7/11 国益を損なうナショナリズム
また中山文相。
慰安婦発言支持のメール、中山文科相「感銘受けた」 2005年07月11日10時08分朝日新聞中山文部科学相は10日、福岡市での講演で、「従軍慰安婦という言葉は当時存在しなかった」という自らの発言を支持する日本人留学生のメールを約9分間にわたって読み上げ、「感銘を受けた」「若い方々は本当に真剣に考えてくれている。ありがたい」と語った。
中山氏は「私の発言に関してはご批判もあるが、若い方々からの励ましがすごく多い」として、カナダの大学院で学ぶ20代の女性からのメールを紹介した。
中山氏によると、メールは「(従軍慰安婦は)一部の日本人が自虐的にも戦後作った言葉だ」と、中山発言を支持。「彼女らには大いに同情すべきだが、(意に反して売春させられたのは)古い時代の日本の農村で見られた情景とそう変わらない」「戦地にある不安定な男の心をなだめ、一定の休息と秩序をもたらした存在と考えれば、プライドを持って取り組むことが出来る職業だったという言い方も出来る」とも述べているという。
与太メールを公開して、オレが言っているんじゃないからね、という態度が良くない。姑息だ。宮崎出身なのに薩摩の外様大名の名前を名乗り、薩摩ハヤト気取りの政治家・中山氏らしくない。しかも中山氏はジェンダーフリー教育を批判しているのに、性的労働のことを云々する「はしたない女・子ども」のメールを使うなんてどうなんかな。
自虐か被害か、という論争は戦後60年経た今、あるレベルを超えると主観的な論争なんだけど、しかし現実にその主観の問題が外交問題として横たわっていて、誰の責任であれ、外交はこの問題は除去していかなければならない。自虐という中山氏らが左翼文化人がやっている論争は水道管が破裂しかかっているときに、水道管の材質を巡って論争しているようなものだ。有能な政治家は破裂を回避し、水道管を交換する政治家だ。
政治家が役にも立たない価値観を云々したり、効果もないナショナリズムを煽動するときは、自分の仕事の成果が上がらないときだ。無能さの裏返しであると言ってよい。今回のこの出来事は、中山氏の言っていることの浅はかさの馬脚をあらわしていると言ってよい。
メールを出した女子大学院生というのもどんなもんだろか。国益のために必要だった従軍慰安婦、彼女らにもプライドがあるんだ、というなら、今の風俗嬢たちだって誇りはある(「風俗嬢意識調査」を読め)。それをどう考えるのか。今と過去を強引に切り離し、過去の価値観は違っていたから仕方ない、と言う無かれ。誰の金で大学院生やっているんだか知らないが、拉致も人身売買もないところからのほほんと従軍慰安婦が良かったかも知れない、と評論するのは人倫に欠ける。
中山氏のような政治家が教育を担い、教育改革の旗手なんて、まったくあほらしい。大学院生からメールで喜んでいるヒマがあったら文相なら、文教族政治家が活躍した結果として、数がふくれあがっている大学院生たちが、その後社会に出ることができているのか、その後生きる見通しがあるのか、きちんと検証してほしい。
また日中関係、日韓関係で余計な借りを作ってしまった。中山氏の発言のツケが損なった国益は大きいだろう。
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