10/11 負け犬を変える巨大プロジェクト、母になれるか?
未婚女性向け雑誌「CREA」で出産の特集をやっているので読んでみる。
ファッション雑誌が、子作りの指導(というと怒られるかなぁ)までするようになったのに、その後の責任の取り方について情報が断絶していたので、こうした特集を大々的に打って、しかも電車の中吊り広告まで出したことは、いいことだと思う。ファッションセンスの高い女=子ども無し、というイメージを変えてほしい。子育てがださい人の営みというイメージを払拭できない限り、子育てはどんどんマイノリティーの営みになるだろう。
しかし、内容が良くない。
知っている人は知っているが、女性誌は取材先からお金をもらって記事を書いている(でなければ300ページ前後フルカラーで600円という値段では売れない)。そのせいでネガティブになりそうな情報はいっさい書かれていない。だから、読んでみても、やっぱり他人事のお産、という読後感は否めないし、お産が自分のもの、自分の問題、という意識にならない。
ブラジルですべてのお産のうち70%以上も帝王切開がとられていることを医療技術の進歩だと紹介し、ビキニラインの中に傷が隠れる名医がいて脱帽、とか書いている。ブラジルで帝王切開ばっかりなのは医療関係者のご都合主義だということを現地で奮闘している「オニババ化する女たち」の著者三砂ちづるが指摘していることを無視するような内容だ。
せっかく、会陰切開についてアンケート取っているのに、そこにまつわる思いや議論が全く紹介されず、「やむを得ないこと」というような紹介の仕方をしている。出産における人権蹂躙の象徴的な問題を、産む当事者の側に立たずにいることの鈍感さに少し怒りを感じた。
出産しても遊びやすい場所、といって紹介されているのが、すべて構造改革のたまものの再開発ビル。この中には、地下鉄の複雑な通路を上ったり下りたりしないとたどりつかないところもある。広告主だから仕方がないか。
ゼロ歳児OKのレストランのリストがあるが、どれも高級料理店でベビーカーOKと書いてあるだけ。あたかも安い飲食店は赤ちゃんを連れて行くべきではない、というメッセージが伝わってくる。ベビーカーOK程度ならデパートのレストランで十分だし、今時、ベビーカーをお断りする方がおかしいのだ。問題は、ベビーベッドや、転落しないチェアなどを用意してあるかどうか、欲を言えば有料でもいいから保育施設との連携なんかがあることの方が問題なのに。
お産そのものもすべて産婦人科で産むことを前提にして話を進めている。日本の伝統の助産士の介助による出産については全く無視している。広告主になり得ないからだろう。
それとお金使う育児の話ばかりで、もっと育児に理解を示してくれる友だちやご近所さん作らなきゃとか、困ったときにはこんな人たちが相談に乗ってくれる、とか、そういうことが大事なんじゃないかなぁ。そういうものをもっとおしゃれに紹介してほしい。
「こんな町に住んでみた~い」という自治体紹介は、小話としてはいいけど、本当に子育てするのにこんな情報信じたらえらいめに合う。例えば江戸川区では乳児養育手当が1月1万5000円もらえる、なんて書いてあるけど、江戸川区にはゼロ歳児を預かる認可保育園が1つもないことが書かれていない。お金くれるなんて親切な自治体と言って引っ越して痛い目にあってしまう。
うーんいまいちだなぁ、と思いながら、SEX特集を繰り返し、どんどん進歩してきているananのように進化してくれることを願いたいなぁ。
●そういえば、自民党議員になった佐藤ゆかり、AERAの対談で保守的な家族主義が大事とか言っていた。自己矛盾の発言のような気がするけども。
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