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2004.12.30

12/30 変態の再犯

奈良の幼女誘拐殺人事件の犯人が逮捕された。
この事件について週刊誌等では犯人の変態性が指摘されていて、今回逮捕された容疑者(証拠はいろいろ出ているし犯行を認めているので真犯人だろう)は、89年、91年と大阪府内で女児にいたずらを働き、強制わいせつ罪の有罪判決を得ている。どうしてその時点でもっと何とかできなかったのか、という思いがつきまとう。

他にも大阪・池田小学校の殺人事件の犯人・詫間守など、こうした変態性癖や、痴漢癖、ストーカー、DV、ネット上での荒らしなどの性癖や心理的原因による犯罪を行う犯罪者が増えている。彼らは再犯や、今回のようにエスカレートする可能性が高くても、刑務所からすぐ社会に帰ってきてしまう。刑務所では教育刑という考え方で運営されているが、悪人を真人間にする、という発想を超えておらず、生産活動が大切なのだ、と教えるような内容にとどまっているため、こうした犯罪者に対しての教育効果は疑問点ばかりだ。

15年前、友人宅で見たつまらなくて恐ろしい映画で、「サイコ野郎」という言葉を初めて聞いた。映画は主人公が今でいう「おたく」っぽい男と交際して、その男の恐い心理的性癖と向き合いながら、だんだん生身の人間を取り戻させていく、というストーリーで、当時は何のことを言っているのかちんぷんかんぷんだったが、最近、そういう犯罪者が増え、すごいリアルに感じてきている。刑法や刑事訴訟法、監獄法がそうした犯罪者や容疑者に全く対応できていないことも実感している。

一方で、奈良の容疑者は、89、91年段階では人殺しをしているわけでもなく、その時点で長期刑を科すことは不可能だったともいえるし、刑期をいくら伸ばしても、殺人犯並みにしない限り安全とはいえない。強制わいせつ罪の刑期を殺人犯並みにすることの妥当性も考えなければならない。
そういう足踏みをするより、刑務所でのきちんとした教育プログラム、出所後の監視とケアを整備することが重要となっている。ただし、教育プログラムをつくるにしても人材育成はこれからになるので10年以上はかかると思われる。DV加害者の立ち直り教育などは民間レベルですでに始まっているが、問題となった「自己啓発セミナー」のレベルと変わらないものが多い。こうした犯罪者の立ち直り教育技術の確立はまだまだこれからであるし、人の内面や生き方を改造する、ということを公権力でやることの妥当性も検討しなければならない。
一方、出所後の監視とケアに関しては、人員確保と制度さえ整えればすぐにでも始められる。すぐにでも検討してほしい。

それとこうした「サイコ野郎」の恐怖と、精神障害者や知的障害者などに対して十把一絡げに、犯罪者を擁護したり、逆に危険視する見方も広がっている。精神や知能に障害があることと、犯罪を行う性癖とは別物で、きちんと峻別して捉えなくてはいけない。死人を批判するのはどうかと思うが、詫間守が許せないのは、精神障害者のふりをしていたことだ。このことで全国の精神障害者が危険視された。

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