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2005.09.13

9/12② 政治的だめんずの思考法

こうした選挙結果が出ると、日本型左翼の人々から小選挙区制だからこんなになった、という言い方が出始めている。私はそれは間違いだと思うし、日本型左翼が選挙にきちんと関わっていない立場を露呈している。負け惜しみを言うなら、ちゃんと選挙をやってほしいと思う。

私は、汚職をしようが、何をしようが、13%のマニアックな支持者だけをつかまえておけば国会議員が続けられるかつての中選挙区制より、どこの誰が順位を決めるかわからない完全比例代表制より、今の制度はずっと良いと思っている。大物議員が落選するようになったし、選挙区がべらぼうに増えたために、女性や若い人にチャレンジする機会が増えたと思う。そして接戦に持ち込めば比例も当選できる。白か黒かの小選挙区制を基本にしながら、負けても努力が報われるような重複立候補ありの比例代表制の組み合わせは、うまくできていると思う。これよりよい制度はなかなか思いつかない。

小選挙区制の部分について痛烈に批判されるが、衆議院の過半数の議席を取った勢力が首相を送り出し、内閣を組織する日本国憲法のシステムから言えば、ちょっとした民意の変化をデフォルメして評価し、一番票を取った政党がわりと簡単に過半数を手にできる制度は、非民主的とは言えないと思う。

現実に、日本型左翼の多くが主張するような、完全比例代表制によって議席配分されたら、どのようなことになるのか。自民が38.2%で183議席、民主が31.0%で149議席、公明が13.3%で64議席、共産が7.3%で35議席、社民が5.5%で26議席、国民新党が8議席、新党日本が11議席になる。この勢力分布で、選挙の度に二大政党が10%程度議席を変動させて、一体どんな政権づくりが行われるのか。野党がちょっと勝っても新聞の見出しに「民主躍進」て書かれておしまい。公明党や共産党などの中政党が幅を利かせて、変な政策取引に終始する。

日本型左翼が、「そのままのオレを受け入れてくれ」というだめんずがごとく、こうして負けたときに、自分のありようをいっさい見直さず、宣伝戦略と選挙制度の責任だけにして、敗北の責任を受け入れようとしないことが今日の体たらくをもたらしたと思う。本気で民主主義の下で世の中変えたいなら、ちゃんと選挙に参戦して、有権者の審判を受けるべきだろう。

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コメント

ん……質問ですけど、「女性や若い人にチャレンジする機会が増えた」現在の選挙制度で、どーして民主党候補者がほとんど男ばっかりなんでしょうか?

「女性や若い人」は、自民党では小泉さんの刺客作戦がそうだったように実力者のメガネに適った人は出ているけど、それは僥倖。選挙制度とは関係ない政治家のセンスの賜物のような…。

民主党は重複立候補で「そこそこ」の努力が認められるけど、その代わりにスター性のある候補者を立てられなくなってるんじゃないの? 猪口さんみたいな人を比例の一位にしたら、その分「頑張った」小選挙区の人が落ちちゃうもんね。

要するに内輪で配慮しあってるだけじゃないの?「選挙互助」としては最適化した形かもしんないけど、多くの国民はそんな自分と関係ないお家の事情に配慮して投票しない。何となく表情に現れてる明るさとか、意気とか、そんなとこしかみていない。…ってことは、お寺にくるおばちゃんと話しててよー分かった。

あと、「本気で民主主義の下で世の中変えたいなら、ちゃんと選挙に参戦して、有権者の審判を受けるべきだろう。」というのは、啖呵としてはかっこいいんだけど、それって要するに共産党みたいにほぼ全選挙区に候補者を立てろってことでしょうか?でも、それは嫌なんでしょ?

日本型左翼といっても、もはや少数派だし、それに関わってる奇特な若い人
http://yaplog.jp/dione/
のセンスは別にそんなに我々とかけ離れていないと思うので、あまり批判する気にならないね。民主党支持者にありがちは、「左翼が悪い小児病」も、本家の左翼小児病と同じく困ったもんだと思うよ。

ちなみに僕は国政は一貫して民主党に入れてますが、地方議会はだいたい共産党に入れてます。地方議会は、共産党がいないと、単なる親睦会になっちゃうからね。

では、お幸せでありますように。

投稿: 寺男 | 2005.09.14 01:38

民主党の候補が男ばかり、というところが、手堅く野党第一党になったものの、夢を与えられなくなったところではないかと私も考えています。端的に言うと自由党の合併や自民党公認漏れを安易に候補者に組み込みすぎた。その結果、選挙の基盤の不明確な女性をはじきとばすようになったという感じがしていて、その辺は不満を持っています。
有権者として政治を批評している限りは、選挙にかかわらずに不満を言うのはOKです。民主が嫌だ、社民が嫌だ、共産は嫌だと言い合っている中で、どうして自民党を崩せるのか、小選挙区制はそれが顕著に出てしまいますが、仮に中選挙区も完全比例代表も、それをやってる限りにおいては、同じで、かえって中政党がたこつぼで安住できるので良くないと思っています。
お返事はそんなところです。

投稿: 管理人 | 2005.09.14 06:59

http://d.hatena.ne.jp/gobiraff/20050913
↑の分析にもありますが、小選挙区制では、どれだけ俗情と結託できるか否かで勝敗が決まる、ということはあるのではないでしょうか?日本を国民がサッカーの試合結果に一喜一憂して暴動まで起こるような、階級分化が進んだ民度の低い国として固定化するには、適した制度だと思いますが…。

こないだ行ったスリランカも小選挙区比例代表並立でした。買弁資本系(キリスト教&仏教徒傍流)と土着名士系の民族派(仏教徒主流)の二大政党が争っています。それに元ゲリラの左翼政党や少数民族政党、撹乱要因としてテロリスト(LTTE)が絡んでいつでも政局です。

街路毎に二つの党のシンボルカラーで分断されていて、お祭みたいに政権交代を争うのですが、貧富の差は完全に固定していて、庶民の生活はなんら変わらない(もちろん政権中枢はどちらもごっつい金持ち)。庶民はただ買った負けたの怨念を次の選挙で昇華させるためにグツグツたぎらせているだけ。

メディアは前者のキリスト教買弁が握っていて、後者の仏教民族派は口コミ外資(西欧)陰謀論でそれに対抗する。日本ではそれがインターネットになるんでしょうけど。他にも条件がありますが、やはり小選挙区制度というシステムによって、政治がどんどん下品になっていく、ということは否めないと思います。

仰るとおり、中選挙区も完全比例代表も弊害はあると思いますが、少なくとも次回の選挙で野党が結集して自民党を崩そうとするならば、民主党も「比例代表80議席削減」なんていう暴論は、引っ込めるべきでしょうね。

では、お幸せでありますように。

投稿: 寺男 | 2005.09.14 12:06

先進国の多くは小選挙区制と比例代表制の組み合わせで政権が選択され、イギリスのように階層別に支持政党が異なる国もありますが、スリランカのように暴動が起きるほど対立が先鋭化しているという話は聞きませんから、暴動が起こるほどの社会対立と選挙制度の関係性はよくわかりません。
今の比例代表の議席数は寺男さんのいうように、個人的願望として減らすべきではないと思いますが、一方で小選挙区制で落選して復活する「ゾンビ議員」への批判をどうかわすか、ということも問われていると思います。

投稿: 管理人 | 2005.09.15 01:34

暴動云々というのはスリランカの話ではなくて、サッカー好きの国全般(失礼)の話です。

スリランカは年中政局ながらも、暴動みたいな事態は滅多におきません。LTTEが仏歯寺で爆弾テロしたり(伊勢神宮やバチカンを吹っ飛ばすようなもの)、外相を暗殺したり、とんでもない状況ですが、現政府(土着派)はうまくコントロールしています。

スリランカは宗教的寛容、教育水準の高さ、人々が穏やかで親切なこと、女性の社会進出が進んでいることなど、経済大国と威張っている現代日本と比べてもよほど民度は高い国でもあります。しかしそれでも二大政党制の下で、一方の政党が国民の俗情を煽ることで政権を奪い、国の財産を食い者にする構図は続いています。

そういう事例を見ると、政党のモラルハザードを防ぐ強固な支持層を持った中間政党の存在というのは、けっこう貴重ではないかなと思ったのですが、植民地経験国の政治というのは矛盾がもっと根深いので、選挙制度だけで比較はできない。例としてちょっと不適当だったかもしれません。

では、お幸せでありますように。

投稿: 寺男 | 2005.09.16 01:14

「日本的左翼」が何を指すのか全く意味不明ですが、4割にも満たない支持しか得ていない政党に6割もの議席を与えた後になってはじめて「びっくりした」55%の人達こそこれを機会によく反省すべきでしょう。
中間政党が残るのは、中間政党の支持者がそれだけ居るから。17%の支持を得ていたら17%分の代表を送る権利があるのが当然(17%って言ったら、民主党得票の半分以上じゃないですか)。それを制度で壁を立てて締め出す権利が誰にあるものか。連立が嫌だと言うなら、比例代表制で過半数を取るべき。それができないなら、それが民意。それを歪める権利など誰にあるものか。

小選挙区制だから党中央の独裁ができてしまう、ということは今度の小泉劇場でいやというほど見たでしょう。私達の選択肢は今や、二大政党とやらの党権力を誰が握るかに全く左右されてしまっているのは明らか。民主党代表がネオリベラリストになったら、貧乏人が国会に人数相応の代表を送る道はもう残ってない、そういう事態を招いたのは何でしょう。小選挙区制ではないですか。

'93年に自民党永久政権をひっくり返した日本新党が国会に出てこれたのは、参院の全国区(比例代表)があったから。二大政党とやらの党中央が両方ともダメになったら、ブレークスルーをどうやって作り出すことができるのかな。

政治とは何よりもまず異なる者同士の討議交渉の中から次善解を作り上げるプロセス。
制度を使って多様性を排除したり、圧倒的単独政権をファブリケートする発想の根底にはそうした話し合いの否定があります。小選挙区制で政治が下品になる必然性がそこにある、と私は確信します。

ドイツ型の併用制ならともかく、独立の小選挙区制は一刻も早く全廃すべきです。

投稿: 通りすがり | 2005.09.26 21:50

長々と書いたあとで申し訳ありませんがもう一発。

>小選挙区制で落選して復活する「ゾンビ議員」

とんでもない話で、比例代表で当選した人の誰ひとりとして、小選挙区最高得票者より得票の少なかった人は居ません。

「そんな事言うなら、得票数をくらべてみよう」の一言で終わる話です。それを誰も言わないのは、それだけ世の中が小選挙区制の暴力に魅せられてしまっているのでしょう。

投稿: 通りすがり | 2005.09.26 22:03

通りすがりさま
「通りすがり」と名乗って、感情的な議論を捨てて行かれる態度は好感を持てません。それでも選挙制度さえ、という安易な思考法を代表しているような意見なのでお答えします。

選挙結果に「びっくりした」なら次の選挙から投票をきちんと考えればいいことです。それが投票による民主主義の成熟過程です。

ところで選挙制度の話ですが、国民に支持された支持分布通りに政党が議席を取れるシステムをもって、民意が反映されたと言えるのか、というのは選挙制度の研究課題で、そうとも言えるし、そうとも言えない、というのが結論です。政党が多種多様な民意を反映しきれるのか、という本質的問題が横たわっているからです。
国会議員は何のためにいるのか、その最大の目的は首相を指名することにあるのです。首相を選ぶ機能のない国会議員選挙はまず意味がないと考えたほうがいいと思います。
三権分立なんて官僚支配の論理に騙されているから、国会は権力と中立的に政策を議論する場ぐらいにしか思っていなくて、したがってどんな政党分布でも構わず、中間政党は発言力を確保できる程度の議席があれば、と思われているのかも知れません。
たとえ比例代表にして民意どおりの政党分布にしたところで、当選する議員を指名する権利を誰に持たせるのか、難しいところです。かつて参議院の比例代表の当選者順位を政党が勝手に決めなければならない時代には、民主党や社会党は支持団体の構成員の名簿を積み上げた順に順位を決めたわけで、それ以外に公正客観なルールはありません。圧力団体から自由になろうとすれば、公明党や共産党のように、党中央が絶大な権力を持つことになります。
>比例代表で当選した人の誰ひとりとして、小選挙区最高得票者より得票の少なかった人は居ません。
おっしゃっていることが論理矛盾で事実誤認ではないでしょうか。比例代表制の当選者決定のシステムを理解していますか。衆議院の場合、比例代表で各候補が獲得した固有の票などありません。
さらに、自民、民主、社民、国民新、新党日本の各党は比例代表に小選挙区との重複立候補者を中心に名簿に掲載しているので、小選挙区で落選した人の中から比例代表の当選者が決まっているのですよね?小選挙区の最高得票者より得票が多い落選者などあり得るわけがありません。

投稿: 管理人 | 2005.09.27 00:52

感情的に書いたつもりはなかったのですが、刺激してしまったようですね。
(もっとも、貴殿の書き方も比例代表制論者の私からすればずいぶん刺激的ですが)
不愉快でしたらごめんなさい。匿名で書いてますしね…

と言いつつ「安易」などと書かれてしまったので、一言だけしておきます。

いろいろ議論のポイントはありますが、おそらくここが最も根本的な理解の違いと思われます。

>国会議員は何のためにいるのか、その最大の目的は首相を指名することにあるのです。

議員内閣制が「三権分立」とは異質なものであるという点には同意しますが、国会議員の仕事は首相を指名して終わるものではありません。
その後の政治のプロセスを全て内閣に委ねるのであれば、国会議員による審議や議論は必要ないでしょう。しかしそうなれば、それは独裁そのものではないでしょうか?
数は力なのだから少数野党の抵抗はいずれにせよムダである、とお考えなのかもしれませんが、たとえ少数野党の質疑であっても、それが世論にフィードバックされ、世論が与党を抑えて政策を変更させることもあれば、次の選挙にもフィードバックされる。
そういう議論とフィードバックのやり取りの中にこそ政治プロセスの最も重要なものがある。
その回路は政権与党内にもなくてはならない。でなければ、権力は暴走する危険が極めて高い。
衆議院を首相選出マシンとしてしか位置づけないなら(そこまではおっしゃらないでしょうけれど)、そうしたフィードバックの過程を毀損する事につながる。フィードバックの回路から外れる国民が少なからず出てくれば、国民の統合自体が崩れてしまう。
そうならないよう、議席配分は国民の多様な政見分布になるべく忠実でなくてはならないし、国民のフィードバックがかかりやすいものでなくてはならない。
私はこのように理解しています。


なお比例代表当選者は『比例区において』『党の当選者として』いかなる小選挙区当選者よりも多く得票しています。
言葉足らずでしたね。


お邪魔いたしました。長々とすみません。
がんばってください。

投稿: さっきの通りすがり | 2005.09.27 02:04

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 元気です。と強がってみても、自分で考える以上に、やっぱりものすごく痛手を負っているようで、朝おきてもTVも新聞も見たくないので、現状を把握していないのですが、ブログをめぐっていると、いろんな方がこれからの日本が戦前のように最悪になると予想されています。でもファシズムとかいう言葉を聞くと、さすがにそこまでは悪くならないだろう、と また、いつものように自分に都合のいい解釈をして、どうにか心のバランスを保っています。そもそもファシズムってどういうものなんだろうかと私は理解していないので、のんきなことを書... [続きを読む]

受信: 2005.09.14 20:18

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