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2004.08.17

8/17 土地神話

昨日から、山岡淳一郎「あなたのマンションが廃墟になる日」(草志社)を読む。規制緩和がほんとうに景気対策になるなんて信じている人にはぜひとも読んで欲しい。

この本では、外国の住宅が100年前後はもっているのに、日本の住宅が30年でスクラップド&ビルドをし、そのために毎世代に住宅取得のために過大な負担をしられている、そのために住宅が社会資本として蓄積されないし、劣悪住宅がまかり通っている。都市計画にも悪い影響を与えている、ということを言っている。
マンションを買ってみるとわかるが、マンション会社の斡旋する管理会社は、20年でとても大がかりな修繕工事を行い、そのために15年目以後は月4~5万円の修繕積立金を支払う計画を出してくる。そして20年以後は白紙だ。それぐらいなら、と建て替えてしまえ、となるのだろう。

そこで建て替えを選択するにあたって、住民はさらにローンを抱え込めないから、持ち出しゼロで計画するウルトラCとして考えられているのが「都市再生」と称する容積率の緩和なのだ。緩和された容積分、建て替えにあたってマンションの戸数を増やして、増えた分を売り飛ばして建設費をまかなう、というやり方が取られる。さらに容積率を高めれば、単位あたりの土地がもっと有効に使えるので、地価も上がり資産持ちの景気が良くなる、というのが小泉構造改革の都市再生である。そのやり方がバブルそのもので、土地神話によりかかった、問題の多い方法で、長い目で見れば人口減もあったり、既存のビルやマンションの空き室率が高まり、スラム化する問題点を抱えている、という話だ。そして、見本とすべき住宅政策として、スウェーデンの都市計画と、住宅管理組合のサポートするNPOの育成などを挙げている。
諸外国より人件費が高い、物価が高いというが、何より高いのは地価で、これがために東京の人件費は高いし、物価も高いという指摘は同感。小泉・竹中・経済団体は、日本の人件費の高さばかり指摘するのはやはりおかしい。

日本の政治の政策判断が、ちょっと景気が良くなると、バブルに凝りもせずまた高地価政策をとりたがるのはなぜかと思う。近所の民主党の議員の後援会の掲示板があるところは不動産屋の軒先か所有地にばかりだ。野党でさえことほど左様にこの国で政治家に真水の献金を供給できる金持ちは地主か不動産関係者しかいないということだ。彼らを困らせる政策を選択できるわけがないのだろう。

実際、若いやる気のある創業者たちは、古いアパートや空き店舗からチャレンジする。小泉構造改革の都市再生のシンボルの六本木ヒルズや、汐留には、どこかで聞いたような店しか入っていない。阪神大震災も、かつての狭隘路の商店街はなくなってきれいな街に復興したが、かつてあったような人々のふれあいや、活気は戻っているのか、考えさせられる一冊だ。

世の中の仕事には、規制を外したほうがよくなるものと、社会や公的なルールのもとにおかないといけないものとがある、というごく当たり前のわきまえが、今の社会にはなさすぎ、戦前の軍国主義のような楽観的な規制緩和ばかりだ。

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