10/19③ 阿片で犬死にした人を悼む
靖国神社の参拝について、賛成する人たちは国のために死んだ人を祀らなくてどうなるのだ、という単純な論建てで正当化しようとしている。ほんとうに国を守るために死んだのか。
先日読んだ佐野眞一「阿片王」を読めば、そんなきれいな話ではないだろう。まさに阿片利権をめぐって中国大陸でイギリス、国民党、軍閥、匪賊、幣、関東軍、中国共産党が入り乱れて争った結末として、日中戦争があり、副次的に「大東亜戦争」・第二次世界大戦に巻き込まれたのだ。そして、靖国が祀っている故人たちは、そうしたおいしい思いをした人たちによって殺されたのだ。
靖国参拝肯定派は、侵略戦争だったかも知れないが世界情勢が日本を戦争に巻き込んでいったのだ、などと言い、悪いことしたけど仕方なかった、というような論調を張る。ロシアがどうだ、石油が止められた、何がどうだと。しかし、現実に関東軍が戦線を拡大していったのは阿片の利権であり、そのことで中国大陸での米英との対立が抜き差しならなくなったという点では、利権のために多くの日本人が犬死にさせられたと言ってよい。現在の貨幣価値で換算して年30兆円も中国大陸から吸い上げて、戦争をしない軍事屋たちはこれを利権化したのだ。またそれだけの利権だから、誰も戦争を止められなかったのだろう。
阿片の利権は戦後日本の復興に大きく貢献した。1つは政財界にばらまかれ、吉田茂に対抗する政治勢力の後ろ盾になった。もう1つは、製薬業界の発展の原動力になり、医療利権の一翼を担い続けている。薬害エイズ事件のときにも、その主犯的企業の出自がそうしたところにあるということは知られたところだ。
その阿片で稼ぎ出した利権はいろいろあったが、現存しているのはただ森派があるわけで、その中にいて、次の首相を狙おうとしている人が、自分たちの出自を隠して、日本人兵士だけを英霊化することは道義的に問題が多いと言わざるを得ない。
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コメント
ある私の親戚は華北で軍属をしていました。引き揚げ直後は着の身気のままで、親戚の家を転々としていたらしいですが、ある時期を境に急に羽振りがよくなって、後に都内の一等地に家を二軒、神奈川の温泉場に保養の為の家を所有しています。そういえば、台湾によく行っていましたし、管理人さんの書かれているようなことと、何らかのつながりがあるのかもしれません。
私の父も戦争加担組でしたが、利権とは関係なく、完全な駒でした。誰の目にも戦況が悪化しつつあった昭和18年、14才で少年兵学校に入校、敗戦時は16才で伍長でした。兵学校の同期のうち半分近くの方々が、南方の戦場に向かう途中、米軍潜水艦の攻撃にあい、亡くなったそうです。亡くなった方々はさぞかし無念だったろうと思います。
(理由はよく解らないのですが、コメントが二重投稿となってしまいます。どうか、ご勘弁下さい)
投稿: はちきん | 2005.10.23 21:15
はちきんさん毎度ありがとうございます。二重投稿になっても私の方で整理しますので、そんなことで気にせずご意見ください。
政治を利権の動きだけで見るのは読み間違いますが、少し考えれば無理なことを、バラ色の未来があるように言いくるめて強引に前に進めてしまう場合、利権があるのかな、と思います(最近では農道空港とか)。
先の戦争で駒にされてしまった人たちは本当に悲惨ですけど、そのことを、本人や遺族たちは大義のために命を使ったと思って納得してしまったことが話をややこしくしているような感じがしています。そういう人の言葉だけを聞けば、美談がいっぱいで小林よしのりのうような解釈ができるかも知れませんが、でもどう見ても無駄な死で、やりきれない遺族の気持ちを納得させてよかったのか難しいところです。
投稿: 管理人 | 2005.10.23 22:27