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2005.10.21

10/21 700兆円の借金は返さない

選挙の分析では鋭い切れ味を出し、選挙後の予測では荒唐無稽な展開を提示して面白かった「世に倦む日々」というブログがあるが、最近の小泉政権批判は全然なっていなくて不満だ。

世に倦む日々は、700兆円の国の借金を楯に国民を脅してくる新自由主義に対抗するために「700兆円の国の借金は返せる」という話を強引に展開している。返せる理由として、①不良債権を消化した日本人に国家の赤字ぐらい消化できないわけがない、②東シナ海のガス田を開発すれば一発逆転できる、③インフレと積極財政をとれば働き口ができて生産力が上がる、という3点を挙げている。

この3点は全く実証性のない主張である。①について、銀行の不良債権は、700兆円のGDPやGDPが作る信用創造、現金の流れそうしたもののごく一部である。株価が上がれば消えるし、下がれば浮かび上がってくる。努力で返済したものではない。しかし国会財政の赤字は、税収の範囲でしか返せない。100兆円もの税収が来年から期待できれば返せるが、そんなことはありえない。世に倦む日々の本人が増税に反対しているのだから、論理矛盾な議論といえよう。国民が優秀であるかどうかという民族主義的価値観とは関係がない。

②は、多くの油田を持つアメリカがなぜ中東から石油を買っているのか考えれば、高い日本人労働者の賃金でガスを掘るより、人件費の安い中国人に掘らせて買い取ったほうが経済効果が高いので必ずしもそうとはいえない。ガス田が国営になるとは思えないし、儲けたとて国庫に繰り入れることができるとは思えない。
もっと言うと、これ以上地球からエネルギーを掘り出して浪費し続けないと成長できない経済が良いのかどうなのか、考えるべきだろう。

③植草経済学をヨイショしながら全く原理をわかっていない。がんばって働けば景気が良くなることを前提にしている。その立場は竹中平蔵たちの考えではないのか。

植草経済学は不況下ではがんばって働いても、よけいにお金より物やサービスが圧倒的に余り、働けども働けども首を自らしめていくことになる。個々が頑張ればデフレ不況を悪化させていくという前提に立つ。だから頑張れば報われる、という主観主義的な竹中平蔵や中谷巌と全面的に対立するのだ。
植草経済学は、不況だから働き口がない。不況である限り一所懸命働いても報われない、だから経済政策によって需要創出が必要なのだという立場で、そもそも入り口を間違えている。頑張ったか頑張らないかではない。
植草経済学は優秀だが、それを採用した海部俊樹、小沢一郎、小渕恵三、亀井静香らが、どんな政策効果をもたらしたかと言えば、700兆円の借金を作ってしまったのではないだろうか。経済学の純理論と、政治の思惑とは異なり、植草経済学は、現実対応能力で竹中平蔵に敗北してしまったと言える。

民族主義的な自己過信が根拠のない希望的観測をしているといえる。

もっともこのような説は政権担当者が採用するわけがないが、問題なのはこうした希望的観測が在野の勢力に蔓延し、非現実的な未来ばかり描くことで政権交代が遅れることである。
増税をしないで国の借金を返したい、新自由主義に対抗する社会がすべてバラ色であってほしい、そんな願望から議論を誤っていると言わざるを得ない。

毎回、繰り返すが、そもそも700兆円の借金を返す必要があるのか、という議論から入る必要があるのではないか。返さなくてよい、となれば、教育や自立支援的福祉など北欧でやっているような未来志向の投資ができるわけだ。
まさに世に倦む日々が批判している金子勝=神野直彦コンビは、財政赤字を膨らませることはできないが700兆円の借金を凍結するシステムができれば借換を繰り返し返済する必要はない、と言っている。

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コメント

借金は結局返さないのが日本の伝統である、最近、そう感じています。

投稿: takeyan | 2005.10.25 03:38

借金は返さなければいけません。踏み倒せとは思いません。株や永久国債のようにうまくやれ、といいたいのです。

投稿: 管理人 | 2005.10.25 23:44

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» 過去の債務をチャラにする。 [日本独立共和党]
 795兆円とも言われる国の借金を増税で解消できないのは、以前説明したとおりであり、国民の大部分も常識的に考えれば理解でき、財務官僚もこれを否定することはできない。 そもそも40兆円足らずの税収をどう増税したところで、795兆円もの借金の返済は実現できない。しかし、このままでは日本はいずれ長期停滞に追い込まれる。  21世紀においても日本が一流国でありつづけようとすれば、その方法は国の借金を踏み倒す以外にはない。具体的には国債の�... [続きを読む]

受信: 2005.10.23 10:58

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