【地域福祉計画②】福祉サービスに見合う都市開発
市役所が強硬に反対したものの1つに、福祉サービスの量に見合う住宅開発、という項目があった。
端的に言うと、保育園の入所可能児童数、介護施設の入居可能人数、ボランティア活動の層の厚み、それらに見合う人口に抑制するよう、開発を規制すべきというものだ。
現在は、都市計画法の枠しか開発規制がないので、ほとんどスルーパスで住宅もマンションも開発し放題である。その結果、2度にわたるマンションブームでマンションから林立し、新婚や小さい子どものいる家庭が急増した結果、どうしても福祉や行政サービスが必要な世帯だけが流入してくる。具体的には、マンションブームで保育園や幼稚園が朝霞では入れないものになってしまった。
人口が多くて未来が明るいはずの自治体なのに、住んでいる人は不満だらけで、「どこそこだったらこんなこと当たり前だったのに」と言われるようなことになる。その結果、自分の住んでいる自治体を愛しても、積極的に責任を持とうなんて気持ちにならなくなる。
もちろん、その需要を追いかけて保育園や幼稚園を作り続けるという選択肢があるかも知れない。一方的に子どもが増え続けているならそうすればいいかも知れない。しかし日本全体で人口が減っている中で、朝霞市だけが増えるということに持続性があるとは思えない。さらに保育園や幼稚園を作って子どもを育てても、その子が成長した後、都内に出て帰ってこなければ、全くの持ち出しにしかならない。また、土地やマンションを売って自分たちだけお金儲けした人がいて、その尻ぬぐいを市民の共通のサイフである市役所がやるというのもおかしな話だ。
そういう意味で、都市計画で適正人口や適正な流入人口数を想定し、その範囲内でマンションや住宅開発を抑制し、住んだ人に着実に福祉サービスを提供できるようにすることが重要になる。
市役所はできない理由を百と並べる。しかし、建設規制はいかなくても、窓口指導や要請ぐらいをやっている自治体はある。また公共性の高い事業を提供した業者のみ開発を容認するというアメとムチの使い分けだってできる。要は市役所と公的福祉サービスを持続させようという市の熱意があるかないかではないだろうか。
市役所が福祉を混乱させるような乱開発を認めるのは、市として需要と供給を適切に調整して自治体行政を進めようということを放棄して、財産権の名のもとに、一部の既得権益を守ろうとする勢力に加担するものだ。
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コメント
江東区ではマンションの建設規制をしています。理由は、小学校、中学校が人数を受け入れらないから。場所により、検討をして建設許可をするか、または、その負担を業者がするかです。既に土地を取得済みの不動産会社は泣くに泣けない話でしたが、それでも何とかできる民間企業ばかりでした。
やろうと思えば何でもできるんですよね。ただ、面倒だし、業者に叩かれるのを覚悟しなければいけないけど。
移住してくる人が増えるなら、それだけの設備は必要なのですから。200戸以上のマンション建設には保育所設置とかして欲しいなあと。
投稿: ぐーたん | 2005.10.31 10:57
そうなんですよね。業者と土地持ちから市民を守る気概があるかどうかなんですよね。
私も、うちの近所に500棟のマンションができて、保育園入所がパー。保育料が3万も高い無認可保育所に預けたら、困っていない人にカウントされちゃっているのです。
雇用主が保育所作ることが良いことのように言われていますが、上司と同じ保育所ってどうだと思います?それより、不動産屋の公的責任じゃないかと思っています。
投稿: 管理人 | 2005.10.31 19:31