3/2 忌まわしい病院の記憶
スーパーも23時まで開くようになって、いらんだろうと思うのに、近所にセブンイレブンが開店。先日見たドキュメント番組ではコンビニは今、最終戦争に入っているそうで、お互い既存店をつぶし合うための出店ブームらしい。あわせてチェーンの美容室も開かれる。このあたりは美容室が過剰に出店している。
そこは、以前、薬屋と、ドーナツ店だったところ。東上線の沿線の商店街はもともとサラ金とフランチャイズ方式の小売店しかない街ばかりだが(商店主の息子が宅建取ってマンション賃貸業に転業ばかりしているので)、そのなかでも画一的な商売ばかりになっている。
●25年ぐらい前に所沢の富士見産婦人科という産婦人科で、病気でもない人から卵巣や子宮を摘出しまくった事件があった。二度と子どもを産めなくしたという重苦しい報道で、今でも鮮明に記憶に残っている。この病院の当時の医師たちの免許が今日、剥奪されたり停止がされた。刑事事件に問われたにもかかわらず、今日までその医師は処分もされずに免許を持っていたということだ。免許が剥奪されたのは、当時の院長の北野千賀子氏ただ1人。もう北野千賀子氏は78歳にもなって、免許剥奪も全く意味がない。
問題は2つある。1つは、医師の免許とは何かということだ。一度資格を取ってしまえば、時代によって変わっていく医療の考え方や技術を習得しなくても、ずっと医師を続けられる。自動車免許のような更新手続きさえない。専門知識が必要で人の命を預かる医師に再教育の機会は一切なく、学会出席など自主的な努力に期待するしかない。今回のように刑事事件起こしたって、免許が取り上げられるのに25年もかかっているのであれば、医道審議会での免許剥奪することが可能だといったって、どんなことしても、実質的に免許は剥奪されないものと考えていい。
患者にセクハラした医師だって、数ヶ月の免許停止にとどまっている。性犯罪者の住所公開が議論されている時代に、身を預けなくてはならない医師のセクハラに社会は寛容すぎる。そんなこと許されている背景に医師会の政治的圧力とがあることは言うまでもないだろう。そして医師会の活動が、病院の医師ではなく、経営者でもある開業医たち中心に行われていることの問題点もある。
もう1つは、産婦人科のあり方である。
出産育児の衛生評価が、乳幼児死亡率に偏っているため、産婦人科は、命が保障される出産にしか気が配られない。私が問題にしたいのは、会陰切開という、出産時に女陰をメスで切る手術である。もちろん、医療的に会陰切開が必要な人が一部にいることわかっている。しかし、日本の産婦のほとんどが一方的に施術されていて、それについて医療的な必要性は説明しているのだろうか。ほとんどの会陰切開は医師の責任回避にしか思えない。昔はさらに剃毛と陣痛促進剤の投与が機械的に行われていたらしい。
96年、札幌のラジカルなフェミニストたちが主催した映画の上映会で、北アフリカ、アラブ、中央アジアで行われている(しかも近代になってから)性器切除(クリトリスや小陰唇の切除)のドキュメントを見て、その忌まわしさに身震いする思いがしたが、必要のない会陰切開は、この性器切除の忌まわしい行為とどこがどう違うのかわからない。性器切除を押しつけている人たちも、独特の衛生観念でやっている。
妊産婦にお産の失敗ばかり煽って、必要もない手術に抗議する声すら奪っている。妊産婦にフランス料理を食べさせたり、豪華個室を用意することは評価されても、人間の性を軽んじるような過剰医療について誰も文句を言わない。特にフェミニストと、妊産婦のパートナーはもっと怒るべきではないか。
必要性の薄い会陰切開を機械的にやっている大半の産婦人科の体質と、所沢の富士見産婦人科の問題の根っこは共通ではないかと思う。
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