2/8 痴漢電車は高級住宅地を走る
●朝日新聞2/8朝刊社会面に通勤電車の痴漢の記事が興味深い。東上線は痴漢が多発する、という偏見に満ちた差別的まなざしが向けられてきたが、実態は、混雑の激しい、高級住宅地を走る電車が上位ランキングにぞろぞろ。痴漢発生は、混雑率に比例する、というごく当たり前の関係がみられる。朝日新聞も、「混雑・駅間痴漢が狙う」という見出し。
それでも例外がある。下表の対照表を見ると京浜東北線、東海道線、常磐線の痴漢検挙件数が混雑率にて比べて少ない。逆に、京王線、西武池袋線が混雑率は混雑率が低いのに、痴漢検挙件数が多いと言える。
痴漢を発生させる鉄道会社は人権侵害だ、と訴えていた船橋かどこかの女性グループもあった。男女共同参画時代に、痴漢から通勤者を守る方法が必要だ。女性専用車の導入が進んでいるが、これはどうかと思う。
混雑率を下げる、長時間通勤を解消する、という基本にたちかえった対策が必要ではないかと思う。そのためには、公的な力を通勤電車に使うしかないが、新幹線や高速道路と違い、政治的な声にならない。
たまに都市部でも公的な鉄道がつくられると思えば、埼玉高速鉄道(地下鉄南北線の北側)のような、誰も住んでいないようなところの、不動産開発に絡む利益が期待できるような電車がつくられる。そして赤字になれば県の公金700億円も投入するような話がとんとん進んでしまう。
通勤電車は今後、人口減、住宅価格の下落で目新しい収益増が期待できない。したがって、運賃を大幅に上げなければ、抜本的な質の改善は行われない、といってよい。質の改善を我慢するしかないのだろうか。大胆に公的資金を投入して、通勤環境の改善や痴漢発生防止など、人権が大切にされる乗り物になってほしい。
そんな諦めに近い気持ちを持っていたら、なぜか鳥取の民主党の山内おさむ衆議院議員が、こんなコラムを書いている。
都会の議員は税金を使わない話ばかりしたがるが、しっかり使ってほしいところもある。住民も地域の政治に助けられた体験が乏しいので、政治で何かを変える、という感覚が育っていない。だから通勤電車のような人倫を破壊するような公共財を放置しておける。こういう感覚は地方の人のほうが鋭敏だ。
■朝日新聞の痴漢検挙件数の順位と、国土交通省公表の混雑率の順位
痴漢検挙件数 混雑率
順位 順位
埼京線 ① 京浜東北線 225%
中央線 ② 中央線 218%
総武線 ③ 総武線 211%
京王線 ④ 東海道線204%
山手線 ⑤ 常磐線200%
東西線 ⑥ 東西線198%
千代田線 ⑦ 田園都市線195%
田園都市線 ⑧ 横須賀線189%
小田急線 ⑨ 小田急線188%
西武池袋線 ⑩ 千代田線186%
※埼京線、山手線はデータ公表がない。山手線は京浜東北線と同じぐらい、埼京線も200%超だったので、下位の小田急線、千代田線が枠外に外れる。
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