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2005.04.10

4/10 商品としてではない土地政策

景気回復に役立つからと、土地に関する規制緩和策が推し進められている。

朝霞市でも移転したスーパーのあとにマンションが建つことになって、反対運動がおきている。また数年前にはハケノヤマという里山が開墾されて、500棟のマンションが建った。しかし行政も市議会もこれらにはノーチェックで通り抜けてしまっている。まさに規制緩和だ。

マンション建てて売り抜けてしまえば、後は野となれ山となれ。マンションができる日照権の問題だけではなく、入居者への社会サービス、例えば学校とか保育所とかさまざまな副次的問題がおきてくるが、自治体独自の条例がなければ建築基準法の壁があって、どんなに市が財政負担に苦しもうとマンション開発側は知ったことではない。一般市民には、マンション開発で人口が増えれば市の財政は豊かになる、と信じられているが、実際は、そうすることで財政支出も肥大化するのである。

菅直人が、1980年代は土地問題をライフワークに積極的に取り組んでいた。その国会論争をまとめた「国会論争土地政策」を読む。

土地の乱開発が異常に守られているのは、土地がテレビやクルマと同じような商品と位置づけられているからだ。テレビやクルマは儲かると思えばもっと生産され、結局価格はある程度のところで止まる。だから土地も同じく規制しないほうが最適利用がされる、という神学にもとづいた法制度におかれている。
ところが、土地は転売ができるので、もっと儲かるとなれば、土地をもっている人は商品として差し出さず極限まで上がるまで手放さない。土地の開発条件をして供給を増やせば家賃が下がるかと思って規制緩和すると、最初にその開発緩和によって儲かる予測の分を期待して地価が上がり、元の黙阿弥にな。だからたんなる規制緩和の需給調整策では意味がないと言っている。

私も同感だ。超高層ビルが建って、土地が効率的に使われた分そこの家賃が安くなるのかというとならない。建て替え前の低層住宅の家賃のほうが圧倒的に安い。だから新しく開発されたところに入るテナントはみんなチェーンの店ばかりになる。自営の飲食店は、再開発後のビルに家賃が払えないので、借地権を売り払って事業を畳んでしまう。公団住宅の建て替えでも、土地を有効利用したはずなのに、建て替え後のアパートの家賃が数倍になるということばかりだ。

土地の公共性の回復というのは、不動産屋の支援を受けた政治家が多い中で、なかなか実現できない。土地の公共性の回復を明確に打ち出してくれれば、憲法改正に賛成してもよいと思っている。

地価コントロールという意味では、台湾の土地価格申告制という制度が面白い。

自分の所有している土地の価格を税務署に申告させる。申告した土地の価格によって固定資産税をかけるが、土地を売った場合や、土地価格を変更した場合、前の申告した土地価格との差額がプラスならキャピタルゲインとして、所得とみなして課税するというもの。
長期保有をめざす人は申告価格を低くするので、土地価格が安くなるし、売買を目的とする人は、土地価格を高めに設定し、なるべく早く処分しようとする。
1987年、菅氏が後藤田官房長官に提案し検討されたが、当時の内閣が憲法29条の財産権の自由の壁を超えられないと断念したものだ。

土地持ちにもいい土地持ちと悪い土地持ちがいる。いい土地持ちとは英国でいえば貴族だし、日本なら庄屋で、地域責任を持つ。地域の伝統を守り、その生活環境を保全し、地域の名士として地域社会に貢献する人だ。悪い土地持ちとは、自分の持つ広大な土地資産を私物化するだけの人だ。財産があるのに無教養で、自分の土地を使った金儲けばかりを考え、地方議員か地域の有力ポストをとってそれをステータスとする人たちだ。

日本の税制では、どうしても後者を増やしてしまう。前者のいい土地持ちの態度では、損するだけだからだ。台湾の税制なら、悪い土地持ちになれば一生持っている土地を切り売りして生きて行かなくてはならなくなる。前者のいい土地持ちは、土地売却さえしなければうまくやっていける。そういう意味で再評価できる制度だ。

問題は自民党も民主党も地域での支持基盤に不動産屋が入り込みすぎていることだ。実現は難しいだろう。

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