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2005.10.08

10/8 責任回避の児童手当拡大策


●少子化対策、母親の7割「経済支援を」…内閣府調査
国がくれる慰謝料
ガソリン奨励金・パチンコ手当
もらってうれしいけれども
過去にもした児童手当批判を繰り返すことになるので、あまり詳細に言うつもりはないが、内閣府の少子化対策に関するアンケート調査で、若い夫婦はお金があれば対策になると答えている、と発表。
公明党のただただ児童手当を増やす政策を正当化するだけのような内容だ。

本音を捉えたアンケートもあって、そのことについてコメントもした。
子どもが嫌いな社会人たち

その上で再論したい。
今の人なら、欲しいものは何だ、と聞かれればたいていは金と答える。しかし鼻から子どもを積極的につくろうとも思っていない人たちに、いくら子ども作ったら5000円あげますよ、と言われても、子どもなんかつくろうなんて考えに変わることはあり得ない。何をすれば子どもつくる、と聞かれて金としか答えられないぐらい、当事者である若者も政治関係者も、発想が貧困なのだ。その貧困な発想から導き出される「やったらいい」思いつきは、解決策ではなくて、たんなるアリバイになる。

お金がなければ子どもはつくれない、という前提は正しいと思う。現実に仕事も所得もない若者が多い。しかし彼らには手当ではなく、仕事をつくり、何であれ仕事の対価として誇りをもって使えるお金がちゃんと入ることをしなければ意味がない。今の社会常識からして、親としての自立感がなくて子どもを育てる環境は作れない。定職もないのに子どもを作って、という周囲の非難に耐えられる人は例外だ。だから、この層はお金が最も必要であっても、児童手当ばらまいたって子どもはつくらない。

一方、正社員や、正社員まで行かなくても、新卒者以上の給料をもらっているような派遣社員の場合、政府からはした金をもらったからといって子づくり、子育ての動機になるとは思えない。子どもに意味を見いだせばつくるだろうし、子どものいる意味より仕事やその他のことに意味を見いだせばつくらない。
1つは私生活面での、子どもを持つ人への不利な扱いだ。日本のサービス産業は、子育てをしない客をあまりにも優遇してきた。子育てしている人たちは、どこ行っても迷惑がられ、大型スーパーしか楽しみがないのだ。もちろん、仕事と子育ての両立という基本で悩んでいる人もいるが、これは今、多少の金さえあれば何とかなってくるようになった。あと一声だ。仕事とスーパーで煽り調子の掛け声の中で落ち着き無く買い物させられるしかない生活。団塊の世代以上の金満家庭に育った子たちには、耐えられない現実だ。
私鉄は盛んにバリアフリー車の導入と言って宣伝しているが、民鉄協会のホームページを見れば、それは車いすを係留できる車両という程度の意味らしい。公共交通機関も、子育てしている人にとって使いやすい電車なんて発想は頭から無い。

もう1つは仕事と家庭の両立。保育所を拡充すべきというのはそうで、これまで私はそれだけをずっとそれを言ってきた。それ以外の施策を期待すると、お金のかかる保育所の整備が進まなかったからだ。
しかし、最近思うのは、経営者たちも、職場の矛盾をすべて社会につけ回しする態度は良くないと思う。延長保育や24時間保育は必要だし拡大する必要はあると思う。しかし、それを前提に働く必要のない夜まで働かせるような仕事の組み立て方を企業がすれば、社会全体でのコストや負荷がもっと大きいことを自覚してほしい。自分の企業の価値を上げることばかりやって、それにつながらないことはみんな政府や国民の生活に犠牲に押しつける姿勢は、持続的な社会にならない。

ただ難しいのはそうした労働環境は企業の問題ではあるけども、日本の賃金労働者がそうした会社の価値観をさらに上塗りするような感覚を持っていて、職場環境がちっとも優しくないこと。
具体的には、サービス残業が当たり前、病気以外で有給休暇を取るなんてもっての外という職場環境の中で、子育てしているからと残業できない、とか、子どもが病気だから仕事を休むという同僚がいることが、横の同僚たちにどう思われるか。そこは全く議論が成熟していない。楽しんで子ども作って好き勝手にいいよなぁ、という評価をする人すらいる。子どものために会社とはたたかえても、同僚とたたかうのはやりにくいだろう。そういう周囲に、いつかあなたやあなたの子どもにも起こりうることなのですよ、とわかってもらわない限り、難しい。

だからこそ、そうした子どもを育てている人に優しい職場環境は、企業の自発的努力を求めるのは限界がある。ブランド企業か暴利を貪っている企業以外は、せっせと制度をつくっておしまい。実際の現場のマネージャークラス、あるいは仕事の指導をする先輩が「何様のつもりだ」と一喝したら制度が動かない。
だからこそ、社会的規制できちんとやることが必要だ。また市場というまさに生きる人がいなければ成立しない世界で商売しているのに、人間を再生産する力を社会から奪うようなことをする企業や上司は犯罪をしているのだ、という考え方にのっとった政策づくりが必要な段階に入ってきたと思う。

もう一度言うが、児童手当は、何も考えない政策なのである。誰も問題の責任も自己犠牲を負いたくないから。ただただ政府が財政が赤字国債発行して、お金ばらまいて免罪符を買っていることに拍手を送るのが、国民も企業も政治家も楽だからだ。

少子化対策、母親の7割「経済支援を」…内閣府調査
 内閣府は8日、少子化対策に関する母親の意識調査の結果を発表した。

 少子化対策で重要な政策(複数回答)としては、「経済的支援措置」が69・9%で最も多く、「保育所など子供を預かる事業の拡充」が39・1%、「出産や育児のための休業・短時間勤務」が37・9%で続いた。

 経済支援を挙げた人に、具体的に望ましい対策(同)を質問すると、「保育料・幼稚園費の軽減」が67・7%に上り、「乳幼児の医療費の無料化」は45・8%、「児童手当の引き上げ」は44・7%だった。

 男性の育児休業の取得率を引き上げるための方策については、「育児休暇を取った場合、その事業主への支援制度を充実」が42・0%で最も多かった。「行政機関や事業者による啓発活動の強化」を挙げた人も33・5%いた。

 調査は、今年2~3月に子供を持つ全国の20~49歳の女性4000人を対象に実施し、2260人が回答した。

(2005年10月8日19時5分 読売新聞)

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