3/26 皇太子さまの教科書
風邪をひく。家族も別の風邪をもらって寝込む。せっかくの予定はすべてキャンセルした。ああつらい。
●皇太子さまが45歳の誕生日に紹介されたドロシー・ロー・ホルトの「子ども」という詩があった。
寝床でこの詩を紹介している「あなた自身の社会スウェーデンの中学教科書」(新評論社刊)を再読。
内容と手法で子どもたちに力づけをしていくような教科書だと思った。
特定のイデオロギーを採用するのしないので大もめする日本の教科書検定の不毛なありようとは大違いだ。日本の教育界の善導主義の常識そのものが右も左もダメなんだと思った。
たとえば犯罪については、スウェーデンの教科書では、逮捕されたら3日間警察署に勾留される、さらに拘置所で14日間拘置されると教えている。15歳になったら犯罪成年ですよ、犯罪更正施設に入りますよ、更正ケアを受けさせられることもありますよ、という具合だ。
日本の教科書ではこんなふうに教えているだろうか。大人ですら俗説で20歳以下なら、犯罪にならないらしい、少なくとも死刑にはならないらしい、ぐらいしか知らないだろう。日本の場合、高い金払って、弁護士に相談してはじめてわかることだ。
こうした社会での生きる知恵をつけるため、司法のほか、労働組合・経済団体・サークル活動、家計、コミューン(自治体)、出産、児童福祉、離婚、病気、障害者になったら、高齢福祉にわたって教えている。しかも、複数のイデオロギー的な解釈を紹介して、みんなで議論して、1人ひとりが結論を選び取っていく方法が取られている。
日本の教科書だと、労働組合なんて教えずに労働三権がありますよ、団結権、団体交渉権、争議権ですよ、で終わり。団結権を行使するためには、仲間とどんなことをしたらよいのか、全然教えていない。仲間が経営者や管理者からひどいめにあったときにどうしようかなんて考えさせようともしない。会社で教わったこと以外に自分に力がない、だからたすけあいの社会もつくれない。「自業自得」とか「自己責任」が口癖で小泉や竹中の欺瞞を見抜けない無力な若者ばかりが生産されている。
歴史認識とか、正しい歴史、とか誇れる歴史とか、左右で勝手に議論するのは構わない。しかしそれがほんとうに子どもの力づけになっているのか、右も左も考えてほしい。
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