12/19 働きかけの効果
連合総研レポート189号に今年の10月中旬に首都圏と関西圏で実施された「第8回勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」の結果が掲載されている。
参議院選挙に関するアンケート項目が興味深い。
投票の働きかけ、つまり選挙運動の効果を計る項目がある。
それによると、どこからも働きかけがなかったという人が55%。選挙運動に手間暇を膨大にかけて(特に最近は団体の縛りが有効性を失っているので、個々の支持者にあたっていく割合が増えている)、この結果かという感じ。公明党支持層だけが働きかけがなかった人の割合13%というのも興味深い。逆に共産党支持層も半分以上の人が働きかけがなかったというのは、ちょっと驚きだし、共産党の低迷ぶりが感じられる。
また後援会の働きかけというのは、社民党、共産党支持層に強いというのが驚きでもある。他の政党はのきなみ10%を切っている。日本の政治風土と切っても切り離せない後援会だと言われているが、その存在感は確実に低下している。
労働組合はというと、組合員の22%しか働きかけを受けていないという結果。いくつかの地方選挙での個人的体験、参議院比例代表の結果などから、労働組合の票は推薦した組合の構成人員の2割が相場だが、実は働きかけが2割しか行われていない結果となっている。全員にきちんと働きかけが行われていれば、公明・共産の支持層を除けば全員ということはないにしても、労組の構成人員の50%ぐらいの得票につながるのではないか。
同業者団体のはたきらかけはやはり自民党、町内会自治会が、自民党かと思うと、もはやそれは1%も満たなくて、公明、民主の順。宗教団体、文化団体は公明、共産、民主の順。友人知人と親戚は公明、共産、社民の順に働きかけが強く、組織選挙の方法論を身につけたところは、徹底してつてをつたって票集めをしている背景が見える。
首都圏と関西圏の支持者で違いが見られるのが、働きかけ受けなかった人の割合がそもそも大きく違い、首都圏は6割にも達する一方、関西は、まだ45%程度で、関西のほうが、宗教団体、後援会、友人知人のネットワークによって選挙が行われる。
男性と女性の差では、地域や友人知人の推薦は女性が多く、職場の人間関係の働きかけは男性が多い。
また、選挙に棄権した人の投票する意思についても聞いていて、
始めから棄権するつもりだったという人は棄権者の34%、首都圏と関西圏では、関西圏のほうが始めから棄権するつもりの人が23%と少なく、首都圏は4割近くに達する。首都圏は確信的棄権者が多い。
支持政党別では、公明、共産支持層では、サンプルとならない程度にしか、棄権者が見られなかった。そのわずかなサンプルも投票するつもりだったと回答している。
支持政党別では、支持政党なしが多く、次に自民党で、自民党支持者の棄権の高さというのが自民党の不振につながっていることは間違いない。自民党は中選挙区制のもとで候補者のバラエティーでもっていた政党なので、小選挙区制だったり、先の参議院選挙のように複数定数区でも1人しか擁立しなかったりすると、自民党支持だけどこの人には入れたくない、という力が働くのかも知れない。
とりこぼしが目立つのが民主。棄権した人のうち、投票するつもりだったと答えた割合が8割近くにものぼり、この人たちが確実に投票されれば、得票率がもう3~4%上積みできた。
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