4/16② 介護保険制度にまで群がる
先日、介護保険の見直しがいい加減だという話を書いたが、厚生労働省自身が、新しく入れる介護予防の目玉筋肉トレーニングに目立った介護予防効果がないという結果を発表(朝日新聞3面)。
高齢化というのが、足腰が弱ることというイメージが先行してしまっているのかも知れない。よくわからない病気にもなるし、視力、聴力も弱くなるし、判断スピードも落ちてくる。記憶力も悪くなる。場合によっては認知症になる。筋力トレーニングが万能であるはずがないし、症状によってはよくない。
介護予防は公明党が言いだしたことになっているが、介護保険の改革をめざす国民運動で完全に与党よりの団体はほとんど無く、与党が打ち出す政策は、官僚の助言や相談、データの提供など、関与が大きい。公明党の提案も、何らかの官僚のサジェッションがあったと見るべきだ。そして筋肉トレーニングが盛り込まれ、今の段階になって筋力トレーニングが意味がないというデータを出す、その政治的意味を考えてしまう。
というのも、99年、介護保険導入直前、ケアマネージャーを誰が雇えるか、ということをめぐって厚生労働省と当時の私の上司が交渉したことがあった。
介護保険の最初の案は、他の介護事業をやっている事業者がケアマネージャーを雇ってはならない、としていた。ケアマネージャーが雇い主の会社の介護事業だけを売り込んだり、不適切な介護サービスを押し売りするようなことがあってはならないからだ。ところが厚生労働省は、人材確保の困難を理由に、介護事業者がケアマネージャーを雇えるようにしたい、ということを言いだした。私の上司は他の介護保険導入推進団体とともに利用者の権利性を侵害すると猛反対した。
結果は厚生労働省に押し切られ、ケアマネージャーの業者に対する中立性は守られなくなった。その結果、大手介護事業者の株価が急上昇した。
厚生労働省や自治体の福祉関係者が介護保険導入直前でねる間を削って準備しているその時、介護保険制度が家族制度を崩壊させると、自民党内に凍結論が元気になっていた。しかし、この株価急上昇を前後して、凍結論が沈静化した。
そしてその後、介護報酬の決定段階でもその計算の仕方や種類別の報酬配分をめぐっていろいろな情報が流れた。それをめぐって、大手介護事業者の株価がもとの金額に下がった。
直接的な関係はないが、偶然にしてはという動きだった。介護事業者は土建屋さんのように政策変更を求められるほど政治献金できる余力はない。それなのにどうして介護保険反対論が強かった自民党を抑え込んで導入に持ち込めたのか、そのからくりがわかったような気がした。
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