9/29 虫の良さ
ヤマト運輸が日本郵政公社を独占禁止法で訴えた(訴えられた日本郵政公社の言い分)。競争優位に立つ郵政公社が、ローソンと組んで営業を拡大することが争点になる。
一方、ヤマトを扱うコンビニは、宅配業者についてほぼ独占的な契約を結ばされており、郵政公社のゆうパックも扱いたいローソンが契約の見直しを申し出たところ話し合いにも応じず、ローソンはヤマトとの契約をきらざるを得なかった(ローソンの言い分)。こちらのほうが独占禁止法違反のような気もする(ヤマト運輸の言い分)。
もともとヤマト運輸は、運輸業の規制緩和と郵便局の民営化を推進してきた。労使一体小泉とも仲良しで、今脚光を浴びている。郵便局が民営化されればもうかる事業にしなければならない。最低でもJRのように周辺事業の開発が求められるのは当然だ。ヤマト運輸は税金を払っていないだとか、そういうことで公正な競争ではないと言っている。しかしそういうことは民営化をするなら過渡期の問題で、民営化されれば税金を払わないでいい理由はなくなる。実際郵政公社もそういうコストを払って成り立つ経営を目指して努力している。それくらいの事態を想像しての民営化推進論だと思っていたが、そうではないらしい。
都合のいいときに民営化を唱え、都合が悪くなれば国営のような運営にせよ、というのは虫がよすぎる。ヤマト運輸はヤマト運輸の良さがある。ヤマトの信頼というのは、ローソンと郵政公社が組んだだけで崩れるものなのだろうか。
そういう虫の良さは、小泉首相のお友達に多い。小泉の御用経済人、宮内義彦オリックス社長もそうだ。自らは規制緩和、民間開放と大声で叫び、保育所、教育、病院、果ては職安の民営化を推進している。さらには医療や福祉のコストダウンのために、賃金の安いアジア各国から、看護士や介護労働者の輸入まで解禁しようとしている。
しかしプロ野球の新規参入問題では規制緩和に背を向けた対応に終始。そのことの是非はあるとしても、宮内氏がふだんいう立場とずいぶんことなる偽善的な対応と言わざるを得ない。
●石田衣良「池袋ウエストゲートパークⅣ電子の星」読む。池袋という地域社会で法律ではどうしようもないいろいろな難題の解決にあたる主人公マコトの活躍はソーシャルワーカー、コミュニティーワーカーのようだ。地域福祉計画を考える上でも感性を養うのに役立つ。著者の取材量や情報チャンネルをのぞいてみたい。
| 固定リンク
« 9/28 再登板 | トップページ | 9/30 »
コメント