« 10/30 朝霞にも進む路上禁煙 | トップページ | 10/31 部下に責任をおしつける »

2005.10.31

【地域福祉計画③】家賃補助制度

市民提案の計画には、家賃補助制度の検討着手を盛り込んだが、これも市役所から「現時点では取り組まない」という回答になって却下されている。おしきせの福祉から選択の福祉に、ハコモノ行政から人への投資にという福祉の考え方の変化、そして地方でできることは地方、という地方分権の考えからは、貧困者の住宅問題を公営住宅に収容する考え方から転換すべきときに来ていると思う。

日本の貧困問題を考えるときに、大きなものは高い住居費である。今でこそ下げられたが官民問わず現業系労働者の賃金が世界水準より高いとさんかに指摘されたのも、住居費が高いため、生活コストが高くなってしまうのである。逆に言うと、貧困者の住宅政策が確立できれば、フリーターや基礎年金しかない高齢者などに対して、自立させていく道筋が立ちやすいということになる。
今の制度だと貧困問題にはオールオアナッシングな施策しかなく、全財産を捨てて生活保護になって貯金も許されずに自立の道を断念するか、健康で文化的な生活を割り込むような(ホームレスなど)生活をするか、親族に寄生するしかない。

貧困者への住宅政策は現在、公営住宅で行われているが、入居条件が厳しく、単身者はハードルが高かったり、入居に地方議員の口利きを利用する人も多く、本当に困っている人に寄り添っているのか問い直すべきだ。さらには、家賃の低い公営住宅を建て続けることに、財政面で問題がないのか、貧困者が公営住宅に集中的に居住することが良いことなのか、考えるべきことは多い。

民間アパートの供給も多く、それを活用し、公営住宅と同水準の入居条件をつくればどうだろうか、そんなことがこの提案である。そして今すぐ実施せよ、ということではない。要求に応じて公営住宅を作り続ける無駄と、家賃補助とどちらが政策効果があるのか、法律的に超えなければならない問題点は何か、生活保護制度の改革をにらみ、地方分権の趣旨に沿って検討してほしいということだ。

朝霞市民には、零細の建設業者も多く、減ってはいるがその会社の寮や契約するアパートが他の地域より多い。そうしたところに住み働く人たちは雇用している会社が倒産すると、収入と住居を同時に失う、それが郊外のホームレス発生要因だと、日本女子大の岩田正美教授は論文や政府の調査などで指摘している。いつ入れるかわからない公営住宅より、そのまま住み続け次の仕事を探すことができるようにすることがホームレス発生を抑える有効手段である。

今後生活保護制度の改革が行われ、今の政府案のままでいけば来年度から住居保護分については交付税化して、地方の裁量で支出するようになる。そうなれば、もっと弾力的な運用が可能になる。地方自治や分権改革をきちんと理解していれば市役所が何を考えるべきか明らかであろう。

|

« 10/30 朝霞にも進む路上禁煙 | トップページ | 10/31 部下に責任をおしつける »

コメント

今後、確実に民間アパートが余ってきますから、公営住宅という方向がありえないのだけは確かだと思います。
市内を歩いていて分かるのですが、アパートの空き家がすごく多いです。
一方で大家さんは滞納に悩んでいます。

投稿: takeyan | 2005.11.01 03:08

そういうアパートを有効に活用していけばいいのにと思います。文化的な生活をするところから職探しも自立も始まると思います。また大家さんも安心して貸すことができるようになります。

投稿: 管理人 | 2005.11.01 22:38

 家賃補助といえば悪名高き「特優賃」(特別優良賃貸住宅)がありますけどね。市と県でそっくり借り上げて賃貸するわけですから、空き家に困っている都市機構と県住宅供給公社の赤字の尻ぬぐい、といったきらいがあります。もっとも、公営住宅ではないため、一定の所得の枠があり、それに合致しないと入居できないシステムなのですが…。
 公営住宅を新たに建設しようとすれば用地取得費、建設費等々多額の費用が必要になります。起債で賄えますが、要は借金。それよりかは、市内の空室が目立つ民間アパートを借り上げて、民設公営住宅として供給する、というのは現実的な選択肢だと思います。

投稿: 窓灯り | 2005.11.04 21:38

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【地域福祉計画③】家賃補助制度:

« 10/30 朝霞にも進む路上禁煙 | トップページ | 10/31 部下に責任をおしつける »