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2005.07.30

7/30 横浜市の保育担当の副市長

横浜市で開かれているわが労組の保育士組合員の会議の取材に行く。

開催地の首長、助役クラスがご挨拶に来ていただいているが、昨日の初日は前田正子副市長が来てあいさつしていただいた。
認可保育所を基礎に保育制度を充実すべき、育児と家庭を両立できるようにすべき、規制緩和万能の保育制度改革はおかしい、というところまではわが労組と同じ立場だが、保育所が公立である必要はないからどんどん民営化したほうがいい、という立場で、わが労組と相容れない部分もある人だ。
※岩波書店から出ている前田正子著「保育園は、いま」は保育の規制緩和の議論がいかに間違っているか、左翼陣営と違った立場でわかりやすく伝えてくれる。保育所制度を考える人は一読をお勧めしたい。

私が仕事で保育政策を担当していたときに、連合右派の女性部が前田さんを呼んで保育制度の学習会をやる、と聞いて、右派労組でも女性でもないのに出しゃばって出席した。公務員保育士の人件費批判をしたので、「公務員給与は民間の平均値なので、保育士の給料が高いというのは女性労働だからか、あるいは絶対的な水準が高いというなら、平均値にまざる民間大手の労働者の賃金の問題ではないか。ここは女房を専業主婦にしてサービス残業を恒常的に行うことを前提にした水準になっているからではないか」と、マシンガントークで反論されるのを覚悟で返したところ、非常に面白がってくれて、松下幸之助氏に見込まれただけある愛嬌のある人だと感じたことがある。
そんな関わりもあって、その会議で、前田氏がどんなあいさつをするか興味津々だった。

話の内容は、率直で、保育の専門家として、来賓の挨拶のなかでは一番良い内容だった。飛鳥田市長時代に保育所づくりを否定してきたため、待機児童問題が深刻で全然解決できなかったものが、専門家副市長の誕生で、ここ数年で急激に待機児童が減った。毎年20ヵ所以上保育所を新設している。その努力と政治的合意をつくる苦労話は面白かったし、自治体の責任ある立場になって、育児と仕事の両立だけではなくて、育児困難な親への支援、難しい子どもへの支援について参加している保育士に努力を促し、いろいろ激励をしていただいたことは、新鮮でよかった。
また、職場を良くするアイディアが保護者との接点のある保育所にいっぱいあるのに、それを眠らせないでほしいというお願いも良かった。でもそれは現場に権限がないとね。

横浜市が専業主婦率の高い市と聞いていたが、あいさつの中で、都道府県・政令指定都市の中で最高だと話された。それは知らなかった。なんか高学歴のキャリアウーマンが住みやすそうなイメージがあるけども、つい数年前までは、女の人が働き続けるには厳しい街だったんだ。

今日の午前中は、保育予算についての分科会に参加。講師の厚生労働省の官僚は天下国家の話ばかりして、要領を得ない。昨年から交付税化されたり、交付金化されたり、一部補助金で残っている肝心の保育予算の仕組みが全然見えなかった。もったいない。歴代の担当者は、規制緩和しても子どもに選択権はない、いろいろな子どもに合わせられるように保育所制度はできるだけスタンダードシンプルがいいんだ、変に競争して合わない子どもが出てしまうような競争をしないでほしいと、規制改革会議の暴論に抵抗してくれたが、今度の担当者は子ども発の視点がなかった。

午後は、児童虐待、学童期の子どもの問題の分科会を取材。子育て・保育の政策テーマは広い。

●厚生労働白書が共働きが多い地域ほど子どもが多いと発表。
そうでしょう。でも、共働きを増やせば子どもが増えるかというとそんなに劇的な変化はないだろう。少子化をテコにでもして構わないので、保育所の増設や質の向上にはどんどん取り組んでほしいけど、やはりそれは少子化のためにではなく、いろいろな人がいろいろな挑戦ができるように、という目的であってほしい。

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