« 5/12③ 許されざる周囲 | トップページ | 5/13 限りある想像力 »

2005.05.12

5/12② リアル・フェアネス 

何とか、原稿を書き上げ、インタビューに協力していただいた方にチェックをお願いできるようなった。

職場で「生活経済政策」の6月号が配布される。特集は「日本での社会民主主義の可能性」でとても読み応えがある。日本での中道左派の研究をしている学者の半分近くが寄稿していて、それを読むと、リスクの共同解決ということで、社会保障や教育の改革を全面に押し出すことで、社会民主主義の出番はいくらでもあるのだが、社会保障の専門家が多く能力のある民主党は社会民主主義色がつくのを「労組支配」「社会党の復活」と勘違いして嫌っているし、社民党は数少ない体力を護憲と平和の運動に使いきろうとしているし、どうにもならないものなのだろう。
社会民主主義の看板を前面に出すかどうかは別として、民主党を第2自民党にしてはいけない、と考えている人や、鳩山・小沢の汚濁に任せてはいけないと思っている人は必読だと思う。

寄稿している北大大学院法学研究科(優秀な社民主義や市民参加の研究家を輩出している)宮本太郎さんのこの言葉が印象的だ。

70年代以降、公共事業や保護・規制政策をとおしてある種の所得移転が制度化され、企業や業界内部での「仕切られた競争」においては画一的処遇が追求されたことも事実である。しかし、こうした利益誘導や処遇形態は、むしろ、戦後民主主義的な政治勢力や労働運動への対抗策として形成されたものであり、部分的には政権与党の支配維持装置であり、部分的には政治経済効率化の仕組みでもあった。その内実においてどこまで平等主義的であったかは大いに疑問である。
 にもかかわらず、依然として市場主義が解決策として打ち出される。ただし市場主義といっても、我が国の場合、それは市場原理への信奉というよりはるかに無定見なものである。現行制度のなかで誰かが不当に利得を得ている、ラクをしている、その割を食うはめになっているという思いの表出である。これからは「ぷちナショナリズム」や東アジアの緊張関係とも絡んで、格差や性差など「リアル」なものを受容し強くあることを求める国家主義的言説の比重が高まることも予想される。
 こうした状況のなかで、社会民主主義が単なる平等主義という水準を超えた、独自の公正原理をもって立ち現れるならば、そこには1つの可能性がうまれよう。しかしながら、たしかに現在の日本において、社会民主主義の存在感は先進工業国のなかでは異例なほど気迫である。

余談だが、ここのところの小沢・鳩山の足の引っ張り方は、思想こそ違え、それこそその政治的技術はかつての社会党の左派にそっくりだ。自分たちが社会党を罵倒するなら、同じような行動は慎むべきだろう。介護保険法の改正の採決では小沢派の議員約20人が集団で欠席したらしい。介護保険制度がナンセンスという小沢氏の持論からだろう。

職場の帰りに書店に寄り、知り合いに読むよう頼まれた菅直人「大臣」と馳星周「マンゴー・レイン」を購入。ここ1年アウトローやアウトサイダーの小説に惹かれている。舞台がバンコクなので手に取ってしまった。どちらも今更の読書である。

|

« 5/12③ 許されざる周囲 | トップページ | 5/13 限りある想像力 »

コメント

面白そうですね。読んでみたいです。
社民党にはもはや期待できないと思いますが、本当なら今がプレゼンスを高める絶好のチャンスですよね。完全なマーケティングの失敗としか言いようがないですね。
神野先生がおっしゃってましたけど、強い福祉は強い経済に支えられるわけで、福祉のせいで経済がダメにされるという誤解を払拭する必要があると感じています。

また良識ある穏健な保守層も似たようなことを思っているのではという気がします。ライシュが近著でラドコンなんて言い方をしていましたが、保守はもっと寛容で品格があったはずだと思っている人は多いのではないでしょうか。

多様化する民意と逆行して政治状況は分裂しつつあるように見えます。そして国民も漂流する政治状況の中でわかりやすいものに飛びついてしまわざるえない状況に陥ってしまっているのではないか。そんなようなことを思っています。

投稿: wacky@中道リベラル | 2005.05.13 17:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44442/4098891

この記事へのトラックバック一覧です: 5/12② リアル・フェアネス :

« 5/12③ 許されざる周囲 | トップページ | 5/13 限りある想像力 »