6/18 わがままの交通から交通の公共づくりへ
用事があって、三鷹に行く。
帰りに三鷹駅の階段に掲げられていたポスター、武蔵野市が自転車のマナー向上を厳しく呼びかけるものだった。武蔵野市は厳しい自転車規制をしているが、コミュニティーバスの経営や、既存バス路線の定時運行のための諸施策なども含めて、その対策は学ぶべきところが多い。
最寄り駅の悪質な放置自転車は一時警備員と撤去用トラックを常駐させて一掃されたが、それからしばらくして最近、また少しずつ戻ってきた。なかには、明らかに歩行を阻害する止め方している自転車もあって危険だ。
今までのように放置された自転車を取り締まる対策はわかりやすいが、対症療法だと思う。常に取り締まり要員を置いておかなければ、今のように再び放置が始まってしまう。そもそも何で駅にこんなに自転車でやってくる人がいるのか、という原因に立ち入って対策を打たなければ、警備員がいるときだけ、ルールを守るような悪弊が続く。
税金使って自転車駐輪場を作るほかには、駅までの交通アクセスが不便なところの開発を規制したり、バスの増便を促したり、バス運賃の値下げと自転車駐輪料の値上げなどをかみ合わせたり、総合的に対策を打つことが必要だ。
自転車は経済的弱者の乗り物かも知れないが、交通強者の乗り物でもある。自転車に乗れない人や高齢者、子連れにとっては、時速2~30キロで歩道を走る自転車は凶器と同じだ。そういうマイナス面もきちんととらえて、過剰利用を抑制し、経済的弱者でも使える環境にやさしい乗り物として都市と共存する方法をそれぞれの地域で考える必要があるだろう。
●となりの志木市で市長選挙が始まる。大胆な市民参加型行政を進めて話題を呼んだ穂坂邦夫市長が引退し、その施策の大半を受け継ぐ助役と、穂坂市長に反発してきた市議に担がれた元新進党系県議との一騎打ちになる。
穂坂市長の毀誉褒貶はいろいろ聞く。しかし、他の地域よりなおお任せ民主主義が根強いこの地域で全国で最もラジカルな市民参加を推進したことや、自らも染まってきた日本の地方政治の古い体質に立ち向かったことは、これからも評価され続けるだろう。市議の中には無視された、という思いが強いらしい。退任にあたり穂坂市長が著した「市町村崩壊」を読むと、行政を屈服させるだけの市議の非建設性が存分に描かれている。市議も建設的な仕事をする権限を与えられてるのだが、議会慣習がそれをできないようにしているのだろう。
穂坂市長は、狭隘道路の多い志木市で歩行者を守る施策をいろいろ提案した。しかし、自由にマイカーに乗りたい市民や、そうした市民の欲望に反対できない市議たちの大反対にあって、歩行者を守る施策の提案は無視と言ってよい扱いを受けてしまった。高齢社会の進行や、環境対策、商店街の育成などいろいろな視点で市長の提案は聞くべきことが多いのだったが、市長の退任で葬られてしまうことがほんとうに残念でならない。
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コメント
自治体改革はある種のブームになっている中で、議会改革がもっとも遅れたカテゴリーになってしまっていることに危機感を感じてます。
なぜ無視されるのか考えたことがあるのかと問いたいです。選挙の時だけお願いに来る議員が多すぎます。ホームページもろくにない、議会報告も送ってこない。一般の住民に話を聞く機会を持たない。政策の勉強もしない。一部例外の方もいますが、こういう議員が大多数のように感じさせられます。
投稿: wacky | 2005.06.19 06:48
wackyさんコメントありがとうございます。地方議員は情報提供もおろそかだし、議会活動もどうかと思うのです。埼玉だと地元紙が議会のことはほとんど報じないので、仕事を放り出して傍聴にでも行かないと何やっているのだかわからないところです。
地方議員は政策コーディネーターとしての役割が求められているのに、議会は形骸化どころか、なんでも抵抗勢力のような様相を示しています。市役所にたくさんの審議会が必要になるのだと思っています。これは対行政の質問ばかりではなくて、議員どうしの討論が必要だと思います。各議会での斉藤十朗元参議のような議長の登場を期待したいですね。
議員たちは、選挙で改革を声高にいう割には、自分たちが市民のためのお役立ち機関になるための自己改革がものすごく遅れているような感じがします。一方では、最貧困層とか、障害で困っている人の相談をたくさん受けているので、そこを利権化せず政策にすると市職員ではできないことができるようになると思うのですがねぇ。有権者のたかり体質も問題かも知れませんが。
投稿: 管理人 | 2005.06.19 12:04
何も考えずにイメージだけで、あるいは知り合いだというだけで議員に投票する人が多いですから、議員もやりたい放題なんでしょうね。中身をしっかり監視し、その上で投票して欲しいものです。20人もの議員全てを監視するのは困難ですから、せめて自分が投票した議員については追跡調査くらいして欲しいものです。市民派を名乗りつつ、市民運動を公然と弾圧する議員もいますので。
ただ、穂坂市長は議員の経験もあるんだから、もっとうまく議会と付き合う必要があったと思います。実現しなければいい政策も無意味ですから。
投稿: takeyan | 2005.06.19 17:05
せめて投票所で所属会派ぐらいわかるといいのですが、みんな「無所属」でよくかわりません。「市民派」を掲げる議員が増えましたが、何をよって立つ基盤としているのか、よくわからないというのは同感です。
穂坂市長と議会の関係はよくわかりませんが、takeyanさんのおっしゃることもその通りだと思いますし、逆に、市長は議員にいろいろサービスしないと合意形成が図れないような面もあるのかな、と感じることもあります。
投稿: 管理人 | 2005.06.19 19:42