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2005.09.27

9/27 麻痺する感覚

郵政民営化の対案を民主党が出して、小泉首相に褒められている。

社会党が非建設的な反対意見ばかり言って、裏で変な取引ばかりしてきた歴史が長かったからか、そのアンチテーゼとして野党第一党は対案を出すべき、というトラウマが民主党には強すぎる。自分たちのほうがよりましな選択肢があって、与党案はそれにもたどりついていないというなら出せばいいが、ありもしないのに出すのは無駄な労力でもっと違うところに力を使うべきだと思う。
世の中で「反対するなら対案出せ」と言っている人は、問題の原因をつきとめている人ではなく、強者が言っているときは政治的なゲームとして言葉を出しているし、弱者が言っているときは反対者の往生際の悪さを批判したくて言っている程度の話でしかない。真に受け取る必要はないと思う。

もちろん、政治的取引では、対案を出したほうが建設的な議論ができたり、与党に修正を迫れる場合には対案を出せば良い。98年の金融国会や、94年の介護保険法、03年の有事法制などはその一例だと思う。
しかし、与党案が話にならない場合や、野党の案なんか鼻から取り入れられない場合は、与党案を否決することの正当性をきちんと訴えるべきではないだろうか。その役割を放棄して民主党の独自性なんて国民は誰もわからない。

裁判だって、弁護士が検察に対抗して起訴状を提出するなんて聞かない。対案を出すべきか否かは対案を出すに値するかの妥当性と、政治情勢にあるのではないだろうか。

民営化をしなければならないけど、それだけではないみたいだなぁ、なんて姿勢で、わかりにくい対案を出すから、国民にバカにされるのだ。

●ある公務員のブログを見て頭がくらくらと来た。

子育て中のうつ病パパだというが、小泉も前原も断固とした姿勢がすばらしい、とか、公務員の選挙活動にあれこれとか、天につばするようなことばかり言っている。
私も、うつ病の労働者は守られるべきだと思う。しかしこのブログの主のように、断固としたリーダーで、切り捨てゴメンの社会になれば真っ先に居場所を失うのは、誰でもが客観的に評価できる稼働率が低く、人付き合いや仕事の安定感で周囲が気を使う、このような病人ではないかと思う。
そうであってはいけないから、話し合いをしたり、ときにはこちょこちょと調整をしたりして抵抗勢力だ文句言いだ、改革のスピードを落とすなどと言われながら、職場の組合役員さんは努力していることを、全く評価していないようだ。

自分が何によって守られ、何によって社会に参加するチャンネルがあるのかわからないで、マスコミのふりまくイメージでしか物を言わない労働者を守らなくてはならない仕事に不条理な感じがする。

昨日、読んだAERA「民主党支持者の疎外感」という記事には、同感する話は多かっ。しかし、最後の方に38歳女連合系労働組合職員が、女刺客に拍手喝采し、郵政民営化に反対する民主をわからないと言いながら「小泉さんに踊らされるというけど、それが国民の現実。人々の心をつかむために現実を直視しなかった民主の負けです」とコメントしていたのには頭が痛くなった。
この職員のいる労働組合の組合員にはなりたくない。リストラに遭っても「現実を直視しなかったあなたが悪い」と言われそう。38歳共通一次世代、38歳女雇用機会均等法とバブル青春世代。社会人の踏み出しもバブルでいい思いが続いて、落ちぶれる人は要領が悪いとしか思ったことがなさそうだ。それから年収の高い人=努力した人、年収の低い人=努力しない人、という単純な図式を押しつけまくる人かも知れない。
しかし、小泉首相はこの人の職場である労働組合を、一部の特権をもった人たちの団体として、社会の敵と位置づけたし、現実これまでも、小泉政権になってから労組の違法行為どころか、グレーゾーンのことまで踏み込んで検察を動かしてきた。周囲が自分のことを社会の敵として見始めている現実に気づかず、その勢いに付和雷同していることに、不思議なものを感じる。

小泉支持者はお金持ちすぎて政治なんてどうでもいいところにいる人か、こうして情けない自分たちを棚に上げて支持することで強者の側に立ったように錯覚するヘタレばっかりだ。マゾかも知れない。
でも、それは他人が痛めつけられているからかも知れない。自分はまだ痛んでいないから他人が痛めつけられる社会や政治に、断固としたものを感じ、拍手喝采していられるのだろう。

前のうつ病公務員さんなら、実際、身分保障もなくなり、政府の推進する公務員削減で、民間大手企業なみにうつ病で稼働率が悪いからと職場を追わる可能性が高い。そうしたときに雇用者の「改革のための」断固とした姿勢に共感していられるだろうか。
38歳女連合系労働組合職員も、小泉構造改革に感化された新入社員がなぜ抵抗勢力の労働組合に半強制的に入らさせられるんだ(特に民間大手の場合、組合に入らないと組合の指名でクビにできる制度がある)と騒ぎだし、強制的加入が社会問題化されてしまったら、もはや労働組合は社民党のようにおじいちゃんたちだけのサロンになって滅び行く運命しかない。そうなったときに、「私が悪いのよ」と言い切れるだろうか。

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コメント

 はじめまして。
 前原民主党の対案路線についてはびんごばんごも否定的にみています。代表選の前、選挙で負けたのは郵政民営化の対案を出さなかったからだ、という前原の主張に対して、違うだろう!与党が設定したテーマに乗って戦っても勝てるはずがない、と独りで激昂してました。
 話は変わりますが、断固とした姿勢を示す政治家にすがる人々を吸引するのは難しいことです。個人的には、問題提起にとどまらず、こういう方向性もあるよとポジティヴに提案・推奨していくのが有効なのではないかと考えています。
 一部の労組が公共事業などで政官業癒着の一端を担う「抵抗勢力」であることは否定できません。ここで反労組の世論を変えていくには、宮崎哲弥が主張するように民主党が率先して労組改革に取り組んでいけば良いのではないかと思います。労組改革の実績を示すことができれば、労働組合、民主党に対する人々のイメージも変わってくるはずです。

投稿: びんごばんご | 2005.09.29 21:12

政府がついている与党に、何から何まで対案で対抗するのは物理的に無理です。ダメ出しをすることも大切なことです。そのダメ出しが単なる取引材料なのか、考え方にもとづくダメ出しなのか、ということが節度だと思っています。
労組については同感です。支持団体として鬱屈してつきあわれても組合員の支持動機になりません。組合にも物を言い、物を言われる関係をつくって、社会改革が可能になるのだと思います。労組はその期待される役割はなくなっていないと思いますが、やはり組織運営などで相当な構造改革が必要です。

投稿: 管理人 | 2005.09.30 00:34

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 28日午後、衆議院で小泉純一郎首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が行われる。この代表質問の初っ端が、小泉首相と民主党の前原誠司新代表との初対決になる。どんな質問するのかな? ドキドキするな。  前原民主党は、党内バランスに固執せず毅然と「対案を示す」という路線を掲げるが、その前途は多難だ。  与野党の議席数が拮抗しているなら、法制化をスムーズに進めるために政府・与党は野党に華を持たせたり、時には実質的な譲歩をしたりする必要があるので、野党は対案戦術でポイントを稼ぐことができる。だ... [続きを読む]

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