8/8 救われた障害者
解散で、職場も何も混乱状態。
解散でよかったのは障害者自立支援法が廃案になったことだ。障害者の福祉の改革は仕切り直しとなる。自民+公明が過半数を取れなければ、民主党の合意のできる内容に直さざるを得ない。
障害者の自立生活のための社会システムの整備は必要だ。しかし、自民公明が提出して国会で議論されていた障害者自立支援法は、障害者の就職を促進するような法律に見えるが、単に、障害者の福祉をサービス量に応じて自己負担を課そうという内容で、精神主義で障害者を自立させようという法律。公明党の支持者を意識してか「低所得者対策」に自己負担を軽減したり肩代わりするような考えもあるが、障害が重くて働けない人ほど自己負担が増えるという、地獄の責め苦のようなシステムだ。
小さな政府だ、自己責任だ、という言葉で、障害者、ひとり親家庭、生活保護と、一番きついところにいる人のところばかりが切り込まれている。社会保障改革の議論の順序がおかしい。社会保障財政の一番の課題は年金であり、医療だ。これから介護保険を除けば、それ以外は全体からすると10%にも満たない話だ。
年金は財政面から「改革」されたが、医療に関しては、開業医ばかりを甘やかしてきた問題に、全然といっていいぐらいメスが入っていない。ようやく診療報酬を決める中医協のメンバーに、開業医でない病院経営者団体と公益委員が入るようになったことぐらいだ。
物事の問題解決の順序から言えば、大きい問題を少しでも改革することのほうが効果が大きいのに、小さな財源で、しかも切られたら生きることすらたちゆかなくなるようなところにメスばかり入れられる。障害者福祉の財源不足は今朝の毎日新聞で170億円と伝えられている。社会保障関係の政府支出が20兆円なのだから、わずか0.1%だ。年金や医療の給付を変えればこの程度の財源はすぐ捻出できる金額だ。
もっというとこの170億円をけちることで、障害者の本人や家族が自立して生活する基盤を失い、そのために就労できない、納税できない、自立へ遠ざかるスパイラルに家族もろとも落ち込んで、経済損失が大きくなる。
小泉構造改革は、小さな政府、自己責任と言って障害者、ひとり親家庭、生活保護をぎりぎり切っておきながら、元気な人で力ある人たちの既得権益や楽しみは温存し、ときには利権化してきた。今度の選挙で小泉構造改革に終止符を打てるよう、目的が明確で、共感と連帯がある改革をめざす議員が当選して、勢力を伸ばしてほしい。
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コメント
なんとなくもやもやとしていたのをズバリ言い表していただきました。
目前に養護学校の卒業を控え、ただでさえ成人後の生活が不安なのに、自立支援法が施行された後の生活がまったくイメージできずにいました。
一番怖いのは、見えないところで、じゅうぶんな議論もされないままにたんたんと法制化されてしまうことです。
一度白紙に戻ったことは本当によかった。
投稿: m | 2005.08.10 20:32
コメントありがとうございます。
障害者の自立生活、地域生活ということが大切だと骨から思ってるので、その考え方を食い物にするようなやり口には本当に嫌な気分になります。
投稿: 管理人 | 2005.08.10 22:46
すみません、どっちかのトラバを消してくださいな。二つつないでしまいました。
さて、弱いところから攻めるのは兵法としては正しいのでしょうが、いつまでも強いところにはメスが入らないのが現状、というか日本のしくみ。
それじゃあ攻められるだけで改革の恩恵がない弱者は困っちゃいます。
投稿: takeyan | 2005.08.12 11:14