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2005.09.21

9/21 見えない税金保険編

共済の業務という職場がまったく未経験な分野なので、ここ数日、研修をしてもらっている。26日が業務の締め日なので、それに向けて休み時間に作業をしながら、研修を受ける。

生命保険の研修を受けてみて、長寿がリスクなんだと気づいた。
リスク管理が保険の原理にあり、社会全体が経済的リスクをコントロールするシステムを作り上げつつある。
その中で、寿命というものがリスクコントロールに不向きな最たるものだということだ。

そして、生命保険にしても、医療保険にしても、70歳ぐらいから上の世代は、リスクが読み切れなくて、掛け捨ての支え合いの保険がつくれないのだ。民間の保険で、70歳以上の人を対象にしているものなんて、積立式のものしかない。

社会保障制度の改革で官から民と安易に語られるが、無収入になって、体が思うように動かなくなった高齢になったときに対応できる民間保険はまずないし、これからもない。あるのは膨大な年月積み立ててやっと得られる積立取り崩し型の保険だけだ。
そうしたリスクの高いところはやはり民間は手を出さない。しかしそうしたハイリスクのところだけ公的な分野に押しつけると、とてもコストの高いシステムになってしまう。堀江貴文などが公的な社会保険制度はいらないと言っているが、そんな楽天的な話ではない。

それと、日本人は生命保険を掛けすぎというのも本当だ。月平均5~6万だそうな。社会保険庁の責任か、国民の無学がいけないのかわからないが、公的な遺族年金の存在を知らないので、生命保険のセールスが、あなたの死後家族は1億円いりますよ、なんて言われると、ほいほいと保険の金額を増やしてしまう。バブル崩壊の低金利で保険会社が加入者に低金利の新商品に契約の乗り換えをさせるのに、死亡保険金をかさ上げさせて、まんまと乗せ替えさせたらしい。
遺族年金を差し引き、貯金を差し引き、残された家族が細々と稼げば、いたって常識的な金額の保険で、貧乏な生活はしないで済む。
生命保険にお金を使いすぎというのは、社会保障制度に対する信頼がないからだ。安い税金の日本で、社会サービスも陳腐だから、自分たちで解決しなければならないと、保険会社に貢いでいる見えない税金のようなものだ。

郵政も年金も民営化しろ、という圧力と楽観的見通しは強いが、日本の金融業界のこうした実態を見るにつれて、そんなにうまくいくものかと思う。その前に金融リテラシーを教育しなければダメだろう。

余談だが、面白い話も聞いた。無事故給付だと、何年に1回か10万円を出す保険の落とし穴だ。10日に満たない入院や、10万円以内でかたがつく事故の場合、その保険の無事故給付10万円の方が得で、事故に遭っても入院しても保険請求をしないそうだ。また1日入院から給付というのも、そのために毎月の保険料が1000円跳ね上がる。10年で払う保険料は12万だが、その金額をもとを取れる人はまずいないらしい。

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コメント

>1日入院から給付というのも、そのために毎月の保険料が1000円跳ね上がる
テレビのコマーシャルを見て「まあ、気前の良い保険だこと」と資料の請求まで考えていた私。こんなからくりがあるなんて、思ってもみませんでした。教えて頂き大助かりです。
ところで、数年前夫が歩行中交通事故にあい、悲しい思いをしました。自賠責で賄える医療費は120万円までですが、点数単価が20円(健康保険の場合10円)で計算されるため、実質60万円までしか治療に使えません。夫が加入する健康保険組合は第三者行為の申請に好意的ではなく、結局被害者が肉体的にも経済的にも大きな負担を強いられました。犯罪被害者も、基本的には国の制度に頼るしかなく、塗炭の苦しみをなめさせられているようです。

投稿: はちきん | 2005.09.26 23:05

はちきんさんこんばんは。
ご家族が大変な目に遭われましたね。その後いかがでしょうか。
保険の業務についてみて、日本の交通事故の慰謝料等は死亡してまえば億単位に跳ね上がるものの、生きている人への補償は本当に手薄だという感じがしています。自賠責もバブルの頃、死亡保険金は大幅に上がりましたが、医療費の保障についてはほとんど見直されていないような記憶があります。
それにしても、自動車を運転する人が保険に入っていないとか、無責任な話は後を絶ちません。
生きる人を活かす社会にする社会改革が必要だと思っています。

投稿: 管理人 | 2005.09.27 00:20

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