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2005.07.19

7/19 教育者のような顔をした宗教家

友人がおろしや国の語学教師に内定。場所が根室の山奥のような場所だし、しばらく帰ってこれなくなるかも寂しいが、ともかくおめでたい。

午前中は、知り合いの紹介で韓国のソウル大学朴チョルヒ助教授、助手のユンさんから、民主党についてヒアリングを受ける(こんなペーペーの労組職員に話を聴く人のは修士論文か何かかと気楽に構えていたら、名刺をいただいてから偉い人だとわかった)。
95年の結党の菅・鳩山の理想主義的イメージが、うまく自民党の古い体質とコントラストを描いて躍進しているんだろうけど、現実には98年以後、新進党の流入で、そのイメージは実態ではない、ということなどを話した。それについてはどちらにも善し悪しがあるとも話した。

午後は浦和で埼玉県主催の「子育てに悩む親への継続的支援を考える」シンポジウムを傍聴。
弁士は、恵泉女学園大学教授の大日向雅美さん、汐見稔幸東大大学院教授、高橋史朗埼玉県教育委員、小児精神科医の山下浩さんの4人。
高橋史朗の話は変だった。「主体変容」「守破離」「人格的知能」だの、変な言葉ばかり使って、できの悪い新興宗教の教祖のような自己完結している講釈を聞かされているだけだった。「主体変容」って何ですかね。チュチェ思想かね。

彼は共産党系教育学の基礎となる発達段階論を無批判に今でも受け入れ右翼的に応用している。いわく、発達段階に応じて、強制をしていくことが教育なんだ、自立はそれからなんだ、という言い方をしている。汐見教授などに冷やかされると、「しっかり抱いて下に降ろして歩かせろ」と同じ話を繰り返し、底の浅さを感じる。
出身地の兵庫で提起したトライアル教育(中高生を一週間程度労働体験させること)が実践に移され成果を上げていることを自慢していた。トライアル教育後は、不登校児の78%が学校に戻ると。しかし一週間経つと30%も来なくなっている。逆に、労働体験させることは意味が大きいんだろうけど、学校が変わらないままなんだから、学校に通えば元の木阿弥になるのは当たり前だということだ。
そんな意味のない話にうんうん頷いている傍聴者が多いのにはびっくり(でも拍手の量は圧倒的に少なかった)。

レジュメらしきものにはもっともっと変なこと書いている。
怪しげな脳科学や、家庭教育への猛烈な信奉と、保育所に対する嫌悪と専業主婦へのばらまき手当の提案が語られている。埼玉の保育環境はほとんど良くならないだろう。自民党ばかりか、県政与党のこの辺の民主党議員たちも、保育所の充実に対しては、同様に家庭教育を弱体化させるものとして後ろ向きだしね。埼玉県の子ども・教育施策は石原東京都政以下になるな、と思った。土屋県政と比べると、私の頭の中では「きれいなファシズムより汚い民主主義」がリフレインする。

逆に好感を持てたのは大日向雅美さん。
私が保育政策を担当している頃は、政府の仕事と育児の両立がらみの審議会の委員などいくつかやっていて、キャリアウーマンにとって今の保育所制度が役に立ち切れていない、と言ったおしかりのような話が多かったような記憶をしている。
3年前から、都内の廃園になった区立幼稚園を活用して、子育て相談センターや一時保育事業をやって、いろいろな親や子、家庭の事情に接点をもつようになって、視野が広がったし、面白い体験をしている、という話に感動。子育てはイデオロギーじゃないんだな。相手のある話だ。

汐見さんの話は以前紹介したような内容を高橋氏の反論含めて伝えていた。

このシンポジウムで考え方の違う人をいろいろ登場させて、立体的に見せていただいた県には感謝するけれども。

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コメント

最近、自らの体験を無条件に一般化し、
復古主義を唱えて悦に入っている田舎の保守議員が多すぎると痛感しています。

民主党も何かといえば地方分権なのですが、
いざ地方の民主党はというと、何ら地域のビジョンや具体的な政策を提示し切れていないというのが実情だと思います。(各県連や総支部単位でバラバラだとは思いますが)
98年以降かなり変な議員もまざってきてますが、地方議会は国政と違って席が埋まっていないので、もう少しまともな候補を立てて、政策面の支援もしっかりしていけば、もう少しマシになる余地はあるのかなという気がします。

投稿: wacky | 2005.07.19 23:04

コメントありがとうございます。
今の政治や社会がうまく行かない理由をきちんと考えればいいのですが、復古主義や共産主義に走って、根本からの解決策があるように思うのがダメな政治家の行動パターンですね。
地方議員の質の向上が重要になりますね。お手盛りと批判されながら導入された政党助成金で野党の財政基盤が安定して、政党が候補者を手厚く保護することができるようになりました。そのことで国会議員のなり手の幅は広がり(サラリーマン出身者が労組を経由しないで立候補できるようになった)、質はずいぶん向上したと思います。地方議員が魅力的な仕事になるような対策が必要じゃないかと思っています。

投稿: 管理人 | 2005.07.27 01:29

古い記事へのTBで失礼します。
高橋史朗氏が、またこのときの汐見先生への「怨念」を産経新聞紙上で蒸し返していたので、詳しい内容が知りたくて探していてたどりつきました。助かりました(^^)

投稿: rabbitofoot | 2007.07.14 00:41

どういたしまして。こういう風に証言者となれることは地方紙も取り上げないローカルなできごとを記録することの醍醐味です。こちらこそありがとうございます。

投稿: 管理人 | 2007.07.14 01:10

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