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2005.09.30

9/29 幹事長室は見た!

往復の電車の中で、奥島貞雄「自民党幹事長室からの30年」(中公文庫)を読む。
あとがきにも書かれていたか、自民党政治家たちの息づかいがよく伝わり、人物洞察が良い。自民党政治の見せ場はやはり、70年代から80年にかけての三角大福の抗争だが、その舞台裏で、政治家がどのようなことに逡巡し、どのようなことに悩み、どのようなことに動機付けをしていくのか、詳細に書かれている。史料に残る戦後政治史では証せないことを、教えてもらうことができる。

また次の見せ場は竹下派の分解過程だろう。とくに細川連立政権の誕生までのところだ。異色の行動スタイルをとりながら、田中角栄や竹下登にかわいがられている小沢一郎の不可解さを余すことなく伝えている。
小沢一郎は民主党内で、左翼セクト幹部のような動き方をしていると私は感じている。自分と対等に話せる議員を周辺におかず、常に力関係が圧倒的に差のある若手議員だけを囲い込み、閉ざされた部屋で食事会を重ね、ときには小遣いを渡して、閉鎖的な派閥を作っていく。そうしてつくられてきたイエスマンたちは、小沢の指令通りに動くが、その小沢の言っていること、読み、ことごとくぶれて、すべてをダメにしている。
そのポジションは、60年代から70年代にかけて社会党を蝕んできた、党中党とも言われた社会主義協会やその総帥向坂逸郎の姿に重なる。

著者の奥島さんも、自分に言い従う若手議員を囲い、大事な場面でひきこもり、二日酔いで大事な予定をキャンセルし、修羅場でぶれては期待を裏切る、というところに自民党のリーダーの資質として困ったものを感じていたらしい。

折しも、民主党の再生に小沢一郎がどう動くかあまりにも注目されている。しかし本当に小沢できちんとした野党が作られるのか。小沢とつきあった政治家は良い末路を送っていない。民主党の再生のために小沢一郎に期待したい、と思っている人には是非読んでもらいたい本だと思った。政治ときちんと向き合っている人からすると、良くないリーダーの条件がそろっているようだ。

河野洋平さんや加藤紘一さんの存在には好意的な書き方をしているが、大事なところで力が出し切れないことを問題視している。村山総理の後、河野総理が実現していたら、自民党ももっとリベラルな政党になっていて、今日の小泉流の党改革とは違うかたちで開かれた政党になっていた可能性は高い。ほんとうに残念だ。

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