り広げてきたが、最近は何だかだらしなさすぎる。東武がここ2年でやってきたことといえば、バスの分社化とバス関係労働者の賃下げ、竹の塚の事件の顛末、すべて会社ペースで話が進み、労組としては許してはいけないことばかりが起きている。
労組は職場の保険のようなものであり、こうした場合は、会社、組合員、当事者をネゴシエートして、処分しながら現場や当該職員の被害を最小限にとどめることが仕事であろう。実に残念な話である。

運転手と子どもとの関係を考えると考えさせられてしまう。この子どもが、将来、父親を失業させたと知ったときにどうなるだろうか。少し心配だ。
子育てと仕事の綱引きの中の気持ちを正直に行動に表してしまったお父さんなのだろう。処分妥当をいう意見の中には、子どもを職場に連れてくるなんて、という意見もあった。しかしニート問題を見ていると、そうやって職場を異様に神聖視して、生活からいっさい切り離すような考え方が良いのか、再考すべきところだろう。

運転室に息子入れクビ…「厳しい」と抗議430件
 東武鉄道の30歳代の運転士が、長男(3)を約4分間、運転室に入れて乗務したとして、同社が懲戒解雇を決めたことに対し、同社には10日夕までに、「処分が厳しすぎる」などと抗議する電子メールや電話が計約430件相次いだ。

 同社は「重大な規則違反で解雇の方針は変えない」としている。

 東武鉄道によると、同日、この問題が報じられてから電子メール約240件、電話約190件が寄せられ、大半は「けじめが必要なのはわかるが解雇は厳しすぎるのではないか」「子どもが成長して自分のために父親が職を失ったと知ればショックを受ける」など、解雇の取り消しを求める意見だったという。

 同社の懲戒処分は、〈1〉解雇〈2〉職級降下〈3〉停職〈4〉減給〈5〉けん責――の5段階。どんな行為がどの処分にあたるか明確な基準はなく、寝坊で運行が遅れたら減給やけん責など、その都度、判断しているという。最近では伊勢崎線竹ノ塚駅近くの4人死傷踏切事故で起訴された踏切保安係や、車止めを越えて民家の敷地に突っ込んだ回送列車の運転士が懲戒解雇された。

(2005年11月11日3時5分 読売新聞)

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コメント

 運転手の行った行為は、明らかに規程違反であり、危険な行為であるから、容認される訳ではありません。しかしながら、子供が幼児であったこと(規範感覚が希薄)、実際に乗客が差し迫る危険を感じた訳ではないこと、などから懲戒解雇は行き過ぎかな、というのが私の意見です。
 それにしても、解雇問題については最近法廷に持ち込まれるケースが増えているのに、具体的に何をしたらどーなる、という基準(というか規則)がないのは、上場企業としては少し異常な感じがします。ちなみに我が社で懲戒解雇になるのが、信用失墜行為(飲酒運転、著しい職務上の怠慢、職務外での触法行為etc…)、守秘義務違反(秘密の漏洩、秘密文書の隠避etc…)、職務専念義務違反(勤務時間中の飲酒…)くらいかな。職場に行けば見られるのですが…

投稿: 窓灯り | 2005.11.12 09:44

実際、解雇に該当しても上限解雇ということですから、現場で運用しているのはケースバイケースです。東武も規定にあるのだと思います。その上限で処分したのでしょう。
問題は、ルールといってもケースがいろいろなので、バッサリ切るようにやるにしてもそうはならないのが現実です。会社に損害といっても休暇を取って損害となる場合とならない場合があります。その状況に応じて対応するのがフェアなあり方でしょうね。

投稿: 管理人 | 2005.11.12 11:01

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