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2004.11.23

11/23 湯布院

規制改革特区も成熟してきた。先だって書いたタクシー規制強化特区のほかにも、長野のある町では、野犬を容認する「忠犬特区」の申請もされた。これは面白い。

最近、まちの犬は大切ではないか、と考えている。
野犬が狂犬病などの伝染病予防と、害獣として駆除されてきた。しかし、そのことで、カラスをはじめキタキツネ、狸、最近では熊に至るまで、野生動物がまちに流入し、さまざまな問題が起きている。山林の疲弊も最大の原因だが、まちの側も、それらの野生動物に対するカウンターパンチャーを失ったことが大きい。
札幌にいた頃、自然との交流活動をしている小川巌さんという方の論文を読み、頻繁に出没し、札幌のごみを散らかすキタキツネの害について、野犬がいなくなったことが大きい、という。

孔子といえば道徳主義的な感じがするが、そうではない孔子一門の革命的人生を描いた酒見賢一「陋巷に在り」(新潮文庫)では、犬が人間の騒乱や暴動の予告として、騒ぐ話や、まちの出入り口に犬の首を掲げているシーンなど、犬が都市の守護神として描かれている。漢字の成り立ちを明らかにした白川静「字統」という辞書では、道という字は、文字通り、通りに首が掲げられているものを表現している。
犬はまちの守り手、駆除するだけではない、愛玩するだけではない、犬とまちとの関わり方を考え始めることが必要だと思う。

規制緩和を目的としたが、地域の特性を求めるニーズは思ったより広がって、より規制強化や、想像外の規制改革を求める声が挙がっている。単純な規制緩和=経済活性化、多様な公共サービスのニーズを満たす、という予定調和論では公的な規制というのはわりきれないものなのだ。
本来はこういうことは、地方分権で解決すべきことだったが、残念なことに、思うように進まず、結果として、トップダウンの規制改革特区に申請が集中してしまったのだろう。

●木谷文弘「由布院の小さな奇跡」(新潮新書)を読む。旅館経営者の中谷健太郎さん、溝口薫平さんら、民間人が戦後の「開発」のあり方に背を向け、町並みとコミュニティーの力を引き出すまちづくりをしてきた湯布院町に、これからの自治体のあり方として学ぶべき点が多い。その歩みや考えを俯瞰するにはいい本。
ちょうど1年前、旅先で妻の紹介してもらい、中谷健太郎さんとお会いする機会があった。見事な技で淹れていただいたお茶のおいしかったこと。映画祭の仕込みで、いろいろな映画のお話しや、日出生台の自衛隊基地での実弾訓練の問題などについていろいろお話ししていただいた。
湯布院のような、みんなで考えて、自分たちで変えていく、という「自治」の作風が、流行の市町村合併で増えるのか、減るのか、試されていると思う。小さな自治体だからこそ、民間ベースでできることがたくさんある。今、湯布院町は合併に向けて動き出したが、一緒になる自治体が湯布院のような開発規制に合意し、同じルールで街を運営し、町を守っていけるのか不安を感じざるを得ない。

●プロジェクトX横浜の「ベイブリッジ」を見た。毎回、ここに出てくるすばらしい事例には敬意を表するが、良く考えると土建関係の公共事業か、家庭や地域社会を無視し続けた製造業のサラリーマンの苦労話ばかりでワンパターン。何か違う。
プロジェクトXで取り上げられ、取材を受けた湯布院の中谷健太郎さんも、無理に話をくさいパターンにはめようとされた。取材してくさいパターンとは違う番組を作ろうとした地元の放送局のディレクターを、東京のディレクターが追いつめて、くさい話にされていったこの番組の仕事の方法に疑問を呈していた。

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