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2005.08.20

8/20② 民でできるからといって

NHKスペシャルの水の民営化の問題点を取り上げた番組が良かった。以前、エビお気に入りのニュースキャスターが自治体の水道事業の民営化を紹介して、「水が民営化されると水道料金が安くなっていいですよね」なんて、ろくに考えてもいないことを臆面なく感想を言っていたことがあったので、NHKにも良心があるとほっとした。もっともNHKだって民営化すべきと言われかねないともいえる。

このNHK番組で言っていたのは、
①水道事業は地域独占なので、民間企業がすき放題やると、特定の職員への法外な報酬や、系列企業に不透明な契約を行いコスト高になる(民間企業なので競争入札しなくてもよい)。
②民間企業なので事業撤退の自由がある。その尻拭いは結局、政府部門が行うことになる。
③民間企業の中でも、地域密着の企業と、グローバル企業では、グローバル企業のほうが手荒なことをやり、地域社会に責任を持たない。
④一度民営化してしまった公営事業を最公営化するには膨大なコストがかかる。
というもの。特に事業撤退をつきつけられると、どんな契約していたって、チャラだからね。

国鉄や電電公社、専売公社の民営化がどうしてうまくいったかというと、国鉄には競争相手がいないと思われていたが、航空機やマイカーなどのほかの手段による競争相手がいて、独占にならなかったから。電電公社は当初独占だったが、民営化と同時に進んだ新電電の参入や通信回線の多様化などで競争相手ができてきたから。専売公社は嗜好品という競争相手がいたから。

しかし、現在小泉政権が進めている、民でできるものは民で、と何でも民営化しようとする考えは、このことがきちんと検討されていない。なんとなく、倒産がある民間企業のほうが効率的に運営できそうだ、という感覚的な議論しかされていない。

水道事業や福祉など民営化をぐんぐん進めている。今は例外でしかないが、次に小泉政権が選択されれば、今度は強制的に民営化をさせられることになるだろう。そうしたときに、水道や福祉などの選びようのない事業は、利用者が、事業者つまり企業にたてつけない、もの言えない関係になってしまって、一方的な事業を行われてしまう可能性がある。その結果、生存権をおびやかされたり、人権が侵害された状態に甘んじなければならないことも十分考えられる。

日経読者のオヤジ・オヤジOLに限らず、多くの人が、「官」の非効率をなくすために民営化を行うことが何よりの構造改革と信じ込まされている。
小泉がただ一つの選挙の争点として扱っている郵政民営化の話も、法案に反対した民主党でさえ、民営化には賛成だけど小泉首相の手法が悪い、という人が多数派だ。そして、今回の選挙でも、小泉首相が「非効率な官を民にする、なぜ反対なのかわからない」などと論理にならないことを言われると、その前にむちゃくちゃな政局運営と、衆議院の解散が行われた現実があったとしても、小泉首相への支持率が上がってしまっている。、
能天気な民営化政策だけが「構造改革」のような宣伝をしている小泉政権でいいのだろうか。そんなことを実証的に考えさせてくれる番組だった。自民党の選挙宣伝みたいなニュースの多い最近のマスコミだが、ほんとうにたまにこうしたまともな感覚を伝えてくれるものがある。

※なぜか民営化大好きの森派の連中(特に中山成彬)は、教育だけは規制緩和も民営化もしないし反対している。さらには地方の政府にもゆだねない。中央集権的な官による教育にこだわっている。まったく理解できない。

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コメント

高い県水を無理やり買わされて、県内の多くの自治体が困っています。原因はダムです。
むしろ、地下水の涵養を計画的に行って、地下水を活用すべきなのに。

そして、水の民営化は普通の民営化論と違って完全にフリーライダーだというところが問題だと思います。

投稿: takeyan | 2005.08.21 00:57

 水道事業も下水道事業も巨大な装置産業です。どちらも道路を占用し、サービスを提供することになります。
 同じ道路に2本の水道管や下水道管を入れるスペースもありませんから、必然的に独占企業となります。独占企業体の失敗は、過去の歴史が証明していることです。
 ですから「官」、つまり国会や自治体議会が一定のコントロールをする仕組みになっているだと思っていましたが。

 日本のように国土が細長く、人口の過疎と過密の差が激しい区域では、過疎地域では事業を人質に国や公共団体から補助金を巻き上げる、といった構図がないとは言い切れません。
 どのような事業体であれ、楽して儲けようとするのは自然な欲求です。独占企業体で、代替手段がなく、国民の生活衛生に密着した部門に到っては、「維持するために補助金を出せ!」と言って、利潤を極大化することは見えてきます。結局は納税者は、地方公営企業よりも多額の経費を支払うことになるのです。

投稿: 窓灯り | 2005.08.24 22:42

お返事遅くなりました。
官か民も大事ですが、誰の発言権で事業が営まれているか、ということが公共性の高い事業に問われていることです。水で言うと別府の温泉給湯事業などは地域住民が資本を出し購入し事業を共同管理して利益を出さなくてもうまく行っているし、水の涵養ということも注意しあっているのです。
ですから民間じゃだめ、と言い切れませんが、大規模な設備を必要とする上下水道はどうしても民営化すれば大手資本が乗っ取ることになり、民営化するメリットよりも窓灯りさんのおっしゃるような事態に、株主のために、資本蓄積のために水道料金が高くなる、ということが起こりかねません。

投稿: 管理人 | 2005.08.29 23:16

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