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2004.08.14

8/14 決意表明の謎

夏休みがどうも流れていきそうなので、気晴らしに横浜のホテルに泊まってきた。ゆったりと過ごすことができた。帰りに、実家に持っていくおみやげを買っていたら、毛沢東のクリスマスカードがレジに。尊敬していた祖父が親中派だったので、毛沢東主義者ではないのに、なんとなくなつかしく買ってしまった。

新聞博物館を見学した。内容がよく、見学が終わるまで2時間経っていた。先回、仕事で見に行ったときは、新聞の表現技術は戦争報道とともにレベルアップしていることが印象的だったが、今回は、製版・印刷技術の改革に注目して見た。新聞業界が1970年代の早くからコンピューターを導入して技術革新していなけければ、パソコンの日本語システムの技術の開発は遅れていたか、全然違ったものだったのではないか、と思う。

NHKスペシャル「のこされた声」を観る。満州の放送局が収録した、開拓民や兵士の声のレコード記録をたぐっていく番組。
在日朝鮮人の特攻兵の最後の声や、60年近く経ってそれを聞かされた遺族や友人たちの無念な思いには胸がつまされた。満州開拓民の明るい決意表明と、それとは裏返しの悲惨な開拓生活の証言など。みんな生活の本音ではなく、国家に貢献している自分を位置づけて決意表明した。その結果、プロパガンダに利用された。
海外で暮らしたことはないので、はっきり言えないが、近代の日本社会は個々人の内面吐露を公開させるのが好きで、戦中はそのことがほんとうにひどい結果をもたらしたと思う。
プロジェクトXはそんな話の固まりだし、労働界は予定調和の「決意表明」や「宣言」が大好きだし、平和運動に参加すると運動家の「思い」の吐露。状況が良ければその内面吐露は報われていくが、全体状況が悪くなったときに、内面吐露をやればやるほど、ほんとうの問題から目をそらし、状況がさらに悪化していくのも特徴的だ。

この番組で伝えられた在日朝鮮人の兵士のことをどう受け止めるのかは、重たい。同じ日本人として朝鮮人や台湾人をいいように利用して、戦後は謝罪もお礼もなく60年経ってしまった。彼らやその家族は、日本への協力者だったということで大変なめにあってきただろうし、日本人はそんな人たちの存在を忘れ去ったかのような振る舞いだ。戦前戦中、日本がアジアを利用したことについて、日本のやむを得ない事情ばかり楽観的に強調する考えがはびこっているが、そういう人たちこそ、日本の夢につきあわされて裏切られ、戦後60年自らを売国奴として苦しみ続けて生きてきた人がいることを直視して、戦争を評価してほしい。

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