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2005.05.29

5/28② ニート問題にマクロ経済学者が関われない理由

上部団体のリーダー笹森清氏が「若者の人間力を高めるための国民会議」に参加したというので、心配しながら見ている。若者は1人も入っていないし、教育や心理学など若者の意欲や内面のみの問題にし、それの改造を期待するようなメンツなのが心配だ。

興味深いブログを見つける。
http://www.bewaad.com/20050527.html
私も、第一義的にはマクロ経済学の問題だと思う。それに加えて続いて、若者が「参加と改革」の能力を獲得をする機会もなければ求められてもこなかった、ということだ。どちらにしても経営者の都合のいい人間づくりをすることでは何も解決しないということだと思う。

政府がマクロ経済学者をこういう場に出さないのか、ということは明白である。マクロ経済学者は小泉構造改革のすべてを是認している竹中平蔵郵政担当大臣か、正反対に雇用拡大にあれこれすべきという立場の小野義康阪大教授などの立場のどちらかしかいない。今日的状況を是認しているマクロ経済学者は、雇用を拡大せよ、という訳にもいかず、意欲の問題にすり替えるしかないのである。
小泉政権の主要イデオロギーは、今日的状況を是認しているマクロ経済政策を採用し、(一発革命的な)構造改革を推進することにあるのだから、経済政策の転換という選択をすればこれまでの政権イデオロギーの否定につながってしまうのだろう。若者の雇用のや未来のことなんて考えてやる余裕をあえて持たないシンプルな思考回路をもちましょう、地獄に突き落とせばはい上がってくるものなのです、というのが現政権の経済の正当性の根拠(しかも被害者である若者もそれに流されている)なのだから。

リストラで中高年がひどい目にあっているということが騒がれた頃、小泉政権の経済政策をわかりやすく批判してもらおうとして、大阪大学の小野義康教授にインタビューしたことがある。
このとき、まだ中年のリストラしか注目されていない状態。若者の雇用について「雇用のミスマッチ」だとか就職難以上の表現がされていなくて、小野教授に、「雇用もないのに働く気がないなどと言われ若い人はかわいそうなものですよ」と言われたのがショッキングだった。
しばらくして社会全体にフリーター400万、ニート85万という数字が出て社会全体で問題が共有化されるようになる。今は社会保障政策や雇用政策を考える上でごくごく当たり前の状況認識がたった2年前までは珍しいとらえ方だったのだ。そして労働組合に携わって仕事している身として、若年者雇用に鈍感だったと反省したことがある。

では小泉構造改革とは違う立場のマクロ経済学者の言うように、雇用を用意すればニートフリーター問題は解決できるか、という問題に疑義を呈しているのが、宮本みち子千葉大教授や、山田昌弘氏だ。
彼らは若者に自治能力がなくなっているこどか大きいとして、若者が自分たちで物を考え、決め、変えていくプロセスを経験させることが必要と言っている。これは我慢強い若者を増やし、企業に従順な「社会性」のある労働者を作れという文脈は全く別の若者政策を求めている。

アンソニーギデンズ「第三の道」では、小泉構造改革のように、地獄にたたき落とせばはい上がる、その活力を期待するような社会は、はい上がった者たちが現在の地位を守ろうとして世襲や身内グループでのインサイダー取引に明け暮れて、一番不公正な社会がやってくる、というような批判をしている。
現実に、がんばった者が報われる社会をつくったというが、今の若い高額所得者は医者か世襲の「青年実業家」ばかりだ。そしてバブル期の現状認識のまま、相続税だけがどんどん下がっている。

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