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2005.11.13

11/13 志木市の市民参加の政策決定システムは廃止へ

引退した穂坂市長の業績を引き継ぐべき、新しい志木市長の長沼明氏がどのような市政を敷くか気になっていたが、やはり穂坂市政の全否定に入ってきているようだ。志木市の庁内組織「行政施策安定化プロジェクトチーム」は穂坂市政のつくったものをほとんど見直す方向で答申が出された。

職員不採用など土台無理なものはともかく、これまで成果を上げてきた市民が市の政策決定過程に直接関与する「市民委員会」が否定され、代わりに「協働」という具体性のない言葉に置き換えられていることに、隣の市民としても不安に感じ、また市民自治の危機を感じる。
これからの市役所は、おそらく市民による政策決定過程の参加は避けられない。市の有力者がずらりと並ぶ市の審議会の末席に市民公募委員を数名おいて、行政提案について賛成させていくというものではなく、市民が直接文案を書き、市役所と実行可能性について協議して、市民の手によってまとめて決定していくことをしなければならない。

穂坂前市長が提起した「市民委員会」という市政の決定過程に市民が直接関わる制度は、志木市役所の合理化という問題はありながらも、地方自治の政策決定過程に大々的に市民の直接参加を実現した。高浜市など福祉など特定の分野でそれをしている自治体はあるが、市政の基本構造に市民が政策づくりできる市役所は志木市だけだろう。ところが市役所の幹部や長沼氏はじめ市の有力者には、一部の市民が優遇されていると映っているらしい。人口7万でもベッドタウンの志木市で、139人もの市民が政策決定過程に参加して、一部の市民ということがわからない。さらに決定されたことは議会の承認や市長の決裁にかかっているわけで、そこには全市民的な立場での判断が可能な場がある。

では、穂坂市政は特殊な市民ばかりが、と批判する人たちが擁護してきた地方行政の中身はどうだろうか。このあたりの自治体は。議員や市の幹部と深いコネクションを持つ有力者だけが政策提言できるチャンネルを独占してきて、市民が物を言っても「あなたの意見でしょう」と却下され続けてきたのではないだろうか。

新たに「協働」するとしているが、行政が「協働」を持ち出すときには疑ってかからなくてはならない。近年「協働」が濫用される過程で、本来のコラボレーションという意味から離れ、お互いの持ち分を保留し侵犯せずやっていきたい、というニュアンスで使われることが多くなった。もっと露骨に言えば、市役所の権益には介入せず、市民が市役所が分け与える業務をこなしてくれればいい、財政改革になりさえすればいい。行政は改革しない、という意思を感じるのだ。それが市民自治なのか、疑問だ。

そもそも庁内が市民との「協働」もせずに市役所の利害で市民参加のシステムを改変しようとするところにこのプロジェクトチームの危うさを感じる。そして市長が不承認とする答申を庁内が出すわけがないので、おそらく長沼市長の意思なのだろう。

個人的関心の範囲でもあるが、幅員の狭い道路を一方通行化する施策も廃止されるようで残念でならない。子どもや障害者、高齢者が外出しやすいまちは、これからの少子高齢社会を支えていく上で不可欠である。荒っぽい議論をすれば、外出しにくいままにすれば、子どもは社会性を失い、高齢者は介護度の重度化が進む。一方通行化は、安心して歩ける生活道路を実現するための1つの手段だと思う。スウェーデンの第2の都市イェテボリ市などでは大々的に採用して、生活道路を地域住民の安心できる空間として守っている。そうしたときの地域の政策的課題より、マイカー族が2~3分の遠回りを避ける欲求の方が新しい志木市役所にとっては大事な価値のようだ。この答申は、公正中立な顔した単なるポピュリズムである。

志木市職員採用復活へ 庁内組織が最終報告毎日新聞11月8日

志木市の主要施策を見直す庁内組織「行政施策安定化プロジェクトチーム」が7日、最終報告をまとめた。長沼明市長が7月に就任し、穂坂邦夫前市長が打ち出した施策の見直しを進めており、02年度から20年予定していた職員不採用を見直し、07年以降に採用を復活させる見通しになった。
穂坂前市長の計画は、一般行政職員を500人に削減し、市民が協力する行政パートナーを活用するもの。05年度は12団体に14業務を6400万円で委託したが「(新規採用の凍結は)人事管理面で無理がある」と判断した。
このほか、市が年間200万円の経費を分他市、市民が行政に提言する「市民委員会」(139人)や幅員5.5m以下で歩道がない生活道路を原則として一方通行とする構想も見直し対象となった。
また小学1,2年生が対象の25人学級、3年が対象の28人学級は、市が教員の教員の人件費として5000万円を負担するが、「一定以上の評価を受けている」として継続することにした。

「見直し」4事業追加 前志木市長の施策22項目検証 最終結果「中学校学区制」など朝日新聞11月8日

穂坂邦夫・前志木市長が次々と打ち出した独自の施策22項目の検証について、市は中間報告と比べて新たに4事業を廃止も含めて見直すべきだとし、3事業を一部改善するべきだとする最終結果を7日、発表した。長沼明市長はこの結果を3月議会に諮り、来年度予算に反映するという。
新たに見直すべき事業の対象となったのは、行きたい学校を選択できるが5月からの転入しか認められていなかった「中学校通学1学区制」や、市民が市の新事業について研究し、提言する「市民委員会」などがある。
中学校通学1学区制については、「事前の申し出により入学時から希望する学校に入れるようにすべきだ」となった。市民委員会は「運営費の手厚い補助などにほかの市民団体から批判が出ており、今後は市民委員会に代わり新たな市民協働のあり方を考える」となった。
また改善すべき事業には低年齢児の待機児童解消策として需要の高い「駅型民間保育施設の認証制度」などが挙がった。
市政策審議室は「駅型民間保育施設の認証制度」を「保護者の利便性に効果的」として今後も定着すべき事業の1つに挙げていたが、財政負担が重いことから「補助金を多く出しているので、保育士の人数や面積、設備など施設のチェックを厳しくしなければならない」とした。

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