11/18 筋が違う三位一体改革
三位一体改革も郵政民営化も、小泉構造改革は、筋違いばかりやっているような気がする。
それは小泉首相の政治力の限界でもあるんだけど、マスコミや国民の政策判断能力にも問題があるんだと思う。小泉の提案していることが具体的にどう良くなる、ということを考えられずに、民営化=善、地方交付税=中央依存体質、という単純な図式で理解されているから、具体的に問題を検討すると、そうじゃない実態も出てきていたりしてぐちゃぐちゃになってしまう。
日教組のみなさんには怒られるかも知れないが、私は教育費の国庫補助は廃止すべきだと思っている。すでに公立に限って保育園は運営費補助金を廃止して、自治体の自由に使える財源にした。コスト削減のために民間委託などいろいろ問題が起きている。しかしそもそも民間企業が参入していない学校で、教育費の国庫補助をやめたからといって教育の質が下がるとは思えない。また、国民の監視の眼も、保育園以上に厳しく、安易に質を下げる話にはならないだろう。むしろ、今は画一的な教育スタイルで、全国どこ行っても文部省教育指導要領のままで、全国どこ行っても、学校の教室は担任が王様だから、ひどい担任にあたると取り返しのつかない事態に陥る。
こんな教育の問題を打破するために、いくつかの自治体では特区申請をしたり、独自に教員を加配したりして、何とか地域の教育課題に答えたい、とやっている。それから、私の勤めている労組もそうだが、地域が学校を運営していく、というスタイルを確立していかなければ、学校が地域の財産にならないで、国のイデオロギー論争の手先になり続けてしまう。
一方で、生活保護の国庫補助などを削減するのは大問題。生活保護は、自治体によって支給基準がまちまちでいいのか、という問題もあるし、その地域に住み続けなくてはならない制度利用者もいる。それが自治体の財政難だからと、支給基準が下がってよいものなのだろうか。
ここのところの自治体の財政難は、必ずしも山間地や離島が厳しいのではない。むしろ、工業都市で、そこの企業が儲からない自治体が深刻なのだ。そうすると、物価の高い都市部で生活保護の支給基準の切り下げや、精神疾患を患っている人などのような肢体機能に問題が見えないような人への補助がうち切られる可能性がある。彼らには公明党か共産党ぐらいしか代弁者はいない。
●新潮新書「松下政経塾は何か」が発売されたので購入。読み始める。政界を席巻し、選挙互助会として有名なこの集団をきちんと捉えることが重要。この集団のデマゴーグでずいぶんこの国の政治の質は下がった部分があると思う。書き出しに、最初の頃は、松下から派遣されたエリート社員の職員が塾生に、ナショナルの制服を着させようとしたり、毎朝校歌を歌わせたり、門限があったり、と80年代よく見られた社畜なみの扱いをして、ずいぶん揉めたようだ。そのあたりは面白い。最近でこそこういうノリは少なくなったけど、日本企業ってこういうの好きだよね。そうして鈍感なオヤジが生産されていったのか、と思う。
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