9/16 どうせ引きずり降ろされる党首選びだけど
民主党の岡田代表が退陣するため行われる党首選に菅直人議員と前原誠司議員が立候補した。小沢一郎が出るような出ないような思わせぶりなことして貸しをつくって歩く。昔の田中派の行動パターンのままだ。
菅氏は、わきを固めてほしい。安っぽい話にほいほい乗ってはならない。少なくとも寝首を掻くような連中を信頼してはならないし、極力使わないようにしなければならない。
社会保険料の未納疑惑追及のように、自分も知らない未納情報を掴んでいる「若手議員」にそそのかされて、いい面の皮のように閣僚の未納疑惑追及なんかやらされてはいけない。今回失敗したら、例に出して申し訳ないが、横路さんのような存在になる。年齢的にもそうだ。だから実力とか面白い話に安易にとびのって、失敗してほしくない。
前原氏は小泉政権の対抗軸になるのか疑問だ。小泉的な構造改革の推進論者だし、労組敵視路線だし、対米従属外交だし、緊縮財政論者でもある。前原氏のベクトルと小泉政権との違いはない。小泉政権との違いを示せず、ただ小泉政権の方針にハッパをかけるだけの野党なら、野党第一党としては必要ない。
菅氏は土地政策、都市問題、介護保険、行政監視院と、松下圭一の憲法解釈をもとにどんどん政策を打ち出してきた。前原氏にはそうしたものがない。松下政経塾生のままで、優等生的現状分析しかない。こうしたいという社会像が見えてこない。
前原陣営が色濃く打ち出している、世代交代、労組依存批判、構造改革推進、そうした言葉は「若手議員」が民主党の中で10年以上も主張し続けてきたが、どうして国民の支持を得られず政権が取れないのか、もっと怜悧な反省が必要ではないだろうか。93年体制のキーワードをいつまでも使い続けることに、陳腐さを感じてならない。これで政権取れるのだろうか。
90年代のように、政治に夢見て、政界が混乱して、みんなが政治を楽しんで見ている時代には、そうした主張もリアリティーがあったが、今は、そうした政界内の主導権争いを象徴するような言葉を信用しない。前原氏はいいけど、民主党のイメージも良くならない。ジェラルドカーチスは言う。民主党キャッチフレーズ「日本をあきらめない」に前向きなイメージがなく、小泉は何でもいいから前向きなイメージを持たせた、誰も明るい未来を示せない政党なんか支持したくない、と。
どんな視座で政治を動かしていくのか、与党になったときどんなことを起こすのか、そうしたものを示さずに民主党は国民的支持を受けるとは思えない。また、岡田路線をしきりに否定されるが、リストラやIT化が進む職場で遊びがなくただただストイックに働かされている今日のサラリーマン階層にとって、「若手議員」どうしで政界の論理にどっぷり浸かった言葉しか出てこない前原氏よりは、堅物のプロ政治家岡田氏のほうがまだ現場感覚に近いのではないだろうか。
もっとも民主党の党首なんて、党内の陰謀や足の引っ張り合いで2年ともったことはないので(支持率下げ続けた党首だけが長く居座ったりしたが)、おそらく今回選ばれる党首も次の総選挙の顔にならないと思う。そういう意味ではどうでもいいのかも知れない。
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