4/7 本が続々
帰宅時に近くの桜並木を歩く。暖かいし、夕方が延びたし、春を実感。暖かくなると体力を使うのがきつい。
●あんまり面白い本がないなぁ、と思ったら、ここのところ続々出てきて読むスピード以上に買い込んで、まず拾い読み。
ムネムネ疑惑に連座した佐藤優「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」
ムネムネ疑惑は宗男と真紀子をぶつけて外務省の対立(言語閥、技能閥)の矛盾を昇華させようとした官僚発の陰謀という話。宗男はダーティーだし、社会党系知事を恫喝して寝返らせて失脚させるし、あまり好きじゃない政治家だったが、対露政策では現実的かつ問題解決型の選択をしてきた。そのことを再確認。
著者の佐藤優はただ者じゃないと感じた。チェコスロバキアの共産党政権とプロテスタント教会の関係について専攻し、神学と哲学を勉強し続け、ソ連東欧関係の調査のためのノンキャリ職員として外務省に入る。当時の外務省のソ連関係者がゴルバチョフ派ばかりと親交を結ぶ中、その教養を買われてソ連保守派大物とエリツィン派に信用されていく経歴が唸らせる。教養のある人のすごみを感じた。今後の読み続けが楽しみ。
「風俗嬢意識調査」(ポット出版)。まだまえがきしか読んでいない。
風俗嬢126人への聴き取り調査で当事者サイドからの労働問題を明らかにしている圧巻の資料だ。
「私は、セックスワークを是とする意見、非とする意見を聞くたびに、じゃ当の風俗嬢はどう思っているのだろう?とか風俗に対するこの見方は、現場で正しいのか、正しくないのか?ということをいつも心の中で突っ込んでいました」
「もし、従来のような売買春論議が、セックスワーカーの現実や思いと全く無関係に自分の理想(幻想)のユートピアを目指して語られるのだとしたら、これほど愚かなことはないと思います」
という著者の言葉にはっとする。そしてこの後、一人の労働者としての働き方、という言葉を使っているのがとてもいい。
辻井喬「父の肖像」
父との葛藤と学生運動での挫折をテーマにした「彷徨のの季節の中で」で辻井の文章の美しさや、屈折に心を打たれたので、読むのを楽しみにしている。
●中山成彬文科相(森派)の暴走気味なナショナリズムが心配になる。
ある種の立場からは教科書検定で文部科学省のとった態度は正しいのかも知れないが、少なくとも日本が韓国や中国と不毛な対立することになるやり方は、北朝鮮を喜ばすだけじゃないかという気がしている。今の韓国や中国との関係のもとで、経済制裁なんて無意味だし、両国に拉致問題への協力や核疑惑の解決のための与力なんか期待できないだろう。
森派の文教・外交政策は、すっきりしているようで、一番大きなツケを払わなくてはならない結果になりそうで危なっかしい。今まで文教族として、無責任にナショナリズムを煽ってきた町村外相(森派)が、森派のスタンスに対するハレーションの尻ぬぐいに奔走せざるを得ないということで一番痛感しているかも知れないが。
ところで、国民としての誇りにこだわる中山氏は日向の国、宮崎県の出身だが、名前は日向の国を侵略し属国化した薩摩の国のお殿様の名前ではないか。いつも気になってしまう。
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