« 10/8 責任回避の児童手当拡大策 | トップページ | 10/10 クルマを運転して見えるもの »

2005.10.09

10/9 小さな政府は何も目指さない

朝、出かけて戻ると、テレビがついていてNHKの日曜討論をやっていた。テーマは「小さな政府」。

経済財政諮問会議の本間正明阪大教授、モルガンスタンレーのロバートフェルドマン、みずほ総研の藤森克彦、経済評論家の内橋克人が討論していた。

公共部門の議論では内橋克人の切れ味が弱いと感じた。航空やバスなどの規制緩和の議論では、鋭い予測をし、内橋氏の言うとおりの結論になったが、介護や医療など公共部門の議論では情緒論が目立った。

本間正明がインチキな議論をしていた。冒頭、小さな政府は財政収入と支出のギャップの問題だ、と言いながら、司会者にもうすでに小さな政府なんじゃないですか、と問題提起され、藤森氏に社会保障分野と教育は世界水準より相当低い財政支出しかされていない、とつっこまれると、「必要なところにお金を使うために財政構造改革が必要なのです」と言う。政府の最大の支出である社会保障を多すぎると見るのか、少なすぎると見るのか、それが定まらなくて、財政再建の議論などできないだろう。
小泉政権が、何もしないで財政支出だけを切り込むという印象を与えないように議論をすりかえた。小さな政府も、最初には財政支出の切り込みと言いながら、それが小泉政権が社会サービスを切り込むということに受け取られるのが嫌なものだから、「小さな政府とは民間が元気な経済をつくることだ」と言って、また論点をすり替えている。本間正明は学者なのだろうか、政権プロパガンダなのだろうか。政権プロパガンダならちゃんとバッヂをつけて国会に出てくるべきだろう。

財政支出を見直して新しい分野にお金を使うということは、財政赤字の40兆円あるいは国債の借換分の支出を差額を差し引いた純赤字の20兆円の収入と支出のギャップを修正する、という経済財政諮問会議の最初の論建てを覆す話だ。小さな政府をつくる前に、今までの彼らの言う「大きな政府」の財政支出は継続されるというのだから、話はわからない。

与党も野党も学者も財政赤字を修正する議論をするときに、政府の支出の見直しをして、それから増税するという段取りを主張している。土光臨調の成果は認めるが、80年代の若干でも経済成長している時にできたことと、高齢社会でがんばったってお金が消えていく時代をきちんと峻別すれば、政府の支出を見直すことは思ったより成果は上がらないことぐらいわかるだろう。つまり増税を主張しない財政再建議論は、財政健全化を先送りする議論なのだ。
そういう議論をしているから、財政支出を切るのか、あるいは国民が元気になるための新しい社会保障や教育のための資金を確保するのか、議論が迷走して、長途半端な政策決定しかできない。これは自民党も民主党も同じだ。

無駄な財政支出を洗い出すのは、行政府の枠の中にある会計監査院を使ったりする今の枠組みではできない。またマスコミの暴露戦術では、何も効果的な話にならない。立法府による行政監視などをきちんとやり、予算編成に直結させていく、ということがなければ、無駄な財政支出の切り込みなどできない。それは永続的な取り組みで、これが単年度でドンとできて、国債をさっさと返して次に新しい分野に打って出るなんてことはできない。いつまでもできない。足し算と引き算とわり算ができればわかる話だ。

で具体的には小さな政府は何を目指して何をやっているのだろうか。経済財政諮問会議は小さな政府は既得権益に切り込んで国民のためになるお金を使うと豪語しているが、現実には、道路建設、土地改良を中心とした農業土木、開業医への報酬は何も切り込んでいない。一方、医療、教育費、介護報酬、保育予算、職業訓練、母子家庭への自立支援、DV・児童虐待は全然改革されないし、中には削りこまれ続けているものもある。ちっとも新しいところに打って出てなんかいない。規制緩和も、保育、介護、労働、土地利用と、既得権益とは何の関係もない分野ばかりで、社会サービスの低下につながるところばかりをねらい打ちし、利権化するような臭いのするものばかりである。本当の改革を言うなら、新幹線建設を止めろ(少なくとも長崎は)、開業医の架空請求を根絶せよ、土地改良事業から農民を解放しろ、と思うが、それは全く手をつけられていないで、開業医の息子、土地持ちの息子、政商土建屋の息子ばかりが不労所得と参加のチャンスをかちえている。一方、困っている人がさらに困りゆく改革ばかりだ。

本間正明は村山政権の頃、抵抗勢力の代表選手であるはずのわが労組の周囲をうろちょろしていた人物だ。あの慇懃無礼な物言いを聞いていると政権プロパガンダになるために、わが労組を利用したのか、と思うのだ。朝から胸くそ悪い。

|

« 10/8 責任回避の児童手当拡大策 | トップページ | 10/10 クルマを運転して見えるもの »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/6317641

この記事へのトラックバック一覧です: 10/9 小さな政府は何も目指さない:

» 改革ファシズムを止めに行こう - 銀のブログの背に乗って [世に倦む日日]
今度の総選挙で与党小泉政権は衆院で三分の二超の議席を占め、さらに野党民主党の翼賛転向を得て、フリーハンドで新自由主義革命を推進する合法的政治権力を得た。小泉首相と竹中平蔵はこの「構造改革の神聖権力」で、新自由主義が目的とする日本国内の二極化をさらに徹底させるべく、戦後日本がこれまで達成構築してきた福祉制度の破壊に狂奔している。OECDの昨年末の報告によれば、日本は一世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか所得のない貧困世帯の率、いわゆる貧困率が全体の15%を超えていて、この十年でニ倍近くに膨... [続きを読む]

受信: 2005.10.16 21:53

« 10/8 責任回避の児童手当拡大策 | トップページ | 10/10 クルマを運転して見えるもの »