10/19 肥満文化の先進地
「下層社会」を読むといろいろな示唆に富んでいる。とくに東上線、常磐線沿線地域のことではないかという分析があって面白い。著者は東京山の手文化どっぷりの中で生きてきているので、それ以外の生活文化に対してやや差別的な視点があるのかも知れないが。
著者が行った消費行動の調査で、千葉・埼玉のある女性の固まり(といっても回答の比率が9.1の倍率しか無いので800人中11人のことだが)の回答が際だっていて、配偶者あり、既婚、専業主婦率が高く、年収は半分が世帯で300万以下、しかし持ち家比率は高い。そして大卒が皆無。この層は消費行動に特徴があって、
良く行く飲食店は、マクドナルド90.9%(平均67.5%)、ガスト63.6%(31.0%)、サイゼリア54.5%(40.6%)、ロッテリア36.4%(9.6%)など低価格訴求の店が上位を占める。
ふだんからよく食べるものとしては、チョコレート81.8%(56.9%)、ハンバーガー72.7%(33.5%)、アイスクリーム72.7%(49.7%)、ポテトチップス63.6%(37.1%)・・・(中略)・・・また食べ物にもとる条件として「ボリューム感」が45.5%(25.9%)、「後かたづけのしやすさ」が36.4%(23.9%)と他のクラスタよりも多めである。
このほかにも、小売店がセブンイレブン、ローソン、ユニクロ、マツモトキヨシ、ファミリーマート、ヤマダ電機、ケーヨーD2、ゲオなどが他の層より群を抜いて高い比率を示している。
志木駅に初めて降り立った人は、居酒屋とサラ金とパチンコ屋のばかでかい看板しか並んでいない駅前商店街に圧倒される。その派手な駅前の割に、歩いても風俗店はもちろん、バーすらも数店しかないのだ。この調査結果はまさにそうした地域性を表した住民文化の現れかも知れない。アメリカのファーストフードの脂肪肥満文化の食い物にされている地域になりかかっているのかも知れない。
大手の看板のデカい店が並んでいると街が発展しているように見えてしまう。格差社会の食い物にされている層というのがコミュニケーション力が低いというような言説があるところからすると、自分の言うことを聞いてくれるかも知れない小規模なお店を丹念に開拓するより、大手で安くて目立つ看板が出てややこしくない店に居場所を感じてしまうのかも知れない。
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コメント
自分だってたいした大学出てないし
ハイソではないのに。まぁいいけど。
投稿: パンダ | 2005.10.25 15:23
ハイソだと思って三浦展をヨイショしているわけではありません。デカイ看板の安売り店のためにマイカーを持つライフスタイルで浮かばれていくのか、中学校早退の私でも疑問に思っているのです。
三浦の著書で言いたいのは、下層社会でも、この埼玉、千葉の女性のこの固まりは独特だということです。ご一読お勧めします。
投稿: 管理人 | 2005.10.26 00:14