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2005.09.25

9/25 収入42兆支出80兆の議論のウソ

家計簿の四半期決算に向けて、残高確認作業を行う。ニフティーの利用料など2ヵ月サイトで支払うものの未払額等がわからなくなってごちゃごちゃになるのを丁寧にほどいていく。
今年は飲み歩くのをセーブしたおかげで、損益は好転したのがうれしい。実家を出て以来、ちっとも貯金が増えていなかったので、焦っていた。

先の総選挙で、政府財政について議論されることが多かったが、全く中身が議論されていなかった。ただただ国債の残高の恐怖感だけを煽る内容ばかりだった。
国の財政を家計になぞらえる候補者が多かったが、家計と財政は本質的に違い不勉強な議論だ。家計は所得の再配分はしていないし、国は家計のように消費をする必要はない。家計はどう寝ころんでも収入の範囲内でしかお金を使えないが、国は施策による支出にあわせて収入を計算することが基本であるし、何より権力が公共という無担保の信用を創ることができる。
それと42兆円の収入で80兆円使っていると言う。これも誇張で、80兆円の中には国債の元金返済部分が含まれているのに、収入42兆には国債収入を外した数字なのだから、支出から国債の元金返済部分は支出からはずすべきだ。借換分の国債を除けば支出は60兆円弱になる。今後、景気の回復で数兆円の税収増もあったりして、実質的には15兆円まで圧縮できるだろう。これにさらなる景気回復や景気対策の減税の廃止を考えると、あと10兆円ちょいの収支の帳尻をどうするか、ということが問題であり、40兆円赤字だ、というのは財務省に騙された議論だ。

国債の残高自体におびえているところから財政改革の議論がスタートするから、議論が硬直している。既得権益のあるところは強烈にそれを手放そうとしないし、反対に、情報化や教育、福祉など未来の人づくりにつながる投資も進まない。財政支出の構造そのものが変わらないし、三位一体改革(自治体の財政自主権確立)も本質的なところは何も変わらない。

思いきって2つの視点を提示したい。

1つは、今ある国債残高は減らさず、そのまま凍結したらどうか、という考えだ。国債を返してどうなるのだろうか。みんなから集めた税金を国債返済に使えば、誰にお金がいくのだろうか。国債を返すために増税し、必要な福祉や教育を切り、道路がでこぼこにして、一方で、「投資家」だけがマネーじゃぶじゃぶになる。今なら投資先も無くて困るかも知れない。そこまでして国債は返すべきものなのだろうか。そう考えると国債は資産税という側面があることに気づく。資産家から国がお金を吸い上げる方法なのだ。若手議員は国債の発行が未来の負担になる、という。一面では当たってるが、国債は返せば国債で利殖している人のために若者の負担が増える、というのが正確な表現だ。国が責任をもって返す義務に追われるのは対外債務だけで、これは今の日本にはない。

イギリスに永久国債というものがある。貴族たちが買うらしい。国が破産するまで返さなくてよいというのだから、債券というより、株券に近い。株式も、ほんとうのこと言えば会社が自主清算したり倒産しない限り投資は返ってこない。上場企業で事業目的が定款どおり達成できたから清算するなんて企業は稀だから、実質的には倒産しないと返ってこないし、倒産するほど財務状況が悪ければまず投資額は返ってこない。しかし資本主義の効果をとりあえず信じている人は株価を評価し、中には株を喜んで買って、証券取引所まで作って転売や中途購入までしている。
永久国債は株券と違って、利息が保障されている。そしてその利息と、その時々の利子率の比較した価格で転売されたりして、投資家は換金する。
返済の必要のない永久国債を発行することを真剣に考えるべきだ。今の国債も景気がよほど良くない限りは赤字国債で借換を繰り返しているので、実質的には永久国債なのだが、返すつもりでいるから、満期の10年ごとに金利リスクを心配しなければならない。
これによって、政府支出の中から、国債収入と、公債費の国債償還資金は収支から外れる。利息だけが収支に計算される。

国債残高が多すぎるのは問題だが、返すともっと副作用が大きいので、返さず凍結して、管理下において、単年度の財政のバランスをとるところまでやればいい、という考え方をしているのが神野直彦東大教授や、金子勝慶大教授だ。

もっとすごいこと言う人もいる。国債を返してどうなるんですか、という考え方をもっと広げた考え方で、国家財政はお金を右から左、左から右に動かしているに過ぎないのであって、国債発行も税金も意味は同じ、国債返済も財政支出も意味は同じ、という考え方をしている学者もいる。
国はどういう人からどういう人にお金を渡すことに意味があるのか、そこを考えて財政運営すればいいというものだ。
不況期は需要創出するセクターが政府部門しか考えられないので、そこが国債発行でも何でもして集めた財源でしっかり未来投資をして、好況期にはお金と人材の不足に陥るので、公共部門の事業の民営化を進めて国債返済を徹底してやる、ということになる。

こうした考えを提案しているのは大阪大学大学院の小野善康教授だ。猛烈な不況期にこの理論の言うところは重要になるが、今のようにレベルは低くとも上昇しようとしている局面では、国債バンバン発行すればいい、というところにまでたどり着く議論かどうかは慎重になる。

もっとも、現金つまり日銀券は「赤字」の固まりである。つまり日銀は日銀券を発行している代わりに銀行から何を取っているかといえば、1割の準備預金と、銀行の借用証書だけである。みんなが通用すると思っているから使える通貨なのであって、みんなが「これは子ども銀行券と同じだ」と思ったら、ただの紙切れになる。
国債も同じで、国や政府が維持されれば、信用が保証されるもので、その返済財源は国全体の経済力ということになる。今のように国債が国内で消化されていれば、国の中でお金があっちに動いたり、こっちに動いたりするだけなので、気を付けることは金利リスクによる利払い支出の増大だけ、ということになる。

少なくとも金利リスクがあるので、国債がむやみやたらに増えてはいけないと思うが、しかし無から有を作れる人を育てたり、自立させたり、能力を開発するための支出をきちんとやらないで、国債だけ返そうとしたり、国債のためにそうしたものを犠牲にさせていくと、やがては、国債よりもその担保となる国の底力が弱ってくる。その見極めをきちんと政治がやるべきだろう。

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