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2005.05.15

5/15② 大量退職時代の後の福祉労働

団塊の世代が大量退職になっていくこの先10年、相当な人材不足がやってくるらしい。
だからといって単純に若者の雇用が増えるというものではなくて、若者でも働くスキルが身についているかいないか、もっと簡単にいうと、就職できる履歴書が書ける人と、書けない人との格差が広がる一方になるという(労組なんて経営者が忌み嫌う業界に入った私は後者だろう)。

そういう時代に唯一例外が介護福祉業界。介護保険のスタート以後、潜在化していた需要が一気に表面化し、人材不足業界の代表選手だ。
しかしその裏側には、安い人件費がある。いい方で時給1500円、地方に行けば最低賃金すれすれの時給680円程度はザラである。月給で出すところもボーナスなしで20万円程度。あこがれる人は多いが、厳しい労働(体力と精神力とコミュニケーション能力)と職場環境、そしてその割には低賃金。意欲ある人材がなかなか定着できない状態が続いている。
介護保険制度スタートのときに、厚生省も自治体も、介護保険の推進運動に携わった人たちも、当事者家庭もみんな人材が確保できるかどうか、と心配していた。健康保険の給付維持(つまり医療業界)のために値切られた介護保険料によって、ヘルパーの人件費が思うような水準にできなかったからだ。それでも不況のおかげで、ホームヘルプサービスに関してはなんとか穴をあけずにやってこれた。

しかし、不況が終わったり、社会全体で人材不足になり人材を奪い合うようになると、介護福祉業界の人材不足は深刻な事態に陥ることだと思う。それを解決するのは、主に介護サービスに当たる人たちの人件費の改善になるが、介護保険料も上げられないし投入する税金も増やせないとなれば、解決しようがないというところだ。

介護施設業界は、外国人ヘルパーの「輸入」の解禁を求めている。人件費が安くても働いてくれる人を確保しておきたいという考えからだろう。
しかし、私はコミュニケーションが問われる職場で日本語を話せない人が大々的に入ってくることに疑問を持っている。
またやってくる人たちは、中国や東南アジアの諸国の看護士(介護職なんてものが確立しているのは先進諸国だけなので)が中心になる。国内でも無医村の問題があるように、高いお金を使って資格を取ったアジアの看護士たちが、地域の医療のために働かずに、無医村になる。そして彼らは日本の高齢者のために働き、そのお金が国に戻って看護士を養成するのかと思えば、日本のつくったテレビやクルマに化けることになるだろう。それがいいことなのか、疑問に思っている。また、将来的に、日本人と外国人との間で賃金格差があったなんてわかった暁には、在日韓国・朝鮮人の問題のような禍根を残すことになるだろう。

ここのところ福祉で働く人たちの人件費の問題のことが、何でもコスト安を求めるデフレ社会のニーズに合わせて、ずっと後回しにされてきた。そろそろ正面から社会全体でどうしていくのか、労働に見合う水準なのか、検討しないと介護福祉には深刻な事態がやってくるだろう。

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コメント

最近、職人的な労働の価値の社会的評価がどんどん低下してきているという危機感を感じてます。
単にものづくりの分野だけではなくて介護もそうですが、サービス業も職人的、芸術的な仕事というものがあると思います。最近、フリーター、ニートの増加に対して、まず働いてみて自分を見つけようということが言われます。
確かに私自身、それには共感していて、資格浪人になりながらも、家業をやってみて、それで見つかった自分というものもありますが、たまたまそれが職人的な仕事だったという幸運に恵まれたという思いがあります。しかし一方で職人的な仕事を評価しないで、そんな仕事は誰にでもできると言わんばかりに安い労働力に置き換えていこうということを行えば、仕事の中で自分を見つけることは困難になります。
市場競争を信奉する人は、競争することによってサービスの質が高まると考えるのかもしれませんが、価格競争も行われる以上、質が犠牲にされるでしょうし、価格競争の方が優先される傾向にあると思います(念のために私は介護サービスにおける競争そのものを否定しているわけではないです)。
介護に携わる人が職人的意識をもってサービスの質を維持し、高めていけるようにするには、将来に希望が持てるような労働環境を作らなければ、サービスの質を高めることもできないのではないでしょうか。

投稿: wacky@mie | 2005.05.16 01:16

近頃、親の老いもあり、介護ということが大変身近になってきました。決して、外国人が悪い、と言うわけではありませんが、自分の父を見ていても、老人が容易に外国人を受け入れる、とは思えません。

投稿: 御神崎 | 2005.05.16 22:07

近頃、親の老いもあり、介護ということが大変身近になってきました。決して、外国人が悪い、と言うわけではありませんが、自分の父を見ていても、老人が容易に外国人を受け入れる、とは思えません。

投稿: 御神崎 | 2005.05.16 22:08

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受信: 2005.05.16 13:09

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